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宇治市議会(行政視察報告 令和6年度) 6

印刷ページ表示 更新日:2024年9月3日更新 <外部リンク>

 

建設・水道常任委員会の行政視察報告

年月日: 令和6年8月5日(月曜日)~8月6日(火曜日)
視察先: 長野市(長野県)、富山市(富山県)
出席委員: 鳥居委員長、服部副委員長、大河、堀、西岡、加勢の各委員
執行部:    伊藤理事、飯田建設部長

長野市(8月5日)

【調査項目】

千曲川に係るかわまちづくり事業について

『市の概要』

  • 市制施行:明治30年4月1日
  • 人口:36万3,441人(令和6年8月1日現在)
  • 面積:834.85平方キロメートル

1.千曲川に係るかわまちづくり事業について

(1)概要について

国土交通省の事業であるかわまちづくり支援制度(※)を活用し、千曲川の利活用による地域の活性化を図ることを目的に行われている。取組として、川に対する市民の意識の改革、川を生かした魅力体験、千曲川にふさわしいアクティビティーの模索、歴史・文化資源の掘り起こし及び活用方法の検討、サイクリングロードの検討及び自転車利用団体による試走が行われている。

その実施に当たっては沿川5市町(長野市、須坂市、小布施町、中野市、飯山市)、国土交通省北陸地方整備局千曲川河川事務所、長野県観光誘客課・道路管理課、民間企業(株式会社モンベル、東日本旅客鉄道株式会社長野支社、長野電鉄株式会社)、その他(カヌー関係者、自転車関係者、歴文精通者等)により組織する千曲川北信5市町かわまちづくり推進協議会を令和3年5月20日に設立し、取組を進めている。

※かわまちづくり支援制度

市町村、民間事業者及び地元住民と河川管理者の連携の下、河川空間とまち空間が融合した良好な空間形成を目指すもので、支援制度には地域のニーズに対応した河川敷の多様な利用を可能とするソフトに対する支援に加え、治水上及び河川利用上の安全・安心に係る河川管理施設の整備を通じ、まちづくりと一体となった水辺整備に係るハードに対する支援がある。

 

(2)経過について

多くの子供たちに千曲川での各種体験を通じて豊かな感性と郷土愛を育むこと、及び千曲川をフィールドにアウトドアアクティビティーによる広域観光の推進を図りたいという当時の市長らの思いをきっかけに事業が始まった。かわまちづくり事業には国土交通省への登録が必要となるため、平成29年11月に行政、民間、個人により組織する千曲川河川空間利活用検討協議会を設立し、7回の検討会の末、平成31年1月23日に登録申請を行い、同年3月8日に登録された。その後、準備委員会において構成や規約等を検討し、令和3年5月20日に千曲川北信5市町かわまちづくり推進協議会を設立した。

 

(3)主な取組及びその成果等について

1.長野市のカヌーポート(親水護岸)周辺整備及び活用構想

令和4年度にカヌーポートが国により整備された。令和5年度にカヌーポートの近くを舗装しロータリーを整備した。また、カヌーポートを起点に川に沿って2キロメートルの歩行者・自転車道整備を計画している。

2.モニターツアーの実施

地元の小学生、保護者、教師、観光協会、旅行者を対象にモニターツアーを行い、川遊び行事の普及と川に対する恐怖感の軽減を進めている。

3.千曲川にふさわしいアクティビティーの模索

千曲川は流れが穏やかで川幅が広く、全国的にも数少ないサップヨガに適した川であるため、実施に向けて関係者との協議等を進めている。また、飼い犬とのカヌーや中州を活用したドッグランやバーベキューの活用も検討されている。

4.歴史・文化資源の掘り起こし及び活用方法の検討

千曲川周辺の歴史のある箇所を紹介した全長27キロメートルの自転車で巡ることのできる歴史散策マップを作成した。地域の歴史を知ることで地域への愛着を育む狙いがある。

 

(4)今後の課題について

1.川に対する市民の意識の改革

令和元年東日本台風災害による被災体験から、川に対する恐怖感が市民に根づいている。「川は遊ぶところではなく怖いところ」という意識を取り除いていくための意識改革に向けた取組として、上記モニターツアーを行っている。

2.維持管理

アクティビティーでの活用において事業者からは、利用者が快適に過ごすことができる環境整備(トイレ、更衣室、多目的広場等)が求められており、設置に向けて協議しているが、トイレは出水期には一時撤収する必要がある等、衛生的な維持管理には課題がある。

 

(5)その他について

委員等からは、千曲川は天候に関わらず年間通してアクティビティーでの利用が可能なのかについて、市民の持つ川に対する恐怖感に対しての取組の効果について、将来的には事業者が主体となってイベントやレジャーを行うのかについて、市が負担した予算について、株式会社モンベルの役割について、入込客数の目標はあるのかについて、令和元年東日本台風災害が計画に与えた影響について、千曲川の治水について、親水護岸整備に利用した巨石について等の質疑がなされた。

 

長野市視察の様子

「長野市視察の様子」

 

富山市(8月6日)

【調査項目】

歩きたくなるまちづくりについて

『市の概要』

  • 市制施行:明治22年4月1日
  • 人口:40万4,929人(令和6年8月1日現在)
  • 面積:1,241.70平方キロメートル

1.歩きたくなるまちづくりについて

(1)概要について

富山市は人口減少に対応したまちづくりとしてコンパクトなまちづくりを進めてきた。さらに「富山市歩くライフスタイル戦略」を策定した平成30年以降は、公共交通の維持、健康増進、地域経済の活性化等を目的に歩きたくなるまちづくりに係る施策を行っている。具体的な取組としてはスマートフォンアプリ「とほ活」、とほ活ベンチプロジェクト、高齢者を対象としたおでかけ定期券といった取組を行っている。

 

(2)経過について

富山市の人口は平成22年をピークに減少に転じ、生産年齢人口の減少による経済の縮小化、高齢化の進展に伴う社会保障費の増大が課題となっている。同市は全国2位の自動車保有台数でかつ高い自動車分担率となっており、自動車依存の状態が路線バスなど身近な公共交通機関の利用者の大幅な減少を招いていた。これらを受け富山市は公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを展開し、各拠点の人口密度を高めることで行政サービス等を効率化し、人口減少に伴う課題への対応を行った。富山駅を中心とする放射状の鉄軌道及び路線バスのネットワーク形成による公共交通の活性化に並行して、公共交通の維持、健康増進、地域経済の活性化など幅広く好影響を及ぼす歩きたくなるまちづくりに係る施策を展開している。

 

(3)主な取組及び成果について

1.スマートフォンアプリ「とほ活」

歩く行動に対する楽しみやインセンティブを提供するスマホアプリを開発し、市民の行動変化を起こすきっかけづくりを支援している。   

ア.ポイント取得について

毎日の歩数に応じてポイントを取得できる(1,000歩で8ポイント)。公共交通の利用は駅改札や市内電車、バス車両内に設置されたビーコンからの電波を検知して、ポイントを取得できる(1日1回で5ポイント)。イベント参加はまちなかでの催しやウオーキングイベントなどの会場に設置されたQRコードを読み込んでポイントを取得できる(1日1回で最大100ポイント)。ためたポイントを使って商品への抽せん応募が可能となっており、商品は市内リゾート施設の宿泊券や健康関連製品、地元百貨店の商品券、スポーツ観戦券等が用意されている。

イ.トータルデザインによるブランディングについて

公益財団法人日本デザイン振興会が主催するグッドデザイン賞を令和3年に、自治体が開発したスマートフォンアプリとして全国で初めて受賞している。富山市民に親しまれるキャッチフレーズ「とほ活=富山で歩く生活」と普遍的な展開が可能なキービジュアル、富山市が全市的に進めるコンパクトなまちづくりと連動した公共交通の利用を促すポイント取得システム、普及啓発ツールのトータルデザインによる市や民間の様々な施策やイベントと連携した一体的ブランディングの3点が評価されたもの。

ウ.成果について

アプリのリリース後5か月でユーザー登録は5,000人を突破し、現在は約2万人となっている。利用者の年代別割合は、スマホとの親和性が高い働く世代のユーザーが多い。歩くライフスタイルへの転換を促したい層に効果的にアプローチした。令和2年からの継続利用者の平均歩数は6.7%増加している。また、アプリ利用者のうち、約9割が歩くことへの関心が高まったと回答し、半数以上が家族や友人等とのコミュニケーションの機会が増えたと回答している。

2.とほ活ベンチプロジェクト

市民や来街者が快適に歩くことができる環境づくりを目的として地域や民間企業等と連携しながらベンチを整備する(令和5年度末で終了)。民間からの寄附や国庫補助金を活用して市がベンチを設置するほか、民間設置ベンチへの費用の一部補助(設置費の3分の2・上限10万円)を実施した。

3.おでかけ定期券

交通事業者と連携し、65歳以上の高齢者を対象に市内各地から中心市街地へ出かける際の公共交通料金を1回100円としており、65歳以上の市民の4分の1が利用している。高齢者の外出機会の創出、中心市街地の活性化、公共交通の維持・活性化、外出による健康増進など幅広く好影響を及ぼしている。

 

(4)その他について

委員からは、とほ活アプリに要した予算について、とほ活アプリの抽せん商品について、おでかけ定期券の市民負担額について等の質疑がなされた。

 

富山市視察の様子

「富山市視察の様子」