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宇治市議会(行政視察報告 令和8年度) 5

印刷ページ表示 更新日:2026年9月7日更新 <外部リンク>

文教・福祉常任委員会の行政視察報告

年月日:令和8年8月17日(月曜日)~8月18日(火曜日)
視察先:久喜市(埼玉県)、世田谷区(東京都)
出席委員:今川委員長、西川(美)副委員長、木本、宮本、谷上、真田、加勢の各委員
執行部:波戸瀬福祉こども部長、秋元教育部長

久喜市(8月17日)

【調査項目】

ICT教育の取組について

『市の概要』

  • 市制施行:平成22年3月23日
  • 人口:15万576人(令和8年8月1日現在)
  • 面積:82.41平方キロメートル

1.ICT教育の取組について

(1)概要について
​久喜市は、小学校20校、中学校9校、義務教育学校1校の計30校を設置し、約9,700人の児童・生徒を対象にICT教育を推進している。取組の基本には、子供が自ら学び方を選択・調整する「学びのオーナー」となること、新しい価値を共に創造する力を育むこと、デジタルを最大限活用して誰一人取り残さない学習環境を実現することの3点がある。1人1台端末とクラウド環境を学習基盤とし、従来の一斉授業から、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に進める授業への転換を図っている。また、ICT活用を授業内に限定せず、校務DX、生成AI、オンライン交流、不登校支援、教職員研修など、教育活動全体に広げている。

(2)ICT教育を推進するに至った経緯について
久喜市では、社会のデジタル化や少子高齢化による生産年齢人口の減少、国際競争力の低下、AI・ロボットの普及による職業構造の変化を踏まえ、従来型の教育からの転換が必要であると認識してきた。これからの子供には、ICTを活用して課題を発見・解決する力、主体的に学び続ける力、英語によるコミュニケーション力が不可欠であるとして、国のGIGAスクール構想に先行して端末整備やプログラミング教育、教員のICTスキル向上に取り組んだ。また、グーグルフォーエデュケーションとの連携を早期から進め、企業との協働によって教育環境の充実を図ってきた。GIGAスクール構想開始後も、端末の家庭への持ち帰りや国のリーディングDXスクール事業などを積極的に推進した。

(3)主な取組及び成果について
授業では、児童・生徒が課題を確認し、自ら目標と学習方法を決め、端末、教科書、資料集、他者との対話などを組み合わせて学ぶ自由進度・複線型の学習を実践している。教員は一斉に教える役割から、学習状況を把握して個別に支援し、子供同士の学びをつなぐファシリテーターへと役割を転換している。生成AIは、小学1年生の音声入力による表現支援、歴史上の人物との対話型学習、授業の振り返りへの助言などに活用している。このほか、学習・生活データの可視化、オンライン交流、メタバースによる不登校支援、教職員のテレワーク環境も整備した。その結果、端末の日常的な活用が進み、学力を伸ばした児童・生徒の割合や、問題解決力、情報活用能力等の向上が見られるとしている。

(4)課題について
ICT環境の整備が進む一方、紙とデジタルを対立的に捉える意識が一部に残り、教職員による活用状況や授業改善の進度には差がある。また、自由進度・複線型の授業では、主体的に学べる児童・生徒が学習を深める一方、学び方や学習習慣が十分に身についていない児童・生徒は手が止まりやすく、教員による適切な見取りと個別支援が不可欠である。生成AIについても、回答を無条件に正しいものとせず、根拠を確認する情報リテラシーの育成が求められる。不登校支援では、学校とのオンライン接続にも心理的負担を感じる生徒がいるなど、デジタルだけで全てを解決できるわけではない。さらに、整備した環境を目的に応じて適切に使い分ける判断力と、教員のファシリテーション力の向上が継続的な課題となっている。

(5)今後の展開について
今後は、次期学習指導要領を見据え、1人1台端末とクラウドを前提とした個別最適な学びと協働的な学びを一層充実させ、子供が自ら問いを立て、学習方法を選択・調整できる授業への転換を進める。生成AIについては、国のパイロット校としての実践を蓄積し、表現支援、対話型学習、振り返りの分析などへの活用と、情報の真偽を確かめるリテラシー教育を併せて推進する。また、学習・生活データを可視化し、児童・生徒自身の学習改善と教員による個別支援につなげる。オンライン交流やメタバースを活用した不登校支援、校務DX、教職員研修も継続し、学校間で実践を共有することで横展開を図る。ICTを目的ではなく、子供も大人も夢中になって学べる教育を実現するための基盤として発展させる方針である。

(6)その他
委員からは、授業全体のうちICTを活用した自由進度・複線型の授業が占める割合について、主体的に学べる子供とそうでない子供との学習格差が広がらないための対応について、教員によって授業の質に差が生じないための対応について、標準的な進め方があるのかについて、フルクラウド・ゼロトラスト環境の整備に要した予算額について、GIGAスクール構想に先行してICTを活用した自由進度・複線型の授業を実施するに至った経過について、特例制度を活用しどのようなカリキュラム編成で展開しているのかについて、既存の教員体制で実施しているのか、それともICT支援員等の補助人材を配置しているのかについて、児童・生徒の評価方法について、高校教育にどうつながっていくのかについて、久喜市の取組が若い教員の人材確保につながった事例はあるのかについて、紙の教科書などの紙を使った学習とデジタル学習の使い分けについて、教員の手間が増えているのではないかについて、クラウドデータに問題が発生した際の対応について、教員が休職した際の対応について、専科教員の配置について、メタバースの具体的な活用事例について、学習データを幼児期から小・中学校まで教育委員会が一元的に管理できる環境にあるのかについて、体育の授業等でもVRなどを活用するような予定はあるのかについて等の質疑がなされた。

久喜市視察の様子

「久喜市視察の様子」​​​​​

世田谷区(8月18日)

【調査項目】

地域子育て支援コーディネーターについて

『区の概要』

  • 区制施行:昭和7年10月1日
  • 人口:93万1,820人(令和8年8月1日現在)
  • 面積:58.049平方キロメートル

1.地域子育て支援コーディネーターについて

(1)概要について
世田谷区では、単独世帯の割合が増え、夫婦と子供世帯の割合が減っており、国や都と比較しても合計特殊出生率が低い傾向にある。また、15歳から49歳の女性について区の総人口に占める割合も低下傾向にある。地域子育て支援コーディネーターは、子ども・子育て支援法に基づく利用者支援事業の基本型として、子育て家庭からの相談に応じ、地域の子育て支援資源や関係機関との橋渡しを行う役割を果たしている。区内5地域の拠点と中間支援センターの計6か所を基盤に、NPOへの委託により運営され、国が指定する研修を受講した者が相談・支援に当たる。相談者に寄り添いながら共に考え、行政窓口につながる前の段階から身近な地域で支援することが特徴である。

(2)事業実施に至った経緯について
世田谷区では、親子が集う「おでかけひろば」や児童館などの地域資源を整備してきた一方、妊娠期から出産直後にかけて地域との接点が乏しく、周囲の支援を得られないまま孤立する家庭が見られた。こうした状況下において、行政だけではきめ細やかな支援は困難であるという認識から、行政窓口より身近な場所で相談を受け、地域資源や専門機関に結びつける役割として、平成27年4月から地域子育て支援コーディネーターを設置した。その後、フィンランドのネウボラを参考とし、子ども・子育て家庭を支えるために生まれた世田谷版ネウボラが平成28年7月に始まり、令和5年度には地域子育て支援コーディネーターもそのネウボラ・チームに加わることで、現在の切れ目のない相談支援体制へ発展した。

(3)主な取組及び成果について
地域子育て支援コーディネーターは、おでかけひろば等での日常的な会話から悩みを把握し、地域資源の紹介、専門機関への橋渡し、おでかけひろばへの同行などのアウトリーチ支援も行う。また、地域子育て相談機関としての役割や相談支援についての学びを深めるとともに、関係機関同士の顔の見える関係づくりを通じて、地域における連携体制の強化を図るため、地域子育て相談機関交流会を実施している。

(4)課題について
家庭の相談内容は複雑化・多様化し、子供の発達や生活習慣への理解、家族間のコミュニケーションにも課題が見られる。親としての成長を支える観点からも、地域子育て支援コーディネーターをはじめとした支援サービスを一時的に困難をやり過ごす手段として終わらせるのではなく、子育て家庭が多様な支援策を選択し、自分らしい子育てができるよう、身近な地域資源同士がつながり、伴走していくための意識醸成や支援体制の整備が必要である。

(5)今後の展開について
地域子育て支援コーディネーターと関係所管、地域資源とのネットワークの充実や地区レベルでの連携体制の充実・強化を図るとともに、地域子育て相談機関交流会における事例検討や意見交換などを通して、地域全体の相談機能の底上げを目指していく。また、業務の再整理やDX化を進め業務の効率化を図ることで、地域子育て支援コーディネーターが専門性を発揮し、相談支援や地域連携に専念できる環境を整備していく。

(6)その他
​委員からは、地域子育て支援コーディネーターとせたがや0→1子育てエールの支援員は別なのかについて、せたがや0→1子育てエールの支援員数は出生数に対して充足しているのかについて、せたがや0→1子育てエールを予約しない家庭への対応について、地域子育て支援コーディネーターの財源について、地域子育て支援コーディネーターになるために必要な資格について、各地域の課題に対する対応方法について、虐待予防効果について、福祉と教育の連携について、義務教育以降の支援について、地域子育て支援コーディネーターが十分に確保されていると判断する基準は何かについて、保健師の数と配置について、各コーディネーターは区職員と委託先職員のどちらが担っているのかについて、NPO等と円滑に連携できているのかについて、地域子育て支援コーディネーター事業で委託しているNPO等の数について、予防接種受診に対する支援について等の質疑がなされた。​

世田谷区視察の様子

「世田谷区視察の様子」​