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宇治市議会(行政視察報告 令和元年度) 3

印刷ページ表示 更新日:2019年11月5日更新 <外部リンク>

建設水道常任委員会の行政視察報告

年月日: 令和元年11月13日(水) ~ 11月14日(木)
視察先: 神奈川県、我孫子市(千葉県)
出席委員: 稲吉委員長、秋月副委員長、真田、服部、山崎(恭)、山崎(匡)、西川(康)の各委員

神奈川県 (11月13日)

【調査項目】

  • 神奈川県立花と緑のふれあいセンター特定事業について

『県の概要』

  • 人 口: 919万9,037人(令和元年9月1日現在)
  • 面 積: 2,415.86平方キロメートル

1.神奈川県立花と緑のふれあいセンター特定事業について

  1. 施設概要について
     平成7年の神奈川県農業総合研究所移転に伴い、平塚市や地域住民との意見合意の中で、その跡地を農業振興に関連する施設として整備することになった。
     神奈川県立花と緑のふれあいセンターは、神奈川県、平塚市、周辺の農業経営者・住民との連携による農の体験・交流エリアの中心施設として、観賞植物等の収集及び展示並びに野菜や果樹等の栽培状況の展示を行うことにより、県民が花卉園芸その他の農業に親しみ、それらの大切さを理解し、花と緑を暮らしの中に取り入れるための情報を提供するため、平成22年3月に開園した。
     施設は、1,300品種のバラを初め、ハナモモ、桜、クレマチスなど四季折々の花々が展示されたフラワーゾーン、アグリゾーン(畑、水田、果樹園等)、めぐみの研究棟(ギャラリーやキッチン工房等)の3つのゾーンに分かれている。バラの品種改良の歴史がわかる構成や、畑から食卓までの一連のサイクルを体験できるなど、教育的観点を含めた施設である。
     また、園芸や農業関連の施設が複数集まる「ひらつか花アグリ」エリアに位置しており、各施設と連携して地域農業の魅力を発信している。
  2. PFI事業の概要について
     「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI法)」に基づいて、民間事業者が既存施設の除却を含む「花と緑のふれあいセンター」の整備やその後の維持管理・運営業務などを実施し、県はこれら提供されたサービスの対価を事業者に支払うBTO方式(建設→県に所有権移転→管理運営)を採用している。
     ・事業者:株式会社 かながわGAパートナーズ(平塚市)
     ・事業期間:平成19年3月13日から平成42(令和12)年3月31日まで
     ・PFI事業の範囲
      整備業務 既存施設の除却を含む新築工事 
      維持管理業務 清掃業務、保守管理業務、警備業務、日常修繕業務など
      修繕・更新業務
      運営業務 展示事業、体験学習事業、情報提供事業、イベント事業など

  3. トライアルについて
     平成22年の開業後約2年間において、当初計画で想定していた入園者数を大幅に下回り、民間事業者の収支改善を図る必要が出てきたため、県と民間事業者が協議し、平成24年~26年度の3年間にトライアル期間を設け、花のボリュームアップとプロモーション・イベントの強化による園の魅力向上、施設更新計画の一部前倒し実施による園の魅力向上、健康をテーマとした食と農の発信、事業の一部休止と合理化などさまざまな取り組みを行った。
     トライアル期間後の平成26年11月に県と民間事業者がPFI事業の契約内容の一部及び業務要求水準の一部の変更を行い、平成27年4月より新たなスキームによる事業運営を行っている。

  4. 特定事業契約の変更と現在の運営スキームについて
    (1)特定事業契約の変更契約と業務要求水準の見直し
     3年間のトライアル期間での取り組みを検証し、平成27年度以降の施設運営に向けて、特定事業契約の変更及び業務要求水準の見直しを行った。
     ・利用料金の上限の変更と変動料金制の導入
     ・需要推計を見直し、サービス対価の内容を変更
     ・年間休園日の上限の変更(10日から30日に)
     ・年間入園者の確保数の変更(25.6万人以上から20.7万人以上に)
     ・園芸教室、農業講座での実費の徴収

    (2)現在の運営スキームについて
     ・変動利用料金体系の導入(ピーク・レギュラー・スローの3シーズン制)
     ・年間パスポート料金の改定
     ・休園日の増加(スローシーズンの水曜日を休園日に追加
     ・施設有料貸出体系の導入(会議室、花菜フォーラム等の有料化)
     ・園芸教室、農業講座での実費の徴収(材料+資料+講師代)

     トライアル導入前と比較して、入園者数、利用料金等収入、民間事業者の財務状況のそれぞれが改善している。今後は花で人を呼べない 時期にイベントを開催することやSNSを介したPRにより商圏を拡大し、入園者数の増加を目指す。

  5. その他
     委員からは、PFI事業と都市公園運営の考え方について、入札や事業費の構成について、赤字幅を削減できた要因について、技術者の育成について、入園者の属性分析とターゲットを定めた情報発信について、モニタリング管理について、他施設との連携について、VFMの達成状況について、PFI導入のきっかけや効果について等の質疑が行われた。

「神奈川県視察の様子」
「神奈川県視察の様子」

我孫子市 (11月14日)

【調査項目】

  • 地域公共交通について

『市の概要』

  • 市制施行: 昭和45年7月1日
  • 人 口: 13万2,241人(令和元年9月1日現在)
  • 面 積: 43.15平方キロメートル

1.地域公共交通について

  1. 地域公共交通総合連携計画について
     地域公共交通総合連携計画(以後、連携計画)は、平成19年10月に施行された「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づいて、「誰もが安全かつ自由に移動でき、安心して生活できるための地域の交通のあり方」を検討し策定した。
     策定に当たっては、市民、公共交通事業者、道路管理者、警察、学識経験者等と市が「我孫子市地域公共交通協議会(法定協議会)」を平成22年1月に設置し検討を進めた。
    我孫子市の公共交通は、JR常磐線とJR成田線という鉄道を軸として、路線バスとコミュニティバス(以後、あびバス)でネットワークが構築されていたが、公共交通の利便性が劣る地区では高齢化の進展に伴う問題の拡大と、あびバスへの新たな要望拡大が顕著となってきていた。そのため、実現性が高く、将来的にも持続可能な公共交通体系の確立や市民と協働して取り組む交通システムの確立を目指し、連携計画を策定した。
     なお、連携計画の目標は「誰もが安心・安全・快適に利用できる公共交通」、「地域が育む公共交通」としている。

  2. 地域公共交通協議会について
     市、公共交通事業者、地域住民等の関係者が地域公共交通について総合的に検討し、地域にとって最適な公共交通のあり方について合意形成を図り、合意に基づき各主体が責任を持って推進するための連携計画を策定するに当たり設置した。
     委員数は24名で、道路運送法に定める地域公共交通会議の機能を有している。法定協議会に参加していない公共交通事業者・福祉団体・送迎バス運行施設等に対しても、必要に応じて協議会への参加を依頼するなど充実・強化を図っている。
     また、法定協議会が中心となって事業を推進することを基本としているが、あびバスの再編や新たな公共交通の導入等は、地域住民の意見を十分に取り入れたものにすることが望ましいため、地域でワークショップを行い、具体案の検討を行うこととしている。

  3. コニュニティバス(あびバス)について
     あびバスは平成16年度に策定した「市民バス等運行指針」に沿って、平成17年度から運行している。
     現在は、(1)新木ルート(12循環)、(2)船戸・台田ルート(14循環)、(3)栄・泉・並木ルート(11便)、(4)布施ルート(17便)、(5)根戸ルート(15循環)、(6)ふれあいバス・布佐ルート(11便)の6つのルートとなっている。
    利用者数と我孫子市の負担額の変遷
     ・平成26年度 21万1,399人、3,695万7,594円
     ・平成27年度 21万7,826人、3,525万6,815円
     ・平成28年度 21万8,799人、4,096万7,863円
     ・平成29年度 22万5,860人、4,189万9,271円
     ・平成30年度 23万1,373人、4,436万2,673円

     あびバスの利用者自体は増加しているが、人件費等の上昇により我孫子市の負担額も増加しており、将来的にも持続可能な公共交通としていくためにも一定の課題がある。

  4. 送迎バスの空席を活用した高齢者等外出応援事業について
     市内の自動車教習所や病院、大学等で運行している送迎バスの空席を活用し、高齢者や障害者が気軽に買い物や通院等ができるように外出応援するもので、利用対象者は市内在住の65歳以上の方・障害をお持ちの方で一人でバスの  乗降ができる方、または、介助者同伴でバスの乗降に支障のない方としている。
     空席状況や運行時間の遅延により乗車できない場合があることや、自らの不注意による事故は運転者及び事業者に対してその責任を問わないことなどを同意し、利用申請書を提出した者に「送迎バス利用パスカード(以後、パスカード)」を発行している。利用者はパスカードを運転手に提示すれば全ルート無料で乗車することができる。
     本事業は事業者の無償協力によって成り立っている事業であり、我孫子市の財政負担は、平成30年度実績で送迎バス車両の座席(約570座席)に対する傷害保険料や、パスカードの印刷制作費などの約126万8,000円のみである。

  5. その他
     委員からは、送迎バスのルートや時刻表について、市民との対話や事業者との交渉について、まちづくり協議会と地域公共交通協議会の関係について、競合する交通事業者からの反応について、運輸支局との折衝について、デマンドタクシーを検討から外した理由について、貨客混在について等の質疑が行われた。

「我孫子市視察の様子」
「我孫子視察の様子」