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第31回紫式部市民文化賞 回顧録『屋根裏から出囃子が聞こえる〈地域寄席奮闘記〉』

印刷ページ表示 更新日:2021年10月14日更新 <外部リンク>

第31回紫式部市民文化賞  回顧録『屋根裏から出囃子が聞こえる〈地域寄席奮闘記〉』

受賞の言葉(上田 邦夫さん)

 幼い頃、私を「笑い」の世界へ誘ってくれたのは、明治生まれの厳格な祖父でした。

 以来、漫才や落語、狂言、喜劇や都々逸など「笑い」を含んだ芸能に興味が広がっていきました。なかでも『落語』のもつ世界観や人間描写、言葉の豊かさに魅了され、三十年前、自ら宇治の地で落語会を主催するに至り、その「落語会」は十七年、百回を数えておりました。

 今回受賞いたしました『屋根裏から出囃子が聞こえる』は、その当時を振り返って綴った「奮闘記」であります。

 作品の受賞にあたり、百回もの長きに亘り支えてくれた家族や友人、安い出演料に文句も言わず出演していただいた噺家のみなさん、そして足を運び笑っていただいた、延べ七千人に及ぶお客様に感謝するとともに、お選びいただきました選考委員の先生方には深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

上田 邦夫

【著者略歴】

昭和29年3月、京都府宇治市生まれ。

立命館大学卒業。

平成2年から平成19年までの間、宇治の地で落語会「尾長猫寄席」を主宰。各方面での落語会のプロデュースも手掛ける。宇治市在住。

作品紹介と講評(選考委員長 山路 興造)

 私はこの作品を読み始めたとき、てっきり「小説」部門の作品かと思った。しかし自身の「回顧録」なのである。三十七歳で宇治市内の住宅街に、自宅を新築したのを機に、嫌がる家族を押し除けて、寄席を開いてしまう話である。三階十四畳の屋根裏部屋の利用とはいえ、「尾長猫寄席」と名付け、偶数月の第一土曜日のみ開く落語の定席としたというのである。木戸銭千二百円。十七年で百回を数えたと言うから立派な定席で、その百回分の演目・演者の一覧も載る。内容の面白さはもちろんなのだが、何よりも文章とテンポが快適である。芸能専門誌編集部に在籍していたとはあるが、この「奮戦記」自体は紛れもない「回顧録」である。ただただ圧倒されての市民文化賞である。