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宇治市議会(行政視察報告 令和4年度) 2

印刷ページ表示 更新日:2022年9月15日更新 <外部リンク>

総務常任委員会の行政視察報告

年月日: 令和4年7月28日(木曜日)~7月29日(金曜日)
視察先: 船橋市(千葉県)、焼津市(静岡県)
出席委員: 池田委員長、金ヶ崎副委員長、服部、西川(康)、稲吉、佐々木の各委員

船橋市 (7月28日)

【調査項目】

  • 申請書作成支援窓口(書かない窓口)について

『市の概要』

  • 市制施行:昭和12年4月1日
  • 人口:64万6,707人(令和4年6月1日現在)
  • 面積:85.62平方キロメートル

1. 申請書作成支援窓口(書かない窓口)について

(1)申請書作成支援窓口(書かない窓口)の概要について
 全国に取組が広がりつつある「申請書作成支援」を、住民異動届とその関連手続きに適用した。
 住民異動届は書かずに「かんたん」に、関連手続きをナビゲーション機能で「正確に」特定し、伝えるのが難しい案内を書面で 「わかりやすく」している。

(2)導入に至った経緯と目的について
 申請書作成支援窓口(書かない窓口)を事業化する端緒としては、戸籍住民課の課題となっていた時間外勤務の縮減をはじめ、市民窓口の在り方を検討する一環として、実施することに至った。また、日々窓口では、市民の方から届出書の書き方が難しいなどの意見があり、質の高い行政サービスをどのように提供していくかを検討してきた。窓口原課が抱える問題と組織が抱える問題について、均一的なサービスを提供しながら、窓口業務の効率化を図るため、ICTの積極的な活用を想定しながら、事業化を進めた。
 平成28年度総務省が行うモデル事業プロジェクトに申込をし、平成29年12月25日から試験運用を開始。その後、平成30年2月1日から本格運用を開始した。
 現在、戸籍住民課住民異動窓口で実施しており、対象の手続としては、住民異動の届出(転入・転出・転居・世帯変更)となっている。
 書かない窓口の目的、意義、コンセプトとしては、「かんたん・正確に・わかりやすく」の3つを柱に基づいて行っている。
 まず、「かんたん」については、通常、住民異動の手続を行うには、届出書を記入することになり、届出日、異動日、氏名、生年月日、新住所など記入しなければいけない項目が多い。また、この異動の手続により、世帯によっては国民健康保険や児童手当などの担当課に行く必要があり、各課の届出書に同様の項目をその都度書くことになる。その住民異動届の作成を戸籍住民課の職員が行うとともに、手続が必要な各課の書類を特定し出力してお渡ししている。印字されている状態の書類を各課の窓口に提出することができ、市役所での手続をより簡単に行うことができる。
 次に、「正確に」について、引っ越しをされた市民は、どこの課でどのような手続をしなければいけないか把握していない方が多い。また、市職員も市役所の業務をすべて把握しているわけではないことから、本来、必要な手続を案内できず、申請されていないこともある。そのようなことがないようにするため、システム内に異動者の情報を入力することで、そこから読み取れる内容に基づき、本人が「はい・いいえ」で答えるナビゲーション機能による簡単なヒアリングにより、必要な手続を特定し、役所側の案内漏れと申請者側の手続漏れを防止している。
 最後に、「わかりやすく」について、異動者の必要となる手続きの担当課や手続名が印字された帳票がシステムから出力されるため、この帳票を参考に、市役所内を順番に回ることが可能となる。
 なお、本システムを利用するには、異動者の情報を入力しなければいけない。その入力については、職員がすべて手入力するという方法もあるが、その入力にかかる時間や誤入力といったことも考えられる。それらを改善する方法として、マイナンバーカードのICチップの情報や、現在は住民基本台帳システムの情報を活用している。マイナンバーカードのICチップの情報を活用するには、同カードを持っている者の情報しか利用できない。一方で、住民基本台帳システムについては、転居または転出であれば、船橋市に異動者の情報があることから、その情報を本システムに取り込むことができる仕様となっている。また、転入についても、マイナンバーカードによる特例転入であれば、住民基本台帳システムの情報を活用することも可能となる。今後は、マイナンバーカードの普及により、この特例転入は増えるのではないかと考えている。

(3)主な取組及びその成果について
 平成30年2月より、本庁舎戸籍住民課の異動窓口(全6窓口)で、転入・転出・転居に係る申請書作成支援窓口(書かない窓口)の運用を開始し、平成31年2月からは、世帯変更についての運用も開始した。
 この取組により、各窓口において申請書を書く必要がなくなったため、異動者の滞在時間は、夫婦と小学生の子ども2人の4人家族が転入手続きを行うモデルケースの場合、実測値でシステム導入前と比較して、マイナス4.3分。マイナンバーカードが有りの場合には、マイナス7.3分となった。一方で、戸籍住民課の単体では、異動者からのヒアリングを行っていることから、場合によっては、滞在時間が長くなることもあり、この点は今後の課題であると考えている。

(4)市民からの声について
 導入当時にアンケートを実施したが、申請書への記入する負担軽減や、案内の分かりやすさなどから、満足またはやや満足と答えた方が95%となり、市民の評判は概ね良好である。

(5)今後の展開や取組について
 今後、国の標準仕様書やマイナポータルのサービス運用の開始に合わせて、再度、窓口の在り方を検討していく。

(6)その他
 委員からは、システム導入後の職員数について、システムの導入費用及びランニングコストについて、時間外勤務縮減の成果について、手続等で来庁した場合の市役所駐車場の利用料について、申請書作成支援窓口(書かない窓口)を始める契機と苦労した点について、船橋市のマイナンバーカードの交付率について、導入に係る職員の関わり方と導入後の職員研修について、今後の事業の展開等の質疑がなされた。

船橋市視察の様子

「船橋市視察の様子」

焼津市 (7月29日)

【調査項目】

  • 災害時における避難行動要支援者の対応について
  • ドローンの活用をはじめとする防災対策について

『市の概要』

  • 市制施行:昭和26年3月1日
  • 人口:13万7,455人(令和4年7月末現在)
  • 面積:70.3平方キロメートル

1.災害時における避難行動要支援者の対応について

(1)焼津市避難行動要支援者避難支援計画の概要について
 避難行動要支援者避難支援計画とは、自分や家族の力だけでは安全な場所に避難することができない人を災害が発生したときに、近所や知人など地域の人の手助けにより安全な場所に避難していただくための計画である。
 避難行動要支援者の登録制度の仕組みとしては、全市民を対象に毎年6月1日現在で、世帯家族調べを記入してもらっている。この調査は自主防災会、民生委員・児童委員協議会及び市が合同で行っている。
 調査の目的としては、
1.災害時に地域内での安否確認をするために作成し、災害発生時等の備え
2.平時において、一人暮らしの高齢者や障害者、子育て中の方々の状況を把握
3.災害時に必要な生活物資の各家庭での整備状況の確認
4.プロジェクト「TOUKAI-0」総合支援事業における住宅の耐震化の推進

(2)課題について
1.個別計画の作成率
 避難行動要支援者名簿の掲載に同意を得られても、個別計画の作成に至らない方がおり、個別計画の作成率が低い。
 個別計画の作成には、ご自身の体の状況や家族の状況等、より詳細な個人情報を開示する必要があることから、この点に抵抗を感じる方もいるため、計画の作成に至らない場合がある。
2.地域支援者の確保
 日頃から近隣の方とのつながりが乏しく、周りに頼む方がいない(要支援者)、何かあったときに責任が負えない(地域支援者)などの理由から、地域支援者の確保が課題である。

(3)その他
 委員からは、要支援者数について、要支援者が地域支援者へ依頼する方法について、地域支援者はどういった方がされているかについて、地域支援者の登録数が地域的に差はあるかについて、世帯家族調べの提出率について、世帯家族調べの開始時期について、民生委員の成り手について、民生委員と自主防災会の連携と役割分担について、自主防災会はすべての町内会にあるのかについて、地域支援者はすべての町内会にいるのかについて、高齢者施設の災害時における避難計画の策定状況について等の質疑がなされた。

2.ドローンの活用をはじめとする防災対策について

(1)ドローンを活用した防災対策の活用について
 火災や地震などの災害が発生した際、人が近づけない場所や目に見えない場所の状況把握や現場対応の効率化を図っている。令和2年に全国初となる女性消防団員ドローンパイロットが誕生し、令和3年には全国初となるドローン仕様の指揮車が配備され、その活動は全国から注目を浴びている。

(2)導入に至った経緯と目的について
  平成27年7月、大雨により土砂崩落が発生し、状況把握のために職員が近づくことも危険であった。このような災害時、ドローンがあれば上空からの現状の確認などが可能になることから、災害対策の強化と災害情報の可視化を目的として、導入することになった。

(3)主な取組及びその成果について
 飛行内容の一例としては、
・災害現場の調査、被災状況確認
・消防活動での要救助者捜索、活動状況把握
・道路、河川、離岸堤、橋梁などの状況調査
・施設損耗確認、劣化調査やレイアウト検討
・農道管理、土砂崩落確認
・獣害対策、鳥獣生息状況調査
・観光や広報用の動画などの撮影
 具体的な活用方法として、火災が発生したとき、消防とともにドローン隊が一緒に出動し、火元がどこか、火の勢いが強い方向、煙の向きなどの情報収集に当たり、消防隊とその情報を共有することで、消火活動に役立てている。また、山火事の際は、飛び火の有無もドローンを活用しており、最小限の人員で消火に向けた効果を上げている。

(4)事業費について
 ドローン1機の購入に係る主な費用として、機体本体100万円、サーモカメラ300万円、カメラ100から150万円。また、保守料に年間200から300万円を要し、その他関連部品や維持管理費が必要となる。

(5)課題について
 【機材面】
1.機器の更新サイクルが短い
 改良により飛躍的に性能が向上する一方、サイクルが2、3年と短く、バッテリーなどの消耗品の販売やサポートがなくなる。
2.バッテリーの機体間での共用が不可
 バッテリーは機体ごとに形状が異なり、共用ができない。
3.悪天候での飛行が困難
 雨天飛行を可能とするには、産業用の機体が必要となり、機体本体及び保険ともに高額になる。
4.軽微な点検などが行える知識が必要
 機体やアプリケーションのアップデートが頻繁にあり、飛行環境に適した設定にすることが必要となる。
5.映像伝送システムの導入が必要
 アプリケーション上では可能であったが、条件が課されていることで使用が困難であり、映像伝送システムの導入、構築が必要である。
 【運用面】
1.操縦体制、操縦士の育成と訓練時間の確保が困難
 防災部、他部署ともに操縦士が不足している。また、通常業務もある中で、飛行の訓練時間の確保が困難である。
2.災害時の有人機と無人機の空域管理
 ニアミスや衝突を防ぐための協議、連携が必要である。
3.防災以外でのニーズの増加
 ドローンを管理する防災部局の負担が増している。
4.飛行や機体に係る情報収集が不可欠
 運用に関係する法改正や、機体のサポート関係などの情報収集が不可欠である。

(6)今後の展開について
 現状、今後の展開について検討していることはないが、新たな活用のアイデアや要望があれば、取り組んでいきたい。

(7)その他
 委員からは、焼津市の消防署及び分署の数について、ドローンの配置場所について、ドローンが飛行可能な運搬重量について、ドローンの出動件数について、ドローンの操縦に係る資格保有者数について、緊急時の飛行禁止区域でのドローンの飛行について、ドローン隊で撮影したデータの管理と活用について、ドローンの継続飛行時間と飛行可能距離について、風の影響について、サーモカメラについて、今後の機体などの価格帯について等の質疑がなされた。

焼津市視察の様子
「焼津市視察の様子」