宇治史探検 No.001

　宇治川中州の橘島の中ほどに建っている大きな石碑をご存じですか。これは正面に「宇治川先陣之碑」と刻まれているように、古来この地で数多くの合戦があったことにちなんで建立されました。

　なかでも、有名なのは『平家物語』に描かれる「先陣争い」です。源義仲を追討すべく京にせまる源義経の軍勢。配下の武将、佐々木高綱と梶原景季が、それぞれ名馬「いけづき」と「するすみ」にまたがり、一番乗りを競います。

　「橋合戦」とならび宇治を舞台とした名場面のひとつです。しかし、彼らが駆けだしたと伝えられている「橘の小嶋ケ崎」の詳しい場所は、明らかではありません。なぜなら、先陣争い自体が伝説の域を出ないからです。昭和6年（1931年）5月にこの石碑が建てられたことから観光スポットのひとつとなり、翌年にはこの中州が「橘島」と名付けられました。