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宇治市議会(行政視察報告 令和7年度) 5

印刷ページ表示 更新日:2025年9月16日更新 <外部リンク>

議会運営委員会の行政視察報告

年月日:令和7年8月27日(水曜日)~8月28日(木曜日)
視察先:調布市(東京都)、大田区(東京都)
出席委員:宮本委員長、渡辺副委員長、今川、岡本、大河、中村、稲吉、西岡、金ヶ崎の各委員
正副議長:木本議長、鳥居副議長
執行部:大北政策企画部長

調布市(8月27日)

【調査項目】

議会基本条例の検証について

『市の概要』

  • 市制施行:昭和30年4月1日
  • 人口:24万738人(令和7年8月1日現在)
  • 面積:21.58平方キロメートル

1.議会基本条例の検証について

(1)議会基本条例の制定
 議会基本条例の制定に向け、平成23年9月に、議長、副議長、議会運営委員長及び各会派の代表者で構成する議会改革検討代表者会議を設置した。任期は平成25年5月31日まで。各会派からの127項目に及ぶ提案を受けて、議会改革事項の協議を積み重ね、方向性を集約する中で、議会の基本となる考え方や基本原則等を整理し、平成25年2月に条例(案)を決定後、条例(案)へのパブリックコメントを実施し、同年3月に議会基本条例最終案を決定。第1回定例会最終日に、議会基本条例を全議員共同の議員提出議案として上程し、満場一致で可決した(同日公布・施行)。
 条例は24条から成り、その特色として、(1)議会改革検討代表者会議で協議、合意された事項の趣旨・目的・方向性を基本としたこと、(2)条例の骨格として「市民と議会」、「市長等と議会との関係」を整理し、併せて「議会機能の強化」、「政治倫理」を単独の章として構成していること等が挙げられる。
 基本条例の制定によって、条例の基本理念である「市民に分かりやすく開かれた議会」のほか、広報広聴機能の充実のため、「会議の原則公開」、「市民に審議の経過及び結果の報告を行う議会報告会の開催」の3点が大きく変わった点である。

​(2)議会基本条例の検証(1回目)
 1回目の検証は、平成30年9月から12月の間、全6回かけて行った。基本条例の規定事項の取組状況をまとめた検証シートを作成し、会派ごとに、おおむねできている・一部できている・できていない・その他の4区分で評価し、条文ごとに課題を取りまとめて整理した。各回、第何条から何条までと区切って検討を行い、評価結果をまとめた。
 検証結果としては、評価の対象外とした目的・市民・基本理念・会派・条例の位置づけの5つの条文以外の19の条文について評価を行い、おおむねできているが7条、一部できているが10条、できていないはなく、その他が2条となった。平成31年2月に検証報告書としてまとめられ、その後の対応については、改選後の議会に委ねられることとなったが、コロナ禍により検証が一旦止まってしまい、タブレットの導入やペーパーレス化等のICTの活用の取組のみの実施となった。
 検証後、令和元年から5年までの取組として、タブレット端末の導入と決算質疑を試行実施した。議会資料のペーパーレス化と速やかな情報共有のため、タブレット端末を導入し、会議システムとしてサイドブックスを、情報共有アプリとしてラインワークスを利用。決算質疑については、当時の議長が所信表明で発表し、令和4年第3回定例会の決算議案上程時に全会派で総括質疑を行った。

(3)議会基本条例の検証(2回目)
  2回目の検証は、令和5年8月の幹事長会議及び同年9月の議会運営委員会において、当時の議長から、議会基本条例の確認、課題の検証を行うことが提案され、議会として取り組んでいくことが確認された。10月3日に、議会基本条例制定当時、議長であった伊藤議員を講師として、全議員を対象とした議会基本条例の勉強会を行い、10月10日の議会運営委員会において、議長から今後の検討課題として、議会報告会の開催方法、請願・陳情の提出者説明時間・記録の方法、オンライン会議、災害時の議員の行動、情報共有、地方自治法改正に伴う例規の整備(請負、議員の役割等)の5点が提案され、検討を始めた。
 検証方法については、前回の検証結果から優先度の高い課題を議長が選び、検証シートを作成し、各会派が意見を提出した。課題の選出基準としては、予算に関するもの、例規改正に関するもの、災害対策に関するもの等が優先された。各会派から提出された意見を取りまとめ、議会基本条例検証シートを作成し、議長が仕分けをした上で個別の検討項目を決定した。
 仕分けの結果、広報・広聴に関するもの、オンラインに関するもの、災害対策に関するもの、政治倫理に関するものの4項目について検証を行い、令和5年8月から令和7年5月まで、議会運営委員会で25回、幹事長会議で6回、各課題ごとに協議された。

(4)議会基本条例の検証(2回目)結果の振り返り
ア.オンライン対応
 オンライン対応を行うため、全国市議会議長会等の標準例規を参照し、令和7年第1回定例会で調布市議会会議規則及び調布市議会委員会条例を改正、併せて、2つの規程、1つの要綱を制定した。また今年7月に訓練も兼ねて、非公開の委員会協議会をオンライン形式で実施。災害時のオンライン対応のルールとして同時に2つの委員会まで開催することとしているため、午前・午後で2委員会ずつ同時開催した。
 また、災害時対応のオンライン訓練として、災害対策支援本部が設置された想定で、委員会室から正副議長・事務局長が各議員の安否確認や被害報告をオンラインで実施。各議員は会派控室や自宅から参加した。

イ.政治倫理
 政治倫理については、ハラスメント対策やSNSのルールについて研修を実施。内閣府作成のハラスメントに係る研修動画の視聴後、意見交換し共通認識を持ったり、「議員のコンプライアンス」をテーマに講師を招き、請負やコンプライアンス全般についての研修を行った。

ウ.広報・広聴
 広報・広聴については、子供向けの生涯学習出前講座を7回実施し、投票用紙と投票箱を使用して模擬投票をする取組を行った。また、議会報告会の開催についても、広報・広聴機能の拡充や子供を対象とした取組について継続して実施していく必要がある。

エ.災害対策
 災害対策については、災害時における行動マニュアルと緊急時の議会運営マニュアルの2つを整備した。
 行動マニュアルでは、災害対策本部に議員が直接連絡をしないこと、対策本部には局長が出席し災害に関する情報をラインワークスで共有すること、議員の安否確認や情報共有の在り方等について記載している。
 緊急時の議会運営マニュアルは、実際にコロナ禍で議会運営委員会が開催できなかったことがあったため、昨年作成した。

​(5)今後の取組
 令和7年第2回定例会以降の取組としては、(1)基本条例の基本理念に基づき、議会改革について継続して協議すること、(2)政策立案能力の向上に向けて、各常任委員会で所管事務調査に取り組むこと、(3)市制施行70周年記念に関連する事業やイベントへの参画、(4)議会報告会の開催方法等の検討等が挙げられる。

(6)その他
 条例そのものをバージョンアップするような意見はあるのか。ハラスメントの関係は政治倫理のところで対応するが、例規への記載については引き続き検討するとした内容は。SNSの発信に係る適正利用のルール化に関する協議経過は。議会の権能強化、政策研究会の活動、推進の状況は。ラインワークスの災害時の安否確認以外の活用方法は。タブレットの操作等に関して一番困難な課題は何であったか。議員の発言や市民への情報発信等、目に見える変化は生まれてきたか。出前講座の詳細は。協議事項を整理するためのシートの作成に当たり苦労した点は。オンライン形式の委員会協議会では何を議論したのか。ペーパーレスについて、サイドブックスに資料を記載した上で、議員に電話をすることはあるのか。等の質疑がなされた。

調布市視察の様子 

「調布市視察の様子」​​​​

大田区(8月28日)

【調査項目】

ワークスタイル変革に向けた取組について
ICT化の取組について

『区の概要』

  • 区制施行:昭和22年3月15日
  • 人口:74万5,296人(令和7年8月1日現在)
  • 面積:61.86平方キロメートル

1.ワークスタイル変革に向けた取組について

(1)取組に至る経緯と目的について
 令和2年のコロナ禍を契機とし、新たな働き方を模索していた中で、感染拡大の防止、新しい働き方へのシフトという目的で、非接触型業務モデルの確立、紙媒体からの脱却、スマートワークの推進、業務改善と議会改革への挑戦、ワーク・ライフ・バランスの実現を目指してきた。具体的には、議会事務局執務スペースのフリーアドレス化やテレワークの推進をしてきた。

(2)取組の効果について
 フリーアドレスの効果としては、他ラインの職員とコミュニケーションを取ることができる、働きやすさが向上した、執務スペースが効率化された、ペーパーレス化が促進した等の意見が挙げられる。
 テレワークの効果としては、ワーク・ライフ・バランスの状況に満足している等の意見が挙げられる。

​(3)今後の課題と取組について
 フリーアドレスの導入の課題としては、部下のマネジメントが困難、雑談が増える等の意見が挙げられる。
 テレワークの課題としては、コミュニケーションが取りにくい、できる業務が限られ不公平感がある、在席・勤務状況の把握が難しい等の意見が挙げられ、働き方の変化を肯定的に捉えながらも、業務の進め方、進行管理、評価等の面で課題や不安を感じている状況がある。
 大田区議会事務局ワークスタイル変革ガイドラインの中では、定例的に係員ミーティングを実施する等、意見交換ができる環境づくりに努めており、様々な業務の各担当が積極的な意見交換を行うことで、コミュニケーション不足や不公平感といった課題解決に向けたルールづくりが行われるよう取組を進めていく。

2.ICT化の取組について

 ICT化の取組としてはiPad・サイドブックスの導入、ラインワークスの導入、政務活動費精算システム(楽楽精算)の導入、音声文字認識ソフト(UDトーク)の導入等が挙げられる。

(1)ペーパーレス化について
ア.メリット・デメリットについて
 メリットとしては、(1)いつでも資料の閲覧が可能、(2)内容が事務局や会派内ですぐに共有できる、(3)紙管理していた資料が電子となり集約できた、(4)年間約30万枚もの紙資料の削減につながった、(5)(4)に付随した印刷や配付作業といったものが不要となり事務が効率化したといったことが挙げられる。
 デメリットとしては、(1)紙と比較して画面上では読みづらい等の意見もあるが、個人レベルでの課題であり、全体としてはメリットのほうが大きい、(2)改選時期等のサイドブックスのアカウントの更新やアカウントを管理していく作業が発生しているといったことが挙げられる。

イ.今後の課題と取組について
 今後の課題としては、会議録や例規集等、一部ペーパーレス化を進めることが困難な資料があり、タブレットのみで会議を行うことができる完全なペーパーレス化には至っていない点が挙げられる。今後も会議の方法等を研究しながらペーパーレス化の推進を検討していく。

(2)ウェブ会議について
ア.これまでの実績と効果について
 Zoomにより、議会災害対策本部実施訓練等の会議から事務局の打合せまで、各種様々な実績がある。

イ.今後の課題と取組について
 現在、ウェブ会議のさまざまなツールがあるが、今後Zoomではなく、会議内容が情報漏洩しないようセキュリティーが担保されているツールへの移行を進めていくかどうかという課題がある。

 

3.その他

 招集通知、会議録もペーパーレスなのか。政務活動費の精算システム導入による効果は。ペーパーレス化導入の際の議員の思い、考え方は。ラインワークスのグループの運用や閲覧権限は。ラインワークスはタブレットかスマホか、どちらに導入しているのか。予算書、決算書もペーパーレスできているのか。ペーパーレス化に当たってのルールはあるのか。タブレット以外も会議に持ち込んでいいのか。議員からパソコン持ち込みの希望はあるのか。タブレットのキーボードは全員に配付しているのか。Wi-Fi環境は。予算書、決算書等、紙で欲しいという議員からの要望への対応は。フリーアドレス化の話の起点は事務局からか議長からか。ペーパーレス化に際して、議員への研修には時間が長くかかったのか。業務効率が上がってできた時間は、創造性にはどうつながっているのか、区政全体への影響は。議員にパソコンは貸与されているのか。プリンターは会派負担なのか。ユーチューブ配信の視聴者数は。常任委員会のライブ配信は。タブレットの通信費は公費負担か。等の質疑がなされた。​

大田区視察の様子

​​​「大田区視察の様子」​