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宇治市議会(行政視察報告 令和元年度) 4

印刷ページ表示 更新日:2019年11月5日更新 <外部リンク>

文教福祉常任委員会の行政視察報告

年月日: 令和元年11月14日(木曜日) ~ 11月15日(金曜日)
視察先: 小松市(石川県)、石川県
出席委員: 堀委員長、池田副委員長、岡本、宮本、徳永、鈴木、浅井の各委員

小松市 (11月14日)

【調査項目】

  • 介護ロボット普及促進事業について

『市の概要』

  • 市制施行: 昭和15年12月1日
  • 人 口: 919万9,037人(令和元年9月1日現在)
  • 面 積: 2,415.86平方キロメートル

1.介護ロボット普及促進事業について

1. 介護ロボット普及促進事業について
(1)導入に至った経緯と目的について
全国的な課題でもある現役世代の減少及び高齢者の増加、また、介護現場での人材確保が難しくなる中で、平成26年10月に当事業を開始した。なお、当事業については介護事業所から要望があったということではなく、市の判断で事業を開始した。財源については一般財源である。
目的については、最新技術の介護ロボット及びICT機器の導入を促進することにより、介護従事者の業務負担の軽減や効率化、より質の高い介護サービスの提供、要介護者の自立支援を図ることとしている。

(2)事業の概要について
介護サービス事業者等における介護ロボット及びICT機器の導入を促進するための事業であり、補助対象者は市内介護サービス事業所及び施設である。
平成30年12月までの補助対象品目としては、認知症ケアに向けたコミュニケーション・メンタルケアのためのものとして「パロ」や「うなずきかぼちゃん」など、介護従事者の負担軽減のためのものとして「マッスルスーツ」など、要介護者の自立歩行支援のためのものとして「HAL(ハル)」や「POPO(ポポ)」がある。
平成31年1月以降については、販売価格が公表されており、一般に購入できるもので、ロボットについては、下記のいずれかを満たすものが対象となる。
・日常生活支援として移乗介護、移動支援、排泄支援、見守り、コミュニケーション、入浴支援のいずれかの用途で使用され、介護従事者の負担軽減を目的とするもの。
・経済産業省が行うロボット介護機器開発・導入促進事業またはロボット介護機器開発・標準化事業の採択を受けている、もしくはロボット技術を活用して従来の機器ではできなかった優位性を発揮する介護ロボットとして特に市長が認めたもの。
ICT機器については、販売価格が公表されており、一般に購入できるもので、介護従事者の業務の効率化や負担軽減を目的とするものが対象となる。
購入の場合の補助率は2分の1、レンタル・リースの場合は12カ月分までを対象として補助率3分の2、上限額は事業所ごとに50万円である。

(3)主な取り組み及びその成果について
補助実績としては、平成26年10月1日から平成30年3月末までで、「パロ」や「POPO(ポポ)」など合計17台のロボットに、平成31年4月以降には、「アアムス」や「離床CATCH3」など合計124台のロボットとICT機器のソフトリース12カ月分に対し補助を行っている。
補助事業所数及び補助額については、平成30年度は3事業所に69万円、平成31年度は10月末までで6事業所に約190万円となっており、平成31年からICT機器を補助対象としたことで、31年度は補助金の活用が広がっている。

(4)課題及び今後の展開について
自立支援系や介護支援系のロボットはまだまだ高額であり、さらに、技術革新はしているものの現在は装着に時間がかかるといった点があり実用には課題がある。しかしながら、介護の質の向上及び介護者の負担軽減のため次年度以降についても介護ロボットの普及は推進していきたいと考えている。

(5)その他について
(1)現場からの反応として、メンタルケア効果により要介護者の表情が明るくなった、介護スタッフの身体的な負担が軽減した、利用対象者としては認知症の軽度から中度の方が多い、マッスルスーツを女性介護者の利用を想定して導入したが、実際には装着に時間がかかり重さも7キロ程度あるため実用は困難であった、というような声がある。
(2)委員からは、ロボット等を導入して一番変わったことは何か、導入して苦労したことはあるのか、スタッフの人員を減らすことはできたのか、ロボット等を導入したことのPRについて等の質疑がなされた。

2.実地調査
当日は、医療法人社団田谷会が運営を行う「通所リハビリセンターおれんじ」にて、市担当部局からの説明も含めて行政視察を実施した。
「通所リハビリセンターおれんじ」からは、導入している介護ロボットの説明や介護ロボットを用いた介護の様子の動画放映等をしていただき、また、実際に、「パロ」・「POPO(ポポ)」・「離床CATCH3」の体験・説明を受けた。

小松市視察 小松市視察
「小松市視察の様子」

石川県 (11月15日)

【調査項目】

  • ほっとあんしんの家について
    (県営バリアフリー体験住宅)

『市の概要』

  • 人 口: 113万7,610人(令和元年9月1日現在)
  • 面 積: 4,186.09平方キロメートル

1.ほっとあんしんの家について

1. ほっとあんしんの家について
(1)導入に至った経緯と目的について
平成6年に石川県がリハビリテーションセンターを開設、平成8年にはリハビリテーションセンター・石川県の工業試験場・土木部建築住宅課の医工学連携組織であるバリアフリー推進工房を設置した。さらに、平成10年には、障害のある方や高齢者への道具や環境の適合・改良等による自立生活支援、企業等への福祉用具・ユニバーサルデザイン製品の研究開発支援、公共施設等のバリアフリー化に関する技術支援を推進するため、リハビリテーションセンター敷地内に「ほっとあんしんの家」の建設を行った。「ほっとあんしんの家」では、障害のある方や高齢者の自立的な在宅生活や就労・就学について、リハビリテーションの観点から環境を調整し、できることをふやすという相談支援等に取り組んでいる。
リハビリテーションセンター全体としては、当初は専門的機関として位置づけられていたが、平成16年に県介護実習普及センターから福祉用具研修普及事業が移管されたこと等により、一般の県民から障害をもった方まですべての方々に福祉用具や自立支援を広めていくという役割を担うようになった。

(2)事業の概要について
リハビリテーションの医療部門は指定管理者として石川県済生会金沢病院が行っているため、リハビリテーションセンター自体は一般の病院で行うような訓練やリハビリ医療は行っていない。主に精神以外の障害のある方々に対する県の専門的相談機関として位置づけられている。県の組織としては、庶務課と支援課を配置しており、支援課内に、リハビリテーションセンター、バリアフリー推進工房、難病相談・支援センター、高次脳機能障害相談・支援センターを設置している。
リハビリテーションセンターでは2,000種程度の用具・設備を配置しており、障害のある方々に様々な用具・設備を試していただけるようになっている。さらに、住環境の改善プランの提示や、どのような用具がその方に合っているかという提案を行うために「ほっとあんしんの家」を活用しており、他の医療機関では対応できないような工学技術を用いた技術支援が可能となっている。
「ほっとあんしんの家」の利用状況は、平成30年度で利用者数3,516人、目的別では、研修・教育が78件、相談支援が129件、研究開発が21件となっている。

(3)主な取り組み及びその成果について
リハビリテーションセンターの取り組みとして、(1)障害のある方への自立に向けた直接支援、(2)福祉用具の開発や施設環境等のユニバーサルデザインに関する相談支援、(3)福祉用具・住宅改修に関する教育・研修といった普及事業、(4)リハビリテーション技術支援ネットワーク構築事業、(5)福祉用具の研究開発がある。
(1)障害のある方への自立に向けた直接支援として、自立度の高い就学やひとり暮らしを実現するための技術支援に加え、就労、高校進学、自動車運転への支援など、幅広い内容の支援を行っている。平成30年度の個別ケースに対する相談・支援事業は1,763件で、実人数としては330人程度であった。支援の内訳としては、福祉用具の適合や住環境調整による技術支援が6割に及んでいる。また、講師や連絡会等への参加(事業支援)は58件であった
(2)福祉用具の開発や施設環境等のユニバーサルデザインに関する相談支援として、支援を行う中で吸い上げたニーズを反映させた電動車椅子等の福祉用具を、リハビリテーションセンターのエンジニアが設計に携わり、企業が開発を行うといった、企業と連携したさまざまな取り組みを行っている。また、公共施設の建築の際には、県土木部と協働しながら障害のある方々にも参加してもらう形で検討チームを構成し、ユニバーサルデザインの支援を行っている。
(3)福祉用具・住宅改修に関する教育・研修といった普及事業として、リハビリテーション専門職、学校の先生、福祉施設の職員等、さまざまな人を対象として研修を行っている。
(4)リハビリテーション技術支援ネットワーク構築事業として、福祉用具を用いた支援技術を地域に展開するために、病院の関係者・行政の関係者・介護支援専門員・相談支援専門員などによる在宅リハビリテーション検討会を構成している。また、東京や大阪などのメーカーも含めた、最新の自立支援機器の活用・設定・供給のための情報交換会である自立支援機器活用研修事業等による人材育成にも取り組んでいる。
(5)福祉用具の研究開発として、エンジニアを中心にリハビリテーション専門職とも連携しながら機器開発に取り組んでいる。

(4)その他について
委員からは、新しい公共施設建設の際に気をつけるべき点について、学校設備に対しての技術相談・支援について等の質疑がなされた。

2.実地調査
当日は、リハビリテーションセンターにて市担当部局からの説明も含めて行政視察を実施した。
施設内の「ほっとあんしんの家」に加え、リハビリテーションセンターに備えられている用具や機器の視察を行った。

石川県視察 石川県視察
「石川県視察の様子」