本文
宇治市議会(行政視察報告 令和7年度) 2
産業・人権環境常任委員会の行政視察報告
年月日: 令和7年8月4日(月曜日)~8月5日(火曜日)
視察先: 港区(東京都)、横須賀市(神奈川県)
出席委員:松峯委員長、西川(康)副委員長、坂本、堀、関谷、西川(友)、藤田の各委員
執行部: 脇坂産業観光部長、前田人権環境部長
港区(8月4日)
【調査項目】
環境学習施設エコプラザについて
『区の概要』
- 市制施行:昭和22年3月15日
- 人口:26万9,609人(令和7年8月1日現在)
- 面積:20.36平方キロメートル
1.環境学習施設エコプラザについて
(1)概要について
港区立エコプラザは、区民の環境の保全に関する理解を深めることにより、環境への負担の少ない生活文化の形成に寄与することを目的として、平成7年に暫定施設を開設、平成20年に現在の場所に移転し、本格開設した。環境全般に関する総合学習を行う場として、区内の在住・在学・在勤者の誰もが気軽に利用・参加できる施設とし、次代を担う子供たちから様々な生活の知恵を知る高齢者まで、幅広い年代の人々が交流・体験を通じて見る(知る)、考える、行動する(地域に生かす)ことができる内容を目指している。
建物は、みなとモデル二酸化炭素固定認証制度のモデルケースで、みなと区民の森の整備で生じた間伐材などを生かした内装になっている。館内は同制度を紹介する常設展や、月替わりの企画展、約1,500冊の環境に関する図書を自由に見ることができ、建物に隣接したビオトープでは季節の草花や生き物を観察することができる。また、土日・祝日は子供向け、親子向け、大人向けなどの講座やイベントなどを行っている。その他、環境保全活動に取り組む団体が、会議や講習会などに利用できる会議室の貸出しも行っている。
(2)施設を設立するに至った経緯及び目的について
経済成長に伴って物質的に豊かな生活を得られるようになった反面、地球規模での環境悪化が問題となり、平成初期には廃棄物の減量と資源の有効利用により環境への負荷を低減する循環型社会の実現が必要と認識されるようになった。港区は、区政運営の柱の一つとして循環型社会の形成を掲げ、その達成を目指す核となる施設としてエコプラザを設置した。
また、エコプラザを環境全般の普及啓発を中心とする環境総合センターとして位置づけ、区民、団体、事業者、行政機関などが環境問題について協働して活動する場とした。
(3)主な取組及びその成果について
令和6年度は合計217事業を実施し、利用者数は84,695名だった。一見環境とは関係のない音楽や伝統芸能などをテーマとした大人向けの講座が好評で、子供や親子向けも含め、多くの講座が定員の2倍から10倍の申込みとなっている。
月に1回程度で展示替えをしている企画展では、絵本作家がアップサイクルした作品の展示や生きものの写真展など、ふらっと立ち寄られた人が環境へ関心を寄せるきっかけを提供している。
また、40から50代を中心に40名程度のボランティアが講座の手伝いや自主企画などをしている。
(4)今後の課題と取組について
区民の認知度の向上が課題である。対策として昨年度より地域の祭りへの参加や地域連携講座に力を入れている。それらをきっかけにエコプラザを知った人が、エコプラザで開催する講座に出席するなどの効果が見られている。
また、中学生から大学生の利用が少ないため、学校単位での受入れや地域の高校生で生き物に関心の高い子供たちのために発表の場を設けるなどしている。
より多くの区民に利用してもらえるよう、エコプラザが様々な対象の人が行き交う環境活動のプラットフォームになることを目指し、誰もが居心地のよい空間となるような雰囲気づくりと、子供たちに対しては安全・安心に過ごせる空間づくりに努めていく。
(5)その他
委員からは、職員数について、施設職員に区職員はいるのかについて、これまでに指定管理者は変わっているのかについて、指定管理者が変わった理由について、現在の指定管理者の強みについて、サラリーマンの施設の利用方法について、利用料金について、休憩目的の利用を歓迎しているのかについて、自主事業の内容について、ビル管理会社の役割について、高齢者の利用について、講座の申込み状況について、講座の周知方法について、講座受講者の新規とリピーターの割合について、指定管理料について、今後の取組について、AIの活用について、身近なことから環境問題を考えるといった取組が大事なのかについて、区職員の運営への関わり方について等の質疑がなされた。

「港区視察の様子」
横須賀市(8月5日)
【調査項目】
横須賀市観光立市推進アクションプランについて
『市の概要』
- 市制施行:明治40年2月15日
- 人口:37万6,682人(令和7年4月1日現在)
- 面積:100.80平方キロメートル
1.横須賀市観光立市推進アクションプランについて
(1)概要について
横須賀市は、人口減少と産業構造の変化への対応策として観光立市の実現に向けて、平成26年に横須賀市観光立市推進条例を制定した。その後、平成28年に横須賀市観光立市推進基本計画、平成29年に観光立市推進アクションプランを策定し、観光を新たな産業の柱として振興してきた。観光資源の再評価や若年層・女性を中心にこれまで横須賀に訪れていなかった層への訴求を目的に、横須賀の持つ豊富な観光資源と文化・スポーツ・エンターテインメントとの融合を図る戦略を展開し、令和6年には観光客数が1,032万人を超え、一定の成果を収めている。
(2)横須賀市観光立市推進アクションプランの策定に至った経緯及び目的について
横須賀市はかつて製鉄・造船・軍需産業の拠点として発展したが、1990年代以降の製造業の衰退と空洞化などにより、雇用が減少していった。次世代産業として情報通信業の誘致を進めたものの限界があり、人口減少が加速していった。
そうした状況を打破するため、新たな産業の柱として観光に注目し、地域産業の再評価、人口減少に伴う市内消費減少を外需でカバーすること、観光をきっかけとした移住・定住促進を目的として、観光立市を目指す条例と計画を策定した。
(3)主な取組及びその成果について
観光の新たな価値創造を目指し、多彩な取組を展開している。市内の観光スポットを周遊型ミュージアムとしたよこすかルートミュージアム、製鉄所跡地の再開発、観光施設のリニューアル、地場産品の発信施設の整備などを実施した。また、民間主導のイベントやウインドサーフィンワールドカップの実施、アーバンスポーツ、eスポーツやメタバースなども推進している。
結果として観光客は令和6年に1,000万人を突破し、ファミリー層が転入超過となるなど社会減が改善した。
(4)今後の課題と取組について
今後の課題は、日帰り客の多さによる観光消費額の伸び悩みと宿泊施設の不足などが挙げられる。観光消費額は目標の8割程度にとどまっており、今後は滞在時間、観光消費額の向上が重要となる。また、若年層、女性、ファミリー層の増加を背景に、さらなる定住促進と地域経済の活性化が求められる。
次期アクションプラン策定に向けては、データ分析による効果・検証を進め、より戦略的な施策へと展開する予定である。今後も民間との連携を深め、持続可能な観光都市を目指す。
(5)その他
委員からは、インバウンドの数について、インバウンドに係る多言語対策について、宿泊施設の数について、観光客数の1,000万人突破と社会減の改善に一番寄与した取組は何かについて、どういった基準で観光消費額の目標を636億円以上としたのかについて、なぜアーバンスポーツを推進しているのかについて、メタバースに行政はどのように関わっているのかについて、メタバースに取り組んだことによる成果について、財政状況について、観光に関する業務に従事している職員の数について、横須賀市観光立市推進基本計画・アクションプランの予算規模について、観光から定住につながっている要因について、メタバースなどの新しい取組に反発はなかったのかについて、よこすかルートミュージアムの取組経過について、次期計画の目標について、グルメ分野での戦略的な取組について等の質疑がなされた。

「横須賀市視察の様子」





