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宇治市議会(行政視察報告 令和7年度) 3

印刷ページ表示 更新日:2025年9月10日更新 <外部リンク>

文教・福祉常任委員会の行政視察報告

年月日:令和7年8月7日(木曜日)~8月8日(金曜日)
視察先:国分寺市(東京都)、立川市(東京都)
出席委員:今川委員長、西川(美)副委員長、真田、宮本、谷上、木本、加勢の各委員

執行部:波戸瀬福祉こども部長、福井教育部長

国分寺市(8月7日)

【調査項目】

重層的支援体制整備事業について

『市の概要』

  • 市制施行:昭和39年11月3日
  • 人口:13万120人(令和7年8月1日現在)
  • 面積:11.46平方キロメートル

1.重層的支援体制整備事業について

(1)国分寺市の現状について
国分寺市の人口は約13万人で高齢化率は22.2%となっている。人口ビジョンでは、人口は増加傾向で推移しているが、令和22年をピークに減少傾向となると予測しており、人口減少を踏まえた施策を考える必要がある。
主な相談支援機関としては、地域包括支援センターが6か所のほか、障害者基幹相談支援センター、こども家庭センター、自立生活サポートセンターが1か所ずつ、また、福祉の総合窓口相談として「丸っとふくまど」の1か所がある。

(2)重層的支援体制整備事業の構築に向けた動きについて
8050問題やひきこもり、ケアラー、ごみ屋敷など、制度のはざまの課題に対して現在の支援体制では不十分であり、断らない窓口の実現のために重層的支援体制整備事業実施へ向けて検討を開始した。
令和3年4月から令和5年3月までの2年間をかけて、情報収集、庁内関係部署との打合せや都内の自治体調査、関係機関等ヒアリング、実施計画案作成、講演会の開催、関係団体等への周知など、重層的支援体制整備事業への移行準備を行い、令和5年4月から事業を開始した。
その中でポイントとなったのは、令和3年7月に福祉・教育分野以外の所管課も入った地域福祉推進委員会で重層的支援体制整備事業を審議し、進めてきたことや、令和3年10月から令和4年3月にかけて、事業スキーム、方向性の検討を行った結果、既存事業を活用することを決定したことが挙げられる。

(3)重層的支援体制整備事業の特徴について
重層的支援体制整備事業の特徴として、係長職が現場の状況を吸い上げて調整するボトムアップの組織構成である「相談支援総合調整会議」、地域社会の変化による福祉ニーズの複雑化・複合化に対応するための「地域福祉コーディネーターの配置」、どこに相談してよいか分からない相談を受け止める「丸っとふくまど(福祉の総合相談窓口)の設置」の3点が挙げられる。なお、丸っとふくまどは市役所2階の地域共生推進課窓口のほか、令和6年度からは空き家を活用した拠点でも実施している。
また、社会福祉法第106条の6に規定されている支援会議は、会議の構成員に対する守秘義務を設けており、課題を抱える相談者に関する情報の共有等を行うことが可能なため、早期発見・予防的支援につながっており、役割分担や支援の方向性も定めやすくなるので、事業を実施する上で非常に機能している。

(4)成果について
既存事業を活用することで、新たな会議体の立ち上げを行わず、重層的支援体制整備事業を整理できたこと、地域福祉計画の見直しにも役立てることができたこと、社会福祉協議会との有機的な連携が強化されたこと、支援会議の開催が可能になったこと等が成果として挙げられる。

(5)課題について
メリットが伝わりにくいこと、制度の周知、地域福祉計画との調整や交付金の取りまとめといった予算編成等の事務量が多くなること等が課題として挙げられる。
これらの課題に対して、制度のはざまの問題に向き合う体制整備があることを対外的に示すことや丁寧な庁内調整を行い、人員配置を維持することが必要と考えている。

(6)その他
委員からは、相談を受けてから解決するまでに要する期間について、相談窓口がどこの部署になるのか分からない内容に関しても会議を開いて対応を考えているのかについて、8050問題の具体的な対応について、重層的支援体制整備事業を始めるきっかけについて、部署間の調整について、予算について、重層的支援体制整備事業を実施するための条例制定について、地域福祉コーディネーターの業務内容について、多機関協働事業で社会福祉協議会に委託している部分と直営の部分の違いについて等の質疑がなされた。

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「国分寺市視察の様子」

「国分寺市視察の様子」​​​​

立川市(8月8日)

【調査項目】

立川市学校給食東共同調理場について

『市の概要』

  • 市制施行:昭和15年12月1日
  • 人口:18万7,238人(令和7年8月1日現在)
  • 面積:24.36平方キロメートル

1.立川市学校給食東共同調理場について

(1)概要について
学校給食東共同調理場は、これまで弁当併用外注給食方式(ランチボックス形式)であった中学校で給食を完全実施するために令和5年8月から運営を開始している。また、一部の小学校にも給食を配送している。
規模は敷地面積12,000.01平方メートル、建築面積4,767.6平方メートルで、調理能力は1日当たり8,500食、食物アレルギー対応食は最大4メニューで1日当たり150食、配送対象校は小学校8校、中学校9校となっている。
運営主体は、株式会社立川学校給食サービス(SPC)で代表企業は株式会社東洋食品である。
主な設備方針は、学校給食衛生管理基準に準拠した施設設備と給食管理、バリエーション豊かな手作り料理の提供に努めるために望ましい食環境の確保、災害時に対応した学校給食施設の設備である。

(2)整備に至る経過について
平成27年8月に前市長が中学校給食の完全実施を公約に掲げて当選したことからスタートし、庁内検討委員会や学校給食運営審議会への諮問・答申を経て、平成30年2月に学校給食共同調理場の新設に係る方針を決定した。
平成30年9月に事業予定地を国有地であった現在の場所に決定し、令和元年11月に整備基本計画を策定、令和2年7月に整備運営事業実施方針及び要求水準書(案)を公表した。
令和2年9月に財務省が事業予定地を市の要望のとおり処理することを決定し、令和2年10月に入札公告、令和3年3月に落札事業者を決定・公表した。
その後、市議会の議決を経て令和3年6月に事業契約を締結、令和4年1月に国有地売買契約を締結、5月に整備工事を開始、令和5年6月に工事が完了し、引き渡しを受けた後、2か月余りで開業準備を行い、8月に中学校への給食提供を開始、9月に小学校への給食提供を開始した。

(3)アレルギー対応について
最優先は安全性、医師の診断に基づく必要最小限の除去、料理ごとに確認を行う等が基本的な考え方である。
対応食品は卵、乳、エビ、イカ、ゴマで、調理場の食物アレルギー対応食専用室で除去食または代替食を調理し、提供している。
対応食品以外で、現在把握している食品は91種類あり、これらを原因食物とする場合には、家庭から持参となる。その旨を実施手順書の様式を用いて保護者・学校と確認を行っており、それに従って教室で給食の配膳と喫食前の確認を行っている。
給食で使用しない食品を明確に決定しているため、食物アレルギーはあるが、給食対応の必要な児童・生徒数を約半数にまで減らすことができている。

(4)配送計画・配膳方法等について
配送計画について、調理場出発時間は各校の生活時程、調理場からの距離、配膳員の人数を考慮して決定し、食缶回収時間は給食終了時間や校内での回収時間を考慮して決定している。なお、配送・回収時間は、年度ごとに学校と調整の上、決定している。
配膳方法について、まず、調理場では出来上がった給食をクラスごとに食缶に入れていき、食器と食缶をコンテナに入れて配送車が出発する。次に、小学校では届いた給食を配膳員が各クラスのワゴンに食器と食缶を載せて各階の配膳室に準備したものを給食当番が取りに来て配膳している。中学校では各階に配膳室がないため、コンテナを教室の前に運び、そこから給食当番が配膳している。

(5)課題について
課題は、開業前の準備不足、人員不足による調理ミス等の発生、手作り調理のノウハウの不足、作業の丁寧さの不足、配膳員の衛生管理・食物アレルギー対応に関する研修の不足などが挙げられる。
行政と事業者で当たり前と思っていることにずれが生じるので、面倒だが小さなことでもお互いの意識を合わせる努力が課題解決には必要である。

(6)その他
委員からは、開業までの準備期間が2か月で足りたのかについて、アレルギー対応食数の詳細について、調理員の正規職員数について、各校の配膳員数について、アレルギー対応等の学校現場とのすり合わせ方法について、中学校の4校時の終了時刻について、配膳員の雇用主について、中学生が給食を食べ始める時刻について、小学校と中学校の給食は別メニューなのかについて、建設費について、運営委託費について、学校給食課に栄養士が配置されているのかについて、食材の調達方法について、学校給食課が所管している業務について、学校給食課の職員数について、公会計化を導入した際の苦労について等の質疑がなされた。

​​「立川市視察の様子」

「立川市視察の様子2」

「立川市視察の様子」​