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【イベントレポート】雅楽の魅力にふれる「源氏物語を聴く-音色の彩り-」

更新日:2025年1月6日更新 印刷ページ表示

【イベントレポート】雅楽の魅力にふれる「源氏物語を聴く-音色の彩り-」

「源氏物語を聴く-音色の彩り-[聴覚]」講座の写真まとめ

『源氏物語』のストーリーに彩りを添える雅楽。断片的に耳にすることはあっても、どんな楽器がどのように奏でられているのか、なかなか知る機会は少ないのではないでしょうか。そんな雅楽に親しめる講座「源氏物語を聴く-音色の彩り-[聴覚]」を、「五感で楽しむ古の文化講座」の一つとして、2024年12月15日に宇治市生涯学習センターで開催しました。今回は美しい音色に包まれた当日の様子をご紹介します。​

【第一部・ワークショップ】雅楽器ってどんなもの?

雅楽の生演奏の様子

講座は10時30分〜12時にワークショップ、13時30分〜15時に演奏会という二部構成で行いました。講師を務めてくださったのは、京都を拠点に定期演奏会や雅楽教室などの演奏活動をしている「音輪会(おとのわかい)」の皆さんです。ワークショップは、「まずはちょっとだけ聴いてみましょう」ということで、雅楽の生演奏からスタート!

楽器紹介の様子

幽玄の調べに心をぐっと掴まれた後、雅楽に使用される代表的な楽器の紹介が始まりました。使用する楽器は、管楽器の鳳笙(ほうしょう)・篳篥(ひちりき)・龍笛(りゅうてき)、絃楽器の楽琵琶(がくびわ)・楽箏(がくそう)、打楽器の太鼓(たいこ)・鞨鼓(かっこ)・鉦鼓(しょうこ)です。楽器ごとの特徴や役割が各奏者さんからわかりやすく説明され、参加者は興味津々。奏法の違いによる音色の変化には、皆さん感心した表情を浮かべていました。

参加者が楽器に触れている様子

一通り説明を受けたあとは、お待ちかねの「雅楽器に触れてみましょう」の時間に。参加者は3グループに分かれ、打楽器・絃楽器・管楽器をローテーションしながら、実際に楽器に触れたり音を出したり(管楽器の音出しの体験はなし)。雅楽の楽器はどれも繊細で貴重なものばかりとあって、皆さん最初はおっかなびっくり音を出してみる…という様子でしたが、少しずつ慣れてくると楽しそうに何度も音を確かめ、音輪会の皆さんに積極的に質問を投げかけていました。

参加者の村本さん

実際に音を出してみた感想を参加者に聞いてみました。宇治市政だよりの案内を見てお一人で参加したという村本さんは「簡単に演奏されているように見えますが、実際に体験してみると、音がずれたり鳴らなかったり。間近で雅楽器の音を聞く機会がなかったので、綺麗な音が聞けて嬉しかったです」とニッコリ。

参加者の杉村さんご夫婦

ご夫婦で参加された杉村さんも「雅楽を聞くことはできても、楽器を触らせてもらえる機会はそうないので、面白そうだと思って参加しました。太鼓を叩くといっても、単純ではなく作法があるんですね。演奏を聴いているだけではわからない、さまざまなことが知れて楽しかったです」と、話してくれました。

【第二部・演奏会】ホールに響き渡る伝統の調べ

雅楽の演奏会

午後からは、雅楽の生演奏による本格的な演奏会が始まりました。まずは管絃演奏の最初に演奏される短い曲「平調音取(ひょうじょうのねとり)」、続けて「越殿楽(えてんらく)」、「陪臚(ばいろ)」が披露されました。「越殿楽」は、結婚式などお祝いの席、式典でも演奏される雅楽の定番曲で、優雅で流れるような旋律。「陪臚」は「越殿楽」と同じ平調(ひょうじょう)という調子の曲ですが、リズムや拍子が異なります。曲の印象の違いに、雅楽の奥深さを感じさせられました。

楽器「竽(う)」と鳳笙の共演

雅楽アラカルトとして、楽器の紹介や譜面の読み解きなどがありました。特に興味深かったのは、鳳笙を大型化した姿の楽器「竽(う)」と鳳笙の共演。竽は、奈良の正倉院の収蔵品から復元されたそうで、どんな場面でどのように演奏されていたのかが記録に残っておらず、復元楽器もおそらく30本ほどしかないのだとか!笙より1オクターブ低い音色で、笙とのハーモニーは神秘的で包み込まれるような響きでした。

舞楽「蘭陵王(らんりょうおう)」の上演

そして平安時代の歌謡「催馬楽(さいばら)」の復元曲「酒を飲(と)うべて」の一節が唄われたのち、演奏会はいよいよフィナーレへ。有名な舞楽「蘭陵王(らんりょうおう)」の上演です。蘭陵王は古代中国の美男子武将として知られ、その美しさゆえに味方が見とれてしまい、士気が上がらなかったため、戦場では恐い獰猛(どうもう)な面をつけて戦ったと伝えられています。面をつけた蘭陵王が堂々と登場し、勇壮な舞が終わると、会場からは大きな拍手が送られました。力強さの中にもどこか優雅さが漂うこの演目は、まさに雅楽の真髄を感じるものでした。

参加者の青木さん

一部二部を通して参加された青木さんに感想を聞いてみると「ワークショップの楽器の体験の中で一番鞨鼓が印象に残っていたので、演奏会では鞨鼓が実際にどんな感じで演奏されるのか注目して鑑賞していました。事前にいろいろ教えていただいていたのでより演奏会が楽しめました!」と大満足のご様子。

講師の音輪会の会長・川口さん

講師を務めてくださった音輪会の会長・川口智康さんは、「雅楽の楽器はなかなか触れる機会がないと思います。雅楽というのは、1200年以上前、インド・中国から渡って来て、日本で整えられた世界で最も古い音楽文化財。私自身、そういった音楽を演奏できることが楽しいですし、こういった機会を通して、少しでも雅楽に親しんでもらい、日本を見直すきっかけにしてもらえると嬉しいです」と語ってくださいました。

 


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