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宇治市議会(行政視察報告 令和8年度) 2

印刷ページ表示 更新日:2026年6月10日更新 <外部リンク>

産業・人権環境常任委員会の行政視察報告

年月日: 令和8年5月20日(水曜日)~5月21日(木曜日)
視察先: 廿日市市(広島県)、東広島市(広島県)
出席委員:松峯委員長、西川(康)副委員長、堀、藤田、坂本、関谷、西川(友)の各委員
執行部:     脇坂産業観光部長、前田人権環境部長

廿日市市(5月20日)

【調査項目】

観光振興基本計画について

『市の概要』

  • 市制施行:昭和63年4月1日
  • 人口:11万4,518人(令和8年4月1日現在)
  • 面積:489.36平方キロメートル

1.観光振興基本計画について

(1)概要について

    廿日市市では、平成27年度から令和6年度までの10年計画で観光振興基本計画を策定し、この4月に一般社団法人はつかいち宮島ツーリズムを立ち上げた。法人立ち上げまでの1年の空白期間を経て今回、令和8年度から令和12年度までの5年計画で新たな観光振興基本計画を策定した。
     新たな計画では「歴史をつむぎ 多様性が広がる 世界に誇れる 観光のまち」を将来像とし、3つの基本方針を掲げている。
    基本方針の1つ目は「稼ぐ観光の推進」で、宮島とそれ以外の地域も含めてより収益性を高めるため、必要な投資と人材育成を進め、エリアとして稼げる観光地を目指す。2つ目は「地域も満足できる観光の確立」で、持続可能な観光地とするために地域住民の満足度を高め、観光振興が地域の負荷にならない、地域をよりよくするものとしてまちづくりをする。3つ目は「戦略と仕組みづくりの推進」で、観光データに基づくマーケティングの手法を活用して、戦略的に取組を実行していく。立ち上げた法人をキーとして、様々なステークホルダーと連携・協働し、市全体で戦略的な取組を推進する。

 

(2)計画策定に至った経緯及び目的について

    観光消費額の1人当たり単価が4,412円と低く、滞在期間も短く9割以上が日帰りで消費につながらないという現状、ゴールデンウイークや紅葉の時期といった繁忙期と、2・6・12月といった閑散期との差が大きいこと、宮島以外の観光地への誘客に課題がある。
    また、コロナ禍前後に拡大・顕在化した課題として、オーバーツーリズムの未然防止・抑制、慢性的な交通渋滞に加え、急増するインバウンドの対応や観光人材不足の現状がある。
    計画はこれらを踏まえて、誰もが安心して訪れ滞在することができる観光地を目指して、環境の整備をしつつ他の地域にも波及できるような、持続可能な観光地づくりを進める目的で策定した。なお、成果目標としては総観光客数のほか、宿泊客数、観光消費額、観光客の満足度、新たに住民満足度を加えた。

 

(3)主な取組及びその成果について

    前回の観光振興基本計画は、地域の消費増加と地域住民の活力向上、訪問者をリピーターやファンとして獲得し、廿日市市への移住を検討する人の増加を目的に策定した。
    計画策定により、観光客数及び観光消費額が令和6年度に過去最高(令和7年度については集計中)を記録し、設定した数値目標を全て達成したこと、10年連続の転入超過であることから、一定の成果があったと捉えている。

 

(4)今後の課題と取組について

    廿日市市内には市役所観光課以外に、はつかいち観光協会と宮島観光協会の2つがあり、商工会議所や商工会が合わせて4つ、ほかにも旅館組合などの関係団体が複数ある。
    そういった関係機関や事業者、地域住民をしっかりと連携させ調整するハブ機能として、はつかいち版DMOである一般社団法人はつかいち宮島ツーリズムを立ち上げた。
    法人は特に、戦略の実践・管理をするマネジメント、データ分析・活用をするマーケティング、広いエリアで広域的な情報発信をしていくプロモーション、この3つを主な事業として実施するため、令和8年4月から事業推進していくこととなっている。

 

(5)その他

    委員からは、宮島に集中する観光客を周遊させる仕掛けについて、市内の宿泊施設数について、宮島訪問税について(税収・使途・導入時の反発・島民及び島内労働者の免税方法等について)、事業実施への地域住民の巻き込み方について、道路やアクセスの改善に交通政策課と連携しているかについて、滞在型観光プログラムについて、観光に関する税収の割合について、稼ぐ観光の具体的事例について、施設の運営は指定管理者かについて、一般社団法人はつかいち宮島ツーリズムの職員構成について(行政派遣の有無・人数・人事等について)、一般社団法人はつかいち宮島ツーリズムと関係機関との関係性について、事業者の高齢化問題について、道路幅について、海外への観光PRについて、観光マナーについて、観光人材の確保・育成について等の質疑がなされた。

 

「廿日市市視察画像」

​「廿日市市視察の様子」

 

東広島市(5月21日)

【調査項目】

終活情報登録事業について

『市の概要』

  • 市制施行:昭和49年4月20日
  • 人口:19万1,055人(令和8年4月30日現在)
  • 面積:635.32平方キロメートル

1.終活情報登録事業について

(1)概要について

    身寄りのない高齢者等が病気や事故で意思表示が困難になった場合に備え、緊急連絡先や医療情報などの希望する情報を事前に市に登録しておくことで、本人が指定した人からの開示請求、医療機関・警察等からの照会があった場合に市が本人に代わって情報を提供する仕組みである。
    事業開始は令和7年2月、事業費はゼロ円。対象者は在宅で身近に頼れる人がいない高齢者で、東広島市に住所がある人。申請は本人、または本人の意思表示が困難な場合は、成年後見人や親族。申請先は基幹型地域包括支援センターで、必ず対面にて申請。登録できる情報は緊急連絡先、医療情報、リビングウィル・エンディングノートの保管場所、生命保険・預貯金等、臓器提供の意思、葬儀・遺品整理等の生前契約先、墓の所在地、遺言書の保管場所、その他自由登録事項。登録費用は無料で、登録後に2種類(携帯用・家庭用)の登録証を交付する。
    開示請求は、本人が病気や事故で意思表示が困難になったとき、または死亡時。医療機関や警察・消防等からの請求は24時間対応し、電話での口頭で開示。本人が指定する人の場合は、市役所の開庁時間に書面で開示する。

 

(2)事業実施に至った経緯及び目的について

    社会背景等として終活への関心やニーズの高まり、少子高齢化や未婚化、家族関係の希薄化によって、家族からの支援が受けられない人や身寄りのない人に対する支援の必要性、あるいは人生の最終段階の意思決定を支えていく必要性が全国的に高まってきている。
    このような中、東広島市でも高齢者世帯や高齢者単身世帯の増加、高齢者人口の増加が進み、高齢者のみの世帯の増加が予想された。それに伴い、身近に頼れる家族がいない人や身寄りのない人への支援、終活に関する支援の必要性も高まると考え事業を検討した。
    事業実施に当たり地域包括支援センターが業務の中で把握した実態に加え、ケアマネジャーへの聞き取り、医療機関・居宅介護支援事業所・民生委員へのアンケート調査、先行実施している市町村への実態調査を実施。事業の目的として、本人の希望に基づく支援体制を構築し、緊急時に必要な情報を共有することで、本人の意思を尊重した支援につなげることを一番とした。

 

(3)主な取組及びその成果について

    担当部署は地域包括ケア推進課、基幹型地域包括支援センターの社会福祉士3名体制で運用している。申請の受付後は、情報は紙媒体とデータで保管し、年1回住民基本台帳を確認し登録者の転居や死亡を把握している。関係機関との連携としては、ケアマネジャーと一緒に自宅を訪問して登録申請を受けたり、終活の相談を受けたりしている。
    令和7年2月20日に事業開始し、登録者数は令和8年4月末現在で34名。終活相談の対応件数は63件である。申請をきっかけに途絶えていた家族との連絡が再開したり、終活の相談を通して不安に思っていることを明らかにし、その不安に対して地域包括支援センターや身元保証サービスなどの社会資源を紹介したりすることができるなど、市民と福祉がつながること、特に専門職の活躍の場があって市民サービスの向上につながったということが大きな成果であると言える。

 

(4)今後の課題と取組について

    今後、終活相談や登録申請が増えてきた場合に、現在の3名体制で対応できるかどうかということ、終活に関する社会的資源として、例えば会葬業者や仏壇業者などどのような事業者があるのか整理できていないということが課題。身元保証サービスや死後事務契約委任等、低所得者向けの社会資源も少ない。さらに今後、高齢者のみの支援でよいのか、ニーズを踏まえて対象者の見直しが必要と思われる。
    その他、登録内容は更新が可能であるが、更新されないまま登録が残っている場合、現在とは異なる医療情報を提供してしまう可能性がある。また、個人情報管理の常として、個人情報漏洩時に重大なリスクが伴うので、取扱に注意が必要。
    この事業は、今を安心して生きる備えをしてもらうためのものであり、地域のセーフティーネットとしての役割も持つ。それがひいては高齢者の人権擁護につながると考え、今後も事業実施していく。

 

(5)その他

    委員からは、市民の事業への認知度について、余命宣告を受けているような65歳以下の人の申請は可能かについて、事業実施に当たる基幹型包括支援センターの人材は足りているのかについて、登録情報の更新忘れにより家族の意思と異なった場合について、市民に紹介できるような信頼できるNPOがあるかについて、情報を開示請求するリスクについて、地域包括支援センターは市内に何か所あるのかについて、地域包括支援センターの運営は直営か民間かについて、直営の場合の税金投入の有無と民間の場合の支援の有無について、エンディングノートによる財産処分について等の質疑がなされた。

 

「東広島市視察画像」

​「東広島市視察の様子」