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宇治市「アトツギらぼ」座談会レポート

印刷ページ表示 大きな文字で印刷 更新日:2026年9月30日更新

宇治市「アトツギらぼ」2025 参加者による座談会を実施しました!

2021年度よりスタートした「アトツギらぼ」。
宇治・山城地域のアトツギ(事業の後継者、後継者候補)が、自分自身のあり方や家業について見つめると同時に、アトツギ同士がつながる場として開催してきました。
2025年度は「信頼を築き、家業のソース(源)を受け継ぐ」をテーマに実施。16名が参加し、「ソース原理」という考え方を軸に、講義やグループワークを通じて、自身のあり方や家業との向き合い方を探りました。
ソース原理とは、「すべての事業やプロジェクトには、最初にリスクを取って一歩踏み出した人(ソース)がいる」という考え方です。その人が描くビジョンを、どのように周囲とともに実現していくのかに着目する視点でもあります。
では、このプログラムを通じて、参加者にはどのような変化や気づきが生まれたのでしょうか。参加メンバーの一部の方に話を伺いました。​

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メンバー:(集合写真の左から順番に)

藤村 祐輝さん(互応化学工業株式会社)
三浦颯太さん(株式会社三浦建設)
井形好輝さん(応用板金株式会社)
新井雄司さん(京都精工株式会社)
辻 鷹泰さん(有限会社 辻和製作所)
インタビュアー:
小松原(宇治市産業振興課)​

■参加しての率直な感想を聞かせてください

三浦さん:
前年から参加していますが、アトツギという同じ立場の人と話せることに価値を感じています。状況を共有できること、共感し合えることがありがたいです。
ただ、「アトツギらぼ」という名前を社内の共有カレンダーに書くのに気がひける感覚もあります。
―どうして気が引けるんですか?
三浦さん:
日々、先代から指導を受けている状態なので「後を継ぐ段階じゃないのに…と周囲に思われてしまうのでは」と感じてしまっているのだと思います。
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新井さん:
僕はそもそも「アトツギ」という言葉自体に抵抗がありました。創業家ではないので、「アトツギと名乗ってよいのか」と思っていました。
―参加してみて変化はありましたか?
新井さん:
ソース原理に触れていく中で、「創業家かどうか」ではなく、役割として必要であれば受け入れていけばよい、と思えるようになりました。
今は、「アトツギかどうか」よりも「自分がどう関わるか」の方が大事だと感じています。

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■講座の中で、特に印象に残っているワークや体験について教えてください

辻さん:
本プログラムの間で実施されたフォローアップでの自分の内側に向き合う「取り戻しワーク」が強く印象に残っています。自分は三兄弟の長男で両親からの期待を受け育ってきました。それゆえに「いい子」でいようとして、自分の本音に蓋をしていたんですよね。
―蓋をしていることに気づいた、ということですか?
辻さん:
はい。ワークの中で、その蓋をピンポイントで開けられたとき、言葉が出なくなるくらい苦しかったです。
同時に、「本音を出さないようにしていたんだ」と初めて自覚しました。
―かなり大きな体験ですね。
辻さん:
ソース原理でも言われているように、ビジョンは自分の内側から湧き出るものだと思うのですが、その前に「自分らしさを取り戻す」ことが必要なのだと実感しました。
―その後、何か変化はありましたか
辻さん:
父との関係も少し変わりましたね。父のせいでしんどい思いをしていると思ったこともありましたが、期待に応えようと自分で選択していただけだったのだと捉え直せるようになりました。今では「できないことはできない」と認めて、自分がどうありたいかを大切にする意識が出てきました。

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新井さん:
僕はフォローアップで実施されたビジョンを考えるワークと本プログラムで宿題として出された先代へのインタビューが印象に残っています。
―ビジョンを考えるワークはどんな点が印象的でしたか?
新井さん:
レゴブロックを使ったワークだったのですが、レゴブロックを通じて自分の内面や他の人のビジョンが、目に見える形になるのが衝撃的でした。
頭で考えているだけでは分からないことが、一気に立ち上がってくる感覚がありました。
―先代へのインタビューの方はいかがでしたか?
新井さん:
父と対話するきっかけになったのが大きかったです。最初はかなり渋られたんです。でも、話を聞くなかで、父の「プロセスよりも成果を評価する」という考え方を受け取ることができました。
井形さん:
私もインタビューが印象に残っています。当時は忙しく、社長にインタビューシートを渡して記入してもらいましたが、改めて自分自身でインタビューをやり直しました。
―どうしてもう一度インタビューをしようと思ったのですか。
井形さん:
会社が積み重ねてきたことと、自分がこれからやろうとしていることの間に、大きな乖離を感じていて。ただ、会社は長年黒字を続けているので、そこには何か理由や本質があるはずだと思ったんです。
―実際に話を聞いてみて、どうでしたか?
井形さん:
正直、明確にはわかりませんでした。ただ、「自分はまだわからない」ことがわかりました。
「受け継ぐ」ということの難しさを改めて実感しています。

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■一番の学びは何でしたか?

​辻さん:
「事業承継のソース(主体)は自分である」と気づけたことです。それまでは、父が事業承継のプロセスをなかなか進めてくれないことに不満を感じていました。
―気づいたきっかけは何だったのでしょうか?
辻さん:
個別セッションで、「事業承継のソース(主体)は自分なのでは?」と講師の丸毛さんから言われたんです。前職を辞めて帰ってきた時点で、自分がリスクを取って一歩踏み出している。
だからこそ、自分が承継に向けて行動を起こす主体なんだと思いました。
新井さん:
役職や役割に縛られず、自分が価値を感じることをやっていいんだと気づけたことです。
―そこから、どんな変化がありましたか?
新井さん:
「必要ならやる」「違うと思えばやらない」というスタンスを取っていいと思えるようになりました。以前は「やっていいですか」と周囲に確認していたのですが、今は「やります」と伝えるようになりました。そうすると、周囲も意外と協力してくれたり相談もしてくれたりするようになりました。自分が遠慮しすぎていたのだと気づきました。
藤村さん:
一番の学びはソース原理そのものです。
ただ、現実の組織では「本来ソースではない人にやってもらう必要がある」場面もあり、その人にどうソースの役割を担ってもらうのかは難しいと感じています。
理論は理解できても、それを自社でどう実装するかは今後の課題です。
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三浦さん:
オーナーシップの必要性は理解できた一方で、難しさも感じています。会社全体になると、自分の意思だけでは動かせない範囲があるので。
―その中で、どんなことが見えてきたのですか。
三浦さん:
「自分が変えられる領域」と「変えられない領域」が見えました。その境界を意識することで、自分がどこに責任を持つべきかが明確になりました。それが見えたこと自体が学びでしたし、同時に葛藤でもあります。

■参加後の変化を教えてください。

三浦さん:
自分がソースである範囲の仕事については、自分で動く意識が強まりました。
建設現場では複数の事業者が関わるため、「誰が、いつ入るのか」その段取りを自分が決めるようにしました。一方で作業のやり方は職人がソースと考え、その役割の境界を明確にしました。
その結果、トラブルや先代から指摘されることは減ったと感じています。
藤村さん:
ソース原理には良い面と難しさの両方があります。「この人はソースではない」と理解できる点は有効ですが、その一方で「言っても無理」と関わりを諦めてしまうこともあります。また、理論をそのまま伝えても現場では受け入れられにくいため、あえて表に出さずに使う必要性も感じています。​

​​■「アトツギらぼ」はどんな場だと感じましたか?

辻さん:
学校のクラスのようですよね。同じことを学び共通言語を得て、それぞれ現場に戻るけれど、安心して帰ってこられる場所です。成長した姿を見せたいという気持ちもあります。
新井さん:
自分からでは選択しないような領域を学ぶことができる場でした。
また、私は3年前に宇治に引っ越してきたのですが、参加者同士のつながりができたことで、この場を通じて「宇治市民」になれたという感覚も生まれましたし、いろんな意味で地域との関係性ができたと感じています。
藤村さん:
行政が関与していることで、周囲からも「ただ集まる場」ではなく、意味のある取組として認識されていると思います。
また、この場はゆるいつながりだけでなく、仕事につながるネットワークとしても機能していると感じています。
三浦さん:友人にも話しにくい悩みを共有できる場所であり、率直なフィードバックや意見をもらえる場所です。大人になってから深い関係性を築ける場としてもとても貴重です。特に地域で事業をしている会社にとっては、こういった場に参加することで、人脈がそのまま仕事につながることも多く、経営者や後継ぎだからこそ担える役割だと感じています。

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■アトツギらぼはどんな人に参加してほしいですか?

新井さん:
「自分はアトツギと名乗っていいのか」と思っている人にこそ来てほしいです。
参加することで見え方が変わると思います。
三浦さん:
一人で抱えている人ですね。同じ立場の人と話すことで、「自分だけが悩んでいるわけではない」と感じられると思います。

■おわりに

​「アトツギ」という立場ならではの悩みや葛藤があること、そしてだからこそ互いに応援し合う関係性が生まれていることを、改めて実感する時間でした。
ソース原理を通じて、それぞれが抱える迷いや葛藤と向き合いながら、先代から引き継ぐべきものを自分の言葉で捉え直していく姿が印象的でした。
アトツギらぼでは、自分のあり方や家業と向き合い、迷いや葛藤も含めて言葉にしていくプロセスを大切にしています。
そうした対話の積み重ねが、年齢や業種を越えたフラットなつながりを生み、互いに学び合い、応援し合う関係性へとつながっているのだと感じました。
そしてそのつながりのさらなる形成とあらたな学びの場として、今後も地域のアトツギの方々の新たな一歩を後押しするために、引き続き「アトツギらぼ」の展開を進めていきます。

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問い合わせ先

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(車でお越しの場合)​

  • 産業会館 来館者駐車場は約20台程度(無料)
  • 催物によっては大きな混雑が予想されます。ご来館は電車・バスなどの公共交通機関をご利用ください。また、駐車場は宇治市役所庁舎北側と南側の2ヵ所にもあります。障害者用駐車場は、北側駐車場は1階部分に3台、南側駐車場の庁舎に近い場所に3台分あります。詳しくは宇治市役所ホームページをご確認ください。

 

 

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