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【イベントレポート】思いやりの球戯「蹴鞠」に挑戦!「KEMARI蹴鞠 WORLD」
思いやりの球戯「蹴鞠」に挑戦!「KEMARI蹴鞠 WORLD」
2024年8月7日(水)、西宇治体育館のコミュニティアリーナにて、「五感で楽しむ古の文化講座」の一環として「KEMARI蹴鞠 WORLD-アリ!ヤア!オウ!-」を開催しました。本イベントは、紫式部ゆかりの町・宇治の魅力を発信するプロジェクトの一環として、小学3年生以上を対象に、蹴鞠の文化を学び、実際に体験するものです。今回は当日の様子をレポートします。
平安時代の雅な遊び「蹴鞠」とは?
蹴鞠は約1400年前に中国から伝わったといわれ、平安時代には貴族の間で広く親しまれるようになった球戯の一種です。8人または6人が輪になって鞠を蹴り合い、地面に落とさないようにラリーを続けます。ポイントは、勝敗を競うのではなく、いかに蹴りやすい鞠を相手に渡すかを重視する、思いやりの精神(「和を以て貴しと為す」)が息づく遊びだという点。その優雅な動作や所作から、当時の貴族たちがたしなんだ雅な文化を体感できる球戯として、現代でも伝統行事の一環として受け継がれています。
まずは貴重な蹴鞠の鞠作りを学ぶ
今回のイベントでは、まず蹴鞠の歴史や作法について学ぶ講座が行われました。講師を務めたのは、けまり鞠遊会の代表・池田游達さん(73歳)と副代表・池田蒼圭さん。游達さんは25歳で蹴鞠の世界に入り、約50年の経験を持つ第一人者であり、京都丹波の地で鞠を作りながら、蹴鞠の魅力を広める活動をされています。
蹴鞠に欠かせない「鞠」は、シカの革を用いて作られます。游達さん曰く、シカ1頭から1つしか作れず、なんと完成までに半年も要するのだとか。そのため年間4~5個しか製作できず、しかも実際に使用できるのは2個程度……ということで、その希少性から海外からの問い合わせも増えているそうです。
講座では鞠作りの工程を紹介するビデオが上映され、参加者の皆さんは完成した鞠を手に取り、その質感や重みを確かめていました。普段なかなか目にする機会のない本物の蹴鞠の鞠に、子どもから大人まで興味津々!実際に手に取ることで、その手触りや職人の技を実感し、伝統工芸の奥深さを学ぶ機会となりました。
いざ、蹴鞠体験!
講座の後は、コミュニティアリーナに移動し、まずカラーボールやバスケットゴールを使った基本実習が行われました。参加者は利き足に応じてボールを蹴り、親指の付け根に乗せ、地面に落ちる寸前で鞠を蹴り上げるという基礎動作を学びました。
その後はグループに分かれ、10分間にどれだけラリーを続けられるか目標回数を決めて行う「あらそいの鞠」(※)を体験。まずカラーボールで練習した後、鞠を蹴って記録に挑戦しました。実際に挑戦すると、思った以上に難しく、最初は苦戦する様子も見られましたが、皆さん次第にコツをつかみ、楽しそうに取り組んでいました。
(※)遊び事であって、勝敗を競うものではない
また蹴鞠体験では、京都サンガF.C.のキャンパス隊の方も参加。蹴鞠は単なる遊びではなく、体幹を鍛え、リズム感や集中力を養う効果もあり、現代のスポーツにも通じる要素があることが実感されました(「蹴鞠十徳」:武家の心得)。
参加者の感想
・新しい発見ができてよかった。(9才)
・本物の鹿(革)製の蹴鞠の体験は初めてで楽しかった。(20代)
・蹴鞠というものに初めて触れて、球でなく風船みたいなものと知った。びっくりした。(40代)
・めっちゃ楽しいし、初めての体験をできたので嬉しかった。難しくもあった。(40代)
・昨年、御所で蹴鞠を見学した。楽しそうだったが、難しそうに見えた。一度やってみたいと思っていたが体験できて大変感謝している。実際、やはりとても難しかったが、楽しい体験だった。勝敗が関係ないことも良かった。鞠づくりは本当に大変なことだと気づいた。(50代)
・初めて蹴鞠をした。蹴鞠製作の話から、実際に体験ができた。とても貴重な体験をすることができた。(50代)