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宇治市議会(行政視察報告 令和元年度) 6
議会運営委員会の行政視察報告
年月日: 令和2年1月22日(水)~23日(木)
視察先: 東村山市(東京都)、立川市(東京都)
出席委員: 山崎(恭)委員長、西川(友)副委員長、松峯、大河、中村、木本、長野、鳥居、秋月の各委員、真田議長、渡辺副議長
東村山市 (1月22日)
【調査項目】
- 議会報告会・意見交換会について
『市の概要』
- 市制施行: 昭和39年4月1日
- 人 口: 15万1,133人(令和元年12月1日現在)
- 面 積: 17.14平方キロメートル
1.議会報告会・意見交換会について
- 意見交換会実施までの経過と背景事情について
平成26年4月施行の議会基本条例第5条に「説明責任及び市民意見の把握」を定めており、その中に⑴議会報告会⑵意見交換会等の手法を用いて、議決機関としての説明責任を果たすとともに、市民意見の把握に努めるとしている。これを具体化するため、各定例会終了後、議会だより発行に合わせて(4回/年)「議会報告会・意見交換会」を開催することとされた。 -
意見交換会の内容について
意見交換会は定例会での議論を基に行うこととし、5月、8月、11月、2月に2日ずつ(平日夜㈮と休日昼間㈯)実施する。
広報広聴委員会が主となり会議の開催方式や運営を協議、開催の周知や当日の進行等は全ての議員によって行う。
なお、各開催(1回の開催)に伴う広報広聴委員会の開催は7回程度。
議会だよりの掲載内容を主題に、議員の主張したいことと市民の知りたいことは異なることを念頭に、市民が知りたいであろうことを簡潔に説明する。議案に反対の意見も紹介し、結論を報告する。報告時間は圧縮し、意見交換を長くとるようにしている。
・初年度(26年度)は対面方式で実施
◇課題:重い空気、「物を申したい」参加者、緊張感等による「話しにくい状況」
一方で「やることに意義」→これらを踏まえ、次年度はグループ方式を採用
・2年目(27年度)はグループ形式での意見交換を採用。参加者からは緊張感がなく、話しやすいとの意見が多く、現在もこの形式の開催が多い。
・3年目(28年度)には、グループの中に議員と市民が入り混じって意見交換をする車座形式による意見交換会を行われた。
※これまでの意見交換会の考え方として、定例会での議論内容を基に、市民の意見、質問に議員が自由に答える形で行われ、会派の主張はしないとされていた。
・4年目(29年度)には、各会派の意見を聞きに来たとの意見も多かったため、新年度予算案への賛否と理由を会派ごとに発表をされた。
・現在は、各回、広報広聴委員会で実施形式も含めて決定されているが、グループ形式による形態が多いとのこと。 -
市民の参加状況と反応について
参加者は平成26年の1、2回は100名を超えたが、それ以降、増減はあるものの5、60名程度を前後している。平日夜、休日昼も同程度の参加があり、一定の役割を果たしているのではとのこと。
参加者の内訳は、概ね新規参加2割、毎回参加4割であり、新規参加をどう増やしていくかが鍵である。
参加者からは、グループ・車座形式で行ってから「距離が近くなった」「意見が言えて良かった」という肯定的な意見の反面、前述のように「会派の意見がわからない」などの意見もある。 -
今後の改善方向について
新規に参加する市民をどう増やすか。若い世代が少ない傾向は東村山市でも同様であり、これら世代の市民をターゲットに対話の場を設けることも検討する。
一方で、ここ数年は大きな政策的課題が少なかったことから、これも実態に応じているのではとも考えられる。ごみ焼却場の課題が直近にあり、元年12月に議会においてごみ問題政策研究会を設置したところ。今後の動きを注視する。
全員で意見交換会にあたっており、この間議員もスキルは向上してきたが、更なるファシリテーション能力の向上が必要であり課題である。
各回ごとの広報広聴委員会の開催が7回程度、年4回の実施で約30回の委員会開催となり、年間を通して大きな仕事量となっている。 -
その他
委員から、意見交換会の運営、報告、質疑内容について、広報広聴委員の負担について、平日の開催メリットについて、議員のファシリテーション能力の向上等についての質疑があった。
また、広報広聴委員会から、委員長を含めて4名の出席があり、本市委員と意見交換会における対話形式や市民意見の把握手法等について意見交換が行われた。
「東村山市視察の様子」
立川市 (1月23日)
【調査項目】
- ICT推進に係る取り組みについて
『市の概要』
- 市制施行: 昭和15年12月1日
- 人 口: 18万4,183人(令和元年12月1日現在)
- 面 積: 24.36平方キロメートル
1.ICT推進に係る取り組みについて
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タブレットとクラウドシステム導入の経過について
平成22年5月に新庁舎(地上3階地下1階)が竣工。議場は庁舎3階に配置され、電子評決を含め整備された。
この頃から、若手議員を中心に議会のICT化、本会議におけるプロジェクタ使用等の要望が、機会あるごとに出された。
これを受け、議会運営委員会において議会のICT化の議論を開始。その中で、時期尚早ではないか、費用対効果、全議員が活用できるのか、ペーパーレス化がどこまで図れるのか等の疑問が寄せられたが、「百聞は一見に如かず」の観点で、業者のデモンストレーション、先進地(逗子市議会)視察を行い、結果、当分の間、紙との併用を条件に、議会クラウドシステムの導入、タブレットの活用に関して合意され、平成26年度の導入に至った。
導入にあたっては、全議員を対象としたシステム説明、会派ごとの操作説明会、フォローアップ研修を実施され、現在は全議員が活用出来る状態となっている。
経費は議員負担であり、現在では数名の議員が議会支給のタブレットを持たず、各自のタブレットにより、クラウドにアクセスしている状況。これについては、タブレットはあくまでもツールであり、クラウドあってのタブレットであるとの考えから認めている。 -
タブレットとクラウドシステムの効果について
・議員への情報提供が迅速化、効率化された
議員が議会や地域において議員活動を行う際、タブレットに情報が入っていることから、資料を持ち歩かなくてよいなど、効率化が図れる。また、市等からの情報もタイムリーに入るため、即時性が図れる。
・会議通知文等、一部文書のペーパーレス化が図れた
簡易な文書の紙媒体での配布を廃止し、一部ペーパーレス化を実施できた。一方、課題として、原則クラウドと紙媒体の併用としているため、抜本的なペーパーレス化に至っていない。 -
一般質問におけるプロジェクタの使用について
質問通告時にプロジェクタ使用の旨を記載し、議会運営委員会に報告。質問美の2日前までに使用データと印刷した紙を事務局に提出し、動作確認などの準備をする。
プロジェクタ使用にあたって、議事録との整合が必要である。議員自らが、議事録にどのように掲載されるのかを意識して発言する必要がある。また、資料もインターネット中継されるため、肖像権、著作権等に留意して作成する必要がある。 -
今後の課題について
導入後の課題として、細かい表や字が見えにくいことや紙媒体に対しての意識から抜本的なペーパーレス化に至っていない。削減効果額は低いものの(議会全体で250千円、現在の削減実績は35%,88千円)、紙媒体廃止による事務的効果は大きいため、これを進める必要がある。年間使用料は導入以来更新をしていないため下がる傾向にあるが、機器を更新すればこれも上がると思われる。
クラウドの使用システムはSideBooksだが、PDFデータのみの掲載に限らられる、未読・既読のマークがつかない、全体のフォルダ構成を見ることが出来ない等の課題がある。
なお、議会全体のICT化予算については新庁舎全体の整備費に含まれており、議場システムとして55,000千円の計上となっているが、詳細な内訳は不明とのこと。 -
その他
委員から、毎日のように議員に文書が送られていることに対し、これが課題となっていないか等の質疑が行われた。
「立川市視察の様子」