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令和5年8月2日(水曜日)に宇治市生涯学習センターで開催しました。イベント概要から当日の雰囲気、参加者の声をレポートします。
この催しは、「五感で楽しむ古の文化講座『平安時代のスイーツ・削り氷を食べよう』」と題して実施しました。当日「味覚」をテーマに、午前の部と午後の部を合わせて約30名が参加し、1300年前から親しまれてきた味を再現し楽しんでいただきました。
『枕草子』のなかで清少納言が「あてなるもの(上品なもの)」と表現した甘葛(あまづら)のシロップをかけたかき氷。甘葛煎(あまづらせん)の再現の模様を紹介した後、甘葛風シロップづくりと試食を行う。
【出典:『古典がおいしい!平安時代のスイーツ』(かもがわ出版)】
講師 前川 佳代(まえかわ かよ)さん
奈良女子大学 大和・紀伊半島学研究所古代学・聖地学研究センター協力研究員
日時 平成5年8月2日(水曜日)10時半~12時(10時受付)、13時半~15時(13時受付)
会場 生涯学習センター 第2ホール・調理室
定員 各回先着16名 ※小学生以下は保護者同伴
参加費 300円
奈良時代に様々な用途で使われていた“甘葛煎”は、真冬の最も糖度を増す時期のブドウ科のツタから時間をかけて採取した樹液を煮詰めてできる貴重なもの。
前半は、講師の前川先生から、砂糖伝来により作り方が分からなくなってしまった幻の味を現代に蘇らせた、奈良あまづらせん再現プロジェクトの取組について映像を交えて、「昔の人が味わっていたものが、どのように親しまれていたのかを感じながら調理を楽しんでほしい」と紹介されていました。
後半は『古典がおいしい!平安時代のスイーツ』より、家庭でも作れるレシピであまづら風シロップを作りました。シロップにとろみがつく場面には「おぉー!」と歓声が上がっていました。
その後シロップを氷にかけ実食へ。普段味わうことのないザラザラな氷の触感、甘みが控えめなシロップに驚きながら「美味しい!」と声を上げる参加者が多くみられました。また、サプライズとして、奈良あまづらせん再現プロジェクトが、“甘葛煎”の味覚を分析・開発し、令和5年7月9日に記者発表された新しい“甘葛シロップ”を提供いただき、2つの味を食べ比べました。
2人のお子さんと参加した藤縄さんは大の歴史好き。お子さんには「古い歴史に触れて興味をもつきっかけになれば」と参加したきっかけをお話されました。小学校3年生の千世ちゃんは「普段食べるアイスと違いがあり、美味しかった!」と話され、講義の内容にも興味を持ち、「今後もっと歴史を勉強したい」と話してくれました。
友達連れで参加された杉方さん。味の感想は「いつも食べるかき氷の味とは違い、気品があった」。削り氷が平安時代に食されていたことから、「来年1月に放映開始する大河ドラマの内容が気になった」と話されていました。
講師の前川先生は「平安時代の方がクーラーのない中で、どのような涼の取り方をして、それを楽しまれていたのかを参加者に感じてもらいたかった」と狙いを語られ、「参加者の皆さんは削り氷を美味しく食べていただけた。昔の人が愛していた食べものは、今も美味しいと感じるはず。もっとたくさんの人に古代スイーツの魅力を伝えていきたい」と話されていました。
小学生から70代の方まで幅広い層が参加
1回目 14名 ほか、見学者4名
2回目13名 ほか、見学者3名