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このたびは、紫式部市民文化賞奨励賞を賜り、心より厚く御礼申し上げます。
私は今年、卒寿を迎えました。これを機に、これまで歩んできた人生を振り返り、その折々の思いを短歌に綴ってみようと思い立ちました。
姫路市で育ち、そこで戦争を体験しました。幼い頃に経験した辛く、苦しく、悲しい記憶は、今も心に残っています。その後、京都大学薬学部に学び、結婚を機に宇治市に移り住みました。子育てをしながら仕事に携わり、また、コーラスや文学などさまざまな活動を通して、多くの方々と出会い、学び、楽しい時間を過ごしてまいりました。
振り返れば、多くの皆様に支えていただいた人生でした。宇治市で長い年月を過ごせたことを、心からありがたく、幸せに思っております。
戦後81年、平和な日々を過ごせることのありがたさを、戦争を体験した一人として改めて感じています。そんな思いを歌に託しこの本を作りました。お読みいただければ幸いです。
宇治川の清き流れに 紅葉映え
今日のよき日を ことほぐごとし
【著者略歴】
敦賀市で生まれ父の転勤で姫路市へ、そこで太平洋戦争を体験、のち京都大学薬学部を卒業。医師の夫と結婚して宇治市に住み、市内の2中学校、2小学校、2幼稚園の学校薬剤師兼衛生検査技師を45年間担当。さらにその間の20年間は京都府薬物乱用防止指導員を兼任して、瑞宝双光章と日本薬剤師会有功賞を受賞。
小倉公民館では古典文学サークルの講師として「源氏物語」を自作のテキストで講義、五十四帖まで読破しました。サークルの皆さんと「源氏物語」の舞台の地を散策したのも楽しい思い出です。
他にコーラスは約70年(宇治市の第九コンサートに14回、オペラ「月の影」にも出演)文学、児童文学、絵本作りの会、ヨガ、中国語、英会話、歴史探訪などのサークルにも参加、宇治市に住んで本当に幸せでした。
この作品は卒寿を迎えられた記念に、短歌とエッセイでこれまでの人生を振り返り、綴られたものです。戦争が影を落とす幼年時代から、戦後の苦労を乗り越えて安定した家庭を築かれるまで、そして当時は珍しかった女性のスペシャリストとしての研鑽と活躍。同じ時代を生きた方々には、共感できる部分が多いことと思います。作者の山本さんは、これまで様々な分野で同賞に応募してくださり、そこで断片的に読ませてもらったことも、今回の作品でストーリーとして繋がっています。また今作の特徴として、身近な人や物を描いた短歌作品に良作が多いことも、好印象でした。審査には直接影響しませんが、娘さんによる素敵な挿絵もありました。山本さんのご受賞をご家族と共に祝いたいと思います。