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【イベントレポート】源氏ろまん2023 宇治田楽まつり〜現代によみがえった平安時代の民俗芸能〜

更新日:2023年11月30日更新 印刷ページ表示

人から人へ、そして後世へと受け継がれていく文化遺産「宇治田楽(うじでんがく)」​

​ 紫式部が生きていた平安時代、宇治の白川に「本座」と呼ばれる芸能民集団がおり、田楽を披露していました。田楽とは、人々が篠笛や太鼓などの楽器を鳴らしながら歌い躍り、五穀豊穣を願う民俗芸能で、宇治はその発祥の地といわれています。長い歴史の中で一度は途切れた宇治の田楽ですが、1998(平成10)年に市民の手によって、新たに現代のアレンジを加えた「宇治田楽」という形で復興し、現在まで引き継がれています。

 今回は、2023年10月14日に開催された「源氏ろまん2023 宇治田楽まつり」をレポートします。

源氏ろまん2023 宇治田楽まつり 
画像提供:宇治田楽まつり実行委員会

イベントレポート

源氏ろまん2023 宇治田楽まつり 市長あいさつ

 今年で26回目を迎える「源氏ろまん2023 宇治田楽まつり」は当初、宇治公園(中の島)で開催予定でしたが、雨天のため、宇治市文化会館の大ホールに会場を変更して開催されました。

 オープニングとして京都府立高校の莵道高校の有志の1年生による「惣躍り」が披露された後、宇治田楽まつり実行委員会の名誉会長を務める松村 淳子 宇治市長と、中谷会長による開会の挨拶が行われました。

 祭り囃子の音に合わせて、色鮮やかな衣装を身にまとった市民公募の参加者たちが入場。宇治商工会議所会頭・山仲 修矢氏と、宇治市観光協会会長・中村 藤吉氏によって、まつりの開始を表す「火入れの儀」が行われ、いよいよ本格的にスタートです。

源氏ろまん2023 宇治田楽まつり 惣躍り序「童舞」

 「惣躍り」は、豊作の喜びを表現する躍りです。その序幕である「童舞」は、月の使者である子うさぎたちの舞で、子どもたちが大地の恵みである稲の初穂(兎杖)を手に躍ります。

 宇治田楽の見どころは、音楽と演者たちとの融合、そして躍り手たちの息の合った演舞です。元気に飛び跳ねながら舞う子どもたちの姿に、観客も一気に心掴まれました。

源氏ろまん2023 宇治田楽まつり 龍舞

 子うさぎたちの舞は、宇治川の水神(龍神)を呼び醒まします。龍神が天へと昇っていく様を表現した「龍舞」も披露されました。息を呑むような流麗な舞が、会場を魅了します。

 

源氏ろまん2023 宇治田楽まつり 言祝

 松村市長、宇治市議会議長の松峯 茂氏、宇治青年会議所理事長の村田 翔一氏ら3名の歌詠みによる「言祝(ことほがい)」が行われました。笛の音が響く中で、宇治の自然を讃える歌が詠まれます。

源氏ろまん2023 宇治田楽まつり 惣躍り破「翔」

 平安時代、宇治に存在した芸能民衆団「本座」は、宇治離宮(現・宇治神社と宇治上神社)祭や京都・奈良の祭礼で、腰太鼓や編木(びんざさら)などの楽器を打ち鳴らし、華やかな躍りで田楽を演じていたと伝わっています。

 音楽と躍りが一体となる姿に人々が惹きつけられるのは、昔も今も変わりないのかもしれません。民衆の心を掴んでいた宇治田楽ですが、庇護してくれていた藤原氏の没落、能や狂言の発展とともに衰退していき、失われた宇治の文化遺産となっていましたが、それを復興させたのもまた宇治市民でした。

 1998(平成10)年に、市民が主体となって、田楽の復活とそれを「市民の祭り」とするべく、オリジナルの創作も加えた宇治田楽として現代によみがえらせ、文化の伝承と育成を行っています。

宇治田楽まつり田楽躍

 宇治に古くから伝わる茶摘み歌を元に創作した茶摘み踊り「宇治茶礼賛(うじちゃらいさん)」のあとは、「田楽躍(でんがくやく)」です。

 「田楽躍」は、応神天皇が木幡のヤカワエヒメに贈った求愛の歌に合わせて、振り鈴、編木(びんざさら)、腰鼓(こしつづみ・ようこ・呉鼓(くれつづみ)ともいう)を打ち鳴らしながら、隊形をダイナミックに変えて躍る、ひときわ見応えがある踊りです。

 その後も、軽快な笛の音と太鼓に合わせて2頭の獅子がコミカルに舞う「獅子舞」や、体操クラブの選手らによる大陸渡来のアクロバティックな「散楽(さんがく)」の演舞も。そして終演となる大団円「さんやれ(幸有れ)」で締めくくられ、演者の皆さんに向けて会場からは盛大な拍手が送られました。

 源氏ろまん2023 宇治田楽まつり田楽躍

 宇治田楽は、芸能の原点とも言われる田楽を残していくだけでなく、現代の新しい演目や踊りを市民主体で創り出し、加えていっています。実行委員会のメンバー曰く「常に挑戦していくことが大切」で、新しいものに挑戦していく姿こそが活動存続の秘訣なのだそう。

 今回まつりに演者として参加した約100名の市民の中には、小・中・高校生たちも多数おり、次世代にも確実に引き継がれています。人から人へ、そして後世へと受け継がれていく宇治の誇るべき文化遺産を、これからも守りつつ、広げていきたいですね。

 

参加者

出演者約100名、スタッフ約30名

 新型コロナウイルス感染症が5類に移行されたことに伴い、本来の演目構成にほぼ戻した形で公演出来たことが、何よりの喜びです。雨でなければ商店街を練り歩き会場入りする予定でした。外での開催は また来年のお楽しみにしていただけたらと存じます。

イベント概要

源氏ろまん2023 宇治田楽まつり

 平安時代の民俗芸能である宇治田楽を市民のまつりとして復興し、雨天時会場宇治市文化会館で披露する他、宇治市文化芸術活動おうえんチャンネルにて動画配信を行う。

  • 日時 令和5年10月14日(土曜日)17時~19時
  • 会場 宇治市文化会館
  • 参加費 無料

 

 

 2023年10月14日宇治市民文化センター大ホール にて開催された 「宇治田楽まつり」の模様を抜粋した部分をダイジェストで動画にしたものです【宇治市文化芸術活動おうえんチャンネルより】


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