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紫式部市民文

「紫式部市民文化

発展を図り、また市

の中から新作または前年

52 作品の応募の中から選ばれた 2 つの受賞作品を紹介します。

文化自治振興課文化係( 20-8721)

山路興造

今年の市民文化賞

び抜けて優れたものが

に満場一致で決まりまし

受賞作品の詩集 『キハーダ』

品の多い現代詩の中では、表面

かりやすい言葉で、一見なんでもな

景を紡

つむ

ぎ出している作品です。しかしそ

のなかに秘められている内容は、すこぶ

る重いものです。第Ⅰ部は東日本大震災

による原発被災地に対する深い追悼と、

原発に対する懐疑が込められた作品群で

す。題名になっている 「キハーダ」 という

作品も、被災地である南相馬の牧場に放

置された馬の骨から生まれた詩です。何

の説明もありませんが、何でもない言葉

の中に、作者の想いは確実に読むものに

伝わってきます。

母への思いを綴った第Ⅱ部、第Ⅲ部に

は過去の戦争に触れた作品もあります。

何でもない日常の生活描写 なかに、作

者の 「平和」 へのいとおしさが、散りばめ

られています。

もう一つの受賞作品の句集 『青の先』

も、俳句における言葉の選び方、組み立

て方を先天的に会得している、職業的に

作られていないとしか思えない作品集で

す。

16

年ほどの句歴の中で紡いだ句を春

夏秋冬に分け 編集したものですが、

17

文字のなかに、意表を突いた語句の選び

方、並べ方は新鮮です。選考委員全員が

一致して驚かされた作品です。

表題である 「青の先」 の句は、 「青の先

は青初秋の連絡船」 という作品でした。

受賞の言葉

五年前の夏、南相馬の牧場で餓死した

馬の骨を目にしました。感情を上手く言

葉にはできませんでした。秋に、馬の顎

と歯で拵

こしら

えた楽器の演奏を聴く機会があ

り、馬の姿がふっと浮かび その

時に生まれた詩が、詩 「キハーダ」 です。

世界中の出来事が想像の及ばぬ量と速

さで行き交う社会で、詩を書くことは投

とう

びん

通信のような営みです。今回の受賞

は、壜

びん

の中の言葉を拾い、無音の馬の音

色を聴いていただいた人が確かにおられ

たという喜びです。選考委員のみなさ

ま、励ましてくれた友人、支えてくれた

家族に 心より感謝を申し上げます。

受賞の言葉

この度は受賞の連絡を頂き戸惑っており

ます。宇治生まれ宇治育ちのわたしにとっ

て紫式部市民文化賞は長年の憧れで た。

時間がたつにつれ身に余る想いがして

います。

作品は忙しい仕事と家庭生活をやりく

りしながら、句会に参加してできた俳句

達です。

個々の俳句は行き当たりばったり作って

きたのですが句集に とめることにより、

新しい世界を作れたかなと思っています。

『青の先』 をお読みくださった皆さ 、

選考してくださった皆さまに大変感謝申

し上げます。ありがとうございまし 。

◉著者略歴

昭和

32

年、兵庫県生まれ。静岡大学卒業。作

品 「風食」 で詩人会議第

23

回新人賞受賞、詩集

「始祖鳥」 で第

1

回現代詩平和賞受賞。宇治市

在住。

◉著者略歴 昭和

30

年、宇治市生まれ。京都市立看護短期

大学卒業。宇治市在住。

中井保江

さん

北村 真

さん

紫式部市民文化賞

句集 『青の先』 中井

保江

さん

紫式部市民文化賞

詩集 『キハーダ』 北村

さん

受賞作品

決定!

4