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新しい家が次々に建ち、子供達の数も増えて運動会も地蔵盆やお祭りも賑やかで町中元気だった昭和四十年代に結婚してこの宇治に住み始めました。そんな中で日々の子供や家族の様子を詩や文書にして新聞に投稿し始めました。自分の名前が活字になるのが嬉しくていろいろ書いて載せてもらいました。近所の人や主人の知人から「新聞見たよ」と言われるのも楽しみで投稿し続けました。載っていた新聞は大事に残していつの間にか五十年も経っていました。いつかそれらを文集にしてみたいと思っていたところ、市民文化賞のチラシを見て問い合わせてみました。でも切り抜きのままでは出せないので娘に相談したところ娘の旦那さんがパソコンに打ってくれるという事になり一気に応募ムードになりました。そして奨励賞受賞の電話を頂き最高に嬉しかったです。娘婿の病の寛解を願ってあなたのおかげでこの賞を貰えた事を伝えたいです。
【著者略歴】
1950年 京都市生まれ
1969年 結婚 宇治市小倉町に住む
1976年 新聞に投稿始める
1978年 主人が京都中央サトー製品販売(株)を始める
2002年 同志社大学文学部文化学科国文学専攻 社会人入学
2006年 〃 卒業
子供二人はそれぞれ独立 現在は主人と2人暮らし
肩書きはいつも主婦としているが今も会社の経理を手伝う
この作品は作者の水上さんが、26歳から現在に至るまで、京都新聞の読者欄を始めとする媒体に投稿してきた58編をまとめられたものです。エッセイが中心で、詩や川柳も一部含まれています。投稿作品という性格から、限られた文字数の中で思いや出来事をうまく表現されており、読者も水上さんの50年を追体験するような気持ちになります。
決して平たんなだけの日常ではなかったと思いますが、読むと心が温かくなるのは、少女の頃からの吹奏楽との縁、祖父のスーツが一代またいで孫に伝わる話など、いい意味で印象的なエピソードが多いからだと思います。
水上さんは今まで詩や童話など、好感の持てる新作を何度か応募されています。そのベースにもなった作品として、奨励賞に選考させていただきました。