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この度は紫式部市民文化賞ユース賞に私の作品を選んでくださりありがとうございます。心より御礼申し上げます。
私は学生の頃から趣味で小説を書いており、それは働き始めてからも変わりませんでした。ペンを持って紙に向かい、心のままに世界を広げていくことは本当に楽しいことです。思うような文を書けず、せっかく書いたものを全てボツにすることもありますがそれすらも楽しんでいます。
さて、私は小説を書くにあたって毎回自分でテーマを決めて書いています。今回の作品のテーマは「どんでん返し」。読み終えるとまた初めから読み返したくなるような物語を目指しました。謎解きのように、読み終わって、読み返して、そしてタイトル『乙女の憂鬱』の答え合わせをしてくださると嬉しいです。
【著者略歴】
1995年10月生まれ 城陽市出身
2017年 京都女子大学文学部国文学科 卒業
2018年 京都府立南陽高等学校勤務
2019年~現在 京都府立東宇治高等学校勤務
今回ユース賞に選ばれた「乙女の憂鬱」は、人間と動物の交歓を描いたほほえましいファンタジー作品です。車にひかれそうになった雌猫が、若い人間の男の子に助けられ一瞬のうちに恋に落ちます。この猫は野良猫であるらしく街を自由に闊歩します。商店街や町逝く人も彼女にはとても親切ですから、彼女は卑屈に街の隅を歩く必要はありません。毎日のように男の子の姿を求めて、彼がフットサルをする公園や彼の家を訪れます。彼は会えば優しく頭をなでてくれます。しかし、唯一不満なのは、彼女の熱い恋心が伝わらないことです。なぜなら彼には「にゃあ」としか聞こえないからです。
小品ながら暖かい心へと誘ってくれる作品となっています。