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宇治市議会(行政視察報告 令和元年度) 5

印刷ページ表示 更新日:2019年11月5日更新 <外部リンク>

市民環境常任委員会の行政視察報告

年月日: 令和元年11月20日(水曜日) ~ 11月21日(木曜日)
視察先: 南砺市(富山県)、金沢市(石川県)
出席委員: 坂本委員長、木本副委員長、松峯、今川、大河、関谷、佐々木の各委員

南砺市 (11月20日)

【調査項目】

  • 南砺版エコビレッジ事業について

『市の概要』

  • 市制施行: 平成16年11月1日
  • 人   口: 5万437人(令和元年9月末現在)
  • 面    積: 668.64平方キロメートル

1.南砺版エコビレッジ事業について

  1. 背景について
     南砺市では、今後の人口の減少や高齢者世帯の増加、そして温暖化等、さまざまな変化が予測されている。その中で人と人、人と自然との関係を改めて考え直す必要があり、目に見えない豊かさが実感できる地域を新しい暮らし方でどうデザインしていくかが問われている。
     「環境保全・エネルギー」、「農林業」、「健康・医療・介護・福祉」、「教育・次世代育成」の4つの分野が相互に連携・連動しながら、地域の自立と循環を図ることが重要であり、そのために、まずは思いを共有する構想を描き、その実現に向けた取り組みの輪を広げていくことが必要である。その第一歩として、次代を担う子供たちが安心して、そして地域に誇りを持ちながら暮らし続けていくための「エコビレッジ構想」の策定に着手した。
  2. 基本理念と基本方針について
     構想の大切な視点は、自然と共生し、地域資源を最大限に活用しながら、次の世代に命をつないでいくことにある。エコビレッジではさまざまな小さな循環が相互に連動し、支え合いながら自立するコミュニティーをデザインしていくということで、「小さな循環による地域デザイン」という基本理念を掲げている。
     総合計画の施策展開に当たっては、「誇り(安心・定住)」、「元気(産業・子育て・人づくり)」、「共生(協働・環境)」のキワードで将来を展望しており、構想においてもこうした視点も共有し、以下の6つの基本方針によってさまざまな取り組みを進める。
    1.再生可能エネルギーの利活用による地域内エネルギーの自給と技術の育成
    2.農林業の再生と商工観光業との連携
    3.健康医療・介護福祉の充実と連携
    4.未来を創る教育・次世代の育成
    5.ソーシャルビジネスやコミュニティビジネスによるエコビレッジ事業の推進
    6.森や里山の活用と懐かしい暮らし方の再評価による集落の活性化

  3. 取り組みについて
    再生可能エネルギー推進事業
    ・太陽光発電設備整備
    二酸化炭素排出量の削減とエネルギーの自給を目的として整備。年間約47tのCo₂の削減を見込む。蓄電池も装備し、災害時における電力が確保され、避難所として自立した施設運営が可能。
    南砺市エコビレッジ構想推進モデル事業
    ・発酵バイオマス農業
    廃棄される木の皮を発酵させると、発酵による熱とCo₂等のガスが発生する。その熱をビニールハウス内に取り込むことにより冬期でも気温15度以上を維持することができ、1年を通して温室栽培が可能となる。

  4. SDGs未来都市について
     2019年7月1日に経済・社会・環境の分野をめぐる広範な課題に統合的に取り組む国のSDGs未来都市に選定された。あわせて、SDGs未来都市の中でも先導的な取り組みであって、多様なステークホルダーとの連携を通じて地域における自立的好循環が見込めるものとして、自治体Sdgsモデル事業にも選定された。
       内容については、南砺市の土徳文化を次世代に継承する取り組みや支え合いによるまちづくりの取り組みを通して、地域資源の循環や相互補うが可能となる人材育成プログラムや住民参加による自治組織形成を促進するとともに、これらを資金運営等により支えることで、SDGs及び南砺版エコビレッジ事業をさらに深化させ一流の田舎を実現するとしている。
     南砺市は2030年を目標とし、経済・社会・環境が調和した町の実現を目指している。

  5. その他
      委員からは、エコビレッジ推進課の職員数について、若い地域人材の事業への参加について、エコビレッジについて小学生が学習する機会について、市民への周知について、林業に関わる人材について、エコビレッジ推進課が出来た当初の他部署との関係について等の質疑が行われた。

「南砺市視察の様子」
「南砺市視察の様子」

金沢市 (11月21日)

【調査項目】

  • 金沢市観光戦略プランについて

『市の概要』

  • 市制施行: 明治22年4月1日
  • 人 口: 46万3,933人(令和元年9月1日現在)
  • 面 積: 468.64平方キロメートル

1.金沢市観光戦略プランについて

  1. 策定の目的と計画期間について
      2015年3月14日の北陸新幹線開業により、国内外から多くの観光客が訪れている。このプランは、この勢いを持続させ、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、観光資源の磨き上げや海外誘客の推進等、組織体制の強化を目的に、金沢市が取り組むべき観光戦略を策定するものである。産業観光の発展はもとより、交流人口と定住人口の増加、都市機能の発展に確実につなげていくことを目指す。
      計画期間は2016年度から2020年度までの5年計画とし、2018年度に中間検証を行い、効率的で効果的な施策の実践に努める。

  2. 戦略テーマと基本戦略について
      プランでは、北陸新幹線開業を契機に、文化秩序を重んじつつも新しいものを取り入れて時代を重ねてきた、金沢の日本の由緒ある本物の豊かさを将来に向けて一層磨き高める。そうして磨かれた金沢の町並みや建築物、工芸や芸能、地場の食材を生かした食文化としつらえ、暮らしの営み等を五感で感じることで、本物の日本を発見できる町として、国内外の多くの観光客を惹きつける町を目指すということで、「四季折々、ほんものの日本を五感で発見できるまち」を戦略テーマとしている。
      この戦略テーマを実現するために、1.金沢の魅力あるコンテンツの創造、2.海外誘客の推進、3.MICE等の推進、4.広域観光の推進、5.受け入れ環境の整備、6.人材の育成、7.情報発信と誘客の強化の7つの基本戦略を設定している。

  3. 北陸新幹線開業の効果について
      北陸新幹線開業により、2015年の金沢地域への観光入り込み客数は初めて1,000万人を越え、2018年には過去最高の1,045万人となった。また、外国人旅行者の兼六園への入場者数も過去最高の42万9,000人となっている。
    ホテルの客室数については、新幹線開業年の2015年12月末の約9,800室から2020年には約13,400室となり、5年間で約37%増加する見込みとなっている。
      北陸新幹線開業による観光活性化が石川県内に及ぼす経済波及効果について、当初は124億円としていたが、5倍以上の678億円の効果があったと試算された。このような効果があった原因としては、インバウンドの入り込み客数が予想以上に多かったことと日本人観光客の単価上昇の効果が大きかったことである。

  4. 目標値について
       2015年の数値を基準値として5年後の2020年の目指すべき6つの目標値を設定した。なお、(2)及び(3)については、2018年12月に中間検証を行い、目標値を上方修正している。
    (1)金沢地域の年間入り込み客数 1,006万人→1,100万人
    (2)金沢市の年間宿泊客数 290.6万→370万人
    (3)金沢市の年間外国人宿泊客数 25.6万人→70万人
    (4)金沢地域の観光消費額 1,296億円→1,490億円
    (5)金沢旅行全般の満足度(とても満足) 38.4%→50%以上
    (6)金沢への再来訪回数(リピート率) 55.4%→60%以上

  5. 課題と対応について
       新幹線開業により観光客がふえたことによる市民生活への影響を検証する北陸新幹線開業による影響検証会議を立ち上げた。その会議の中では、食べ歩きやポイ捨て、交通混雑の問題などについての指摘があった。市民生活への影響を緩和し、観光に対する市民の理解を深めていくことが大切との意見があり、市民生活と調和した持続可能な観光振興を図っていくこととした。
       その一つの取り組みとしてその住む人、訪れる人の双方にとって、魅力的なまちづくりにつながる仕組みを構築するためにも、2019年4月から宿泊税が導入された。
    また、ホテル開発によってホテルが増加している中、宿泊客の少ない平日の宿泊の稼動率を上げることが課題となっており、曜日にこだわらず宿泊してもらえる修学旅行の誘致のために、修学旅行での伝統文化体験に要する費用へ補助を出している。

  6. その他
       委員からは、観光消費額について、庁内での連携について、宿泊施設のニーズについて、市長の観光への姿勢について、経済波及効果の内訳について等の質疑が行われた。

「金沢市視察の様子」
「金沢市視察の様子」