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宇治市議会(行政視察報告 令和7年度) 1

印刷ページ表示 更新日:2025年8月29日更新 <外部リンク>

 

建設・水道常任委員会の行政視察報告

年月日: 令和7年8月4日(月曜日)~8月5日(火曜日)
視察先: 君津市(千葉県)、柏市(千葉県)
出席委員: 服部委員長、金ヶ崎副委員長、山崎、徳永、中村、西岡、荻原の各委員
執行部:    飯田建設部長、蒲原上下水道部長

君津市(8月4日)

【調査項目】

ドローンを活用した橋梁点検について

『市の概要』

  • 市制施行:昭和46年9月1日
  • 人口:7万9,032人(令和7年7月31日現在)
  • 面積:318.78平方キロメートル

1.ドローンを活用した橋梁点検について

(1)概要について

君津市では令和7年現在、229橋を管理している。通常、市町村が保有している橋梁は15メートル未満が多いが、君津市では約半数が15メートル以上の橋梁となっている。また、令和5年現在、市内の橋梁の60%が架設から50年以上経過しており、全国平均と比較すると、約1.5倍のスピードで橋梁の高齢化が進んでいる。

平成26年から平成30年までの橋梁の健全性の診断結果では、点検5年後までに補修が必要な早期措置段階の橋梁の割合は、全国平均が10%に対し、君津市はその約1.5倍である17%となっている。

これらの点検による交通規制・コストや橋梁の状態のデータ管理などの課題に対し、職員がドローンを活用することで改善できるのではないかと考えた。

(2)橋梁長寿命化事業について

橋梁長寿命化事業は従来の補修の必要な箇所を大規模更新する事後保全型管理から予防保全型管理に移行し、橋梁の延命化によるコストの縮減や永続的な安全性の確保と計画的な補修をすることで、予算の平準化を図ることを目的としており、今後50年間で約55%のコスト削減を見込んでいる。

予防保全型管理ではPDCAサイクルをしっかりと組み、適切なメンテナンスサイクルを構築することが重要である。しかしながら、修繕計画の見直し・日常管理・橋梁点検・評価と改善を適切に実施することは難しく、様々な課題があった。

(3)定期点検について

平成26年6月に道路橋定期点検要領が制定された。これにより、全ての橋梁を5年に1回、全ての部材を近接目視で点検し、また健全性を健全・予防保全段階・早期措置段階・緊急措置段階の4段階で判定することになった。平成26年から平成30年まで実施した一巡目の点検で、以下の4点の課題が生じた。

1.交通規制による橋梁利用者への負担

2.点検により判定された調書のみで損傷等の状態を把握することが困難

3.外部委託とJR及びNEXCOの管理者委託費用が高額。また、今後も人件費高騰でさらなる委託費の増大が見込まれる

4.点検業務の報告書の資料やデータ容量が膨大​

これらの課題に対し、職員がドローンを活用して点検することで解決できるのではないかと考え、職員がドローン操縦資格を取得。その後、平成31年2月に道路橋定期点検要領が改定され、点検者が近接目視と同等の情報が得られると判断した方法で点検することに見直されたことから、民間企業2者(ドローンスクール・IT企業)との新たな連携協定の後、ドローン点検の実証実験を開始した。

 

​​(4)ドローン点検の導入

実証実験は君津市・木更津工業高等専門学校・ドローンスクール・民間企業2者により実施し、ドローン点検が近接目視と同等の判断ができると確認できたので、令和2年3月に君津モデルとして実証実験の結果報告を行い、同年7月から本格運用へと移行した。                                                                                           ドローン点検を本格運用することで、以下の2点の課題が見えてきた。

1.狭隘部や植物などでドローンが撮影できない箇所がある

2.打音調査・触診調査ができない


これらの課題については地元の建設業者に委託して、撮影不可範囲の点検・写真撮影・打音調査・触診調査を実施し、収集した情報を基に市が診断をしている。その後、総合診断調書を作成し、健全性マトリックスに反映している。この健全性マトリックスに路線の重要度と健全度を落とし込むことで、橋梁全体の評価を行い、リスクの高い橋梁を抽出している。これにより、最新の市全体の橋梁の状態を把握して改善方針の下、修繕計画を立てるといったPDCAサイクルを実施している。

なお、ドローン点検による費用削減効果としては、従来の委託点検と比較して、5年間で約7,400万円となっている。

 

​(5)今後の課題について
ドローンを操縦していた職員の異動によるパイロットの確保と、診断技術の習得が課題である。今後、AIを使うことで一定レベルの職員が見れば、誰でも同等の診断ができるという技術が広まればと考えている。

 

​(6)その他

委員からは、ドローン点検に従事する職員数について、ドローンを利用することで損傷の詳細が分かるのかについて、ドローンスクールの講習費用について、ドローンの操縦資格を取得する難易度と必要な時間について、ドローンの操縦資格の取得は職員の希望を聞いているのかについて、ドローン点検で使用する機体の費用について、ドローンを公共施設の点検に使う考えはあるのかについて等の質疑がなされた。

​​

「君津市の様子」

「君津市視察の様子」

 

柏市(8月5日)

【調査項目】

下水道劣化ハザードマップについて

『市の概要』

  • 市制施行:昭和29年11月15日
  • 人口:43万7,762人(令和7年8月1日現在)
  • 面積:114.74平方キロメートル

1.下水道劣化ハザードマップについて

(1)概要について

柏市では、官民連携によるサービスレベルの向上・早期の予防保全型維持管理への転換・安定かつ継続的な下水道施設の維持管理を目的として、平成30年10月に全国で初めて計画的な調査点検と改築更新を主眼においた予防保全型の包括的民間委託を導入した。これにより、優良企業の長期確保と大手企業から地元企業への技術移転が期待された。

 

​(2)下水道劣化ハザードマップについて

1.管路の実態調査
管路の実態を調査するに当たり、スクリーニング調査を管口カメラから自 走式カメラに変更した。管口カメラは安価であるがマンホールから前後10メートル程度の調査となり、障害を見過ごす可能性が高い。一方、自走式カメラは受託者の企画提案で実施し、全ての管路の詳細な調査ができることから障害を見過ごす可能性が低い。

2.管路の調査結果
対象管路は約560キロメートルあり、その調査については、緻密に劣化予測が行えるマルコフ推移確率モデルを適用した結果、全国平均値より劣化が少ない期待寿命の増加という、当初の予測より状態が良いことが確認された。これにより、50年とされてきた耐用年数で改築する場合と比較して、期待寿命で改築する場合では100年間で約3,000億円の事業費を圧縮できると推定された。

3.ハザードマップの作成
ハザードマップは最終的には1枚に落とし込むが、その過程では何枚ものハザードマップを作成している。
まず、地形分類・大規模開発されたエリアと劣化している管渠を重ねたり、用途地域との相関性の有無など一つずつ分析した。また、腐食・クラック・油脂付着などの不具合が地域的に偏りがあるか、大規模開発や用途地域が劣化する要因との相関の有無を分析した。
劣化要因の分析結果で、管種・大規模開発と劣化は大きく相関性があり、経過年数・地形分類がその次に相関性があることが分かったことから、未調査エリアにおけるリスク評価に活用した。
これらの調査結果による不具合を総合評価し、メッシュ単位で可視化すると ともに施設の重要度に加え、劣化要因を考慮した予測図を作成した。
この劣化ハザードマップの活用は令和5年度国土交通大臣賞を受賞した。

4.ハザードマップの作成による効果
未然に対処した結果、陥没・詰まり・苦情の件数がアウトカム目標に対して約6割の減少となり、予防保全の効果を発揮する結果となった。

 

(3)第2期の管路包括について

第2期では事業期間を5年として、第1期のストックマネジメント計画の見直しにより点検・調査箇所を設定した。経過年数から経年劣化を考慮した点検・調査として処分制限期間を考慮し、20年経過管以上を点検・調査する方針である。

(4)その他

委員からは、プロポーザルの提案者数について、AIには第1期より以前のデータも落とし込んで判定しているのかについて、AIは何年間分のデータを学習しているのかについて、AIが学習するデータ量について、陥没が発生しているのは調査をしていない箇所なのかについて、今後開発を行うときには新たな下水道の規制をかける予定があるのかについて、下水道で得たノウハウを上水道に生かす予定があるのかについて、上下水道整備にかかる費用の考え方について、下水道の利用料金について、流域下水道管があるのかについて等の質疑がなされた。

「柏市の様子」

「柏市視察の様子」