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宇治市議会(決議・意見書 令和5年12月)(1)
女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求める意見書
1979(昭和54)年、国連はあらゆる分野で女性が性に基づく差別を受けない権利と平等の権利を保障する女性差別撤廃条約を採択し、日本は1985(昭和60)年、この条約を批准した。2023(令和5)年現在、189カ国が批准している。
さらに1999(平成11)年、条約の実効性を強化し女性が抱える問題を解決するために、個人通報制度と調査制度を認めた「女性差別撤廃条約選択議定書」が国連総会で決議・採択され、2000(平成12)年12月に発効している。2023(令和5)年現在、条約批准189カ国中115カ国が批准しているが日本はまだこれを批准していない。
選択議定書の個人通報制度とは、条約で保障された人権を侵害された被害者が、国内の救済手続を尽くした後、条約機関に申立てを行うことができ、条約機関がこれを審査して見解を出すという制度である。条約機関が通報者の人権侵害を認める見解を出したとしても、この見解は当該締約国に対し法的な拘束力を持つものではないが、国際的にも国内的にもその影響は小さくない。
このような選択議定書を批准することにより、締約国は国際的な人権基準に基づき女性の人権侵害の救済と人権の保障をより強化できる。
女性差別撤廃条約の実効性の確保を図ろうとする国際的動向の下で、日本政府は選択議定書の審議に参加し、決議に加わったものであるが、日本は男女格差を測る「ジェンダーギャップ指数2023」が146カ国中125位に後退している。
政府は、第5次男女共同参画基本計画で「女性差別撤廃条約の選択議定書については、諸課題の整理を含め、早期締結について真剣な検討を進める」としている。
よって、国におかれては、我が国の司法制度や立法政策との関連課題等が早急に解決されるよう環境整備を進め、女性差別撤廃条約選択議定書を早期に批准するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年12月 25日
京都府宇治市議会議長 松峯 茂
衆議院議長 額賀 福志郎 様
参議院議長 尾辻 秀久 様
内閣総理大臣 岸田 文雄 様
総務大臣 松本 剛明 様
外務大臣 上川 陽子 様
内閣官房長官 林 芳正 様
内閣府特命担当大臣 加藤 鮎子 様
(男女共同参画)