ブックタイトル市政だより令和2年(2020年)6月1日号

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概要

市政だより令和2年(2020年)6月1日号

市では、子育て支援を充実させるための施策等を進めるため、「第2期市子ども・子育て支援事業計画」を策定しました。また、同計画と併せて、様々な困難な状況にある子どもが誰ひとり取り残されず、前向きに成長出来るよう、適切な支援を行うために「市子どもの貧困対策推進計画」を策定しました。子ども・子育て会議の委員として、計画の策定の中で特に子どもの貧困に携わられた寺田先生にお話を伺いました。「貧困」から「孤立」が生じる「子どもの貧困」による問題は様々ありますが、一つは、「孤立」だと考えます。人は周りの目が気になるため、「貧困」という言葉を避けてしまいがちです。心の中では生活が大変で福祉や他の支援を受けたいと思っている親がいても、周りの目やうわさが気になり、二の足を踏んでしまいます。親はさらに生きづらくなり、そして他人から助けを求めなくなって「孤立」してしまいます。親が「孤立」すると、その子どもの「孤立」へとつながります。全ての子どもが夢と希望を持って健やかに成長するためには、この「孤立」を取り除くことが、とても重要です。身近なところにある様々な「孤立」例えば、余裕はないけど、ぎりぎり生活は出来るといった家庭があったとします。子どもは部活動をしていますが、必要な道具が買えなかったり、遠征に行けなかったりすることがあります。そうすると、子どもは諦めてしまい、友達の中でも自分だけみんなと違うといった「孤立」が生じてしまうのです。そして、「孤立」は子どもの「自己肯定感」の妨げにもつながります。「友達と一緒にいれない、もういいや」と、夢や希望を語れなくなってしまいます。「孤立」を解消するために出来ること親そして子どもの「孤立」をなくすためには、一人ひとりが意識を持ち、社会全体で取り組む必要があります。先ほどの部活動の例では、道具が買えない子どもがいるなら道具のストックを準備する等、周りの子どもと同じように出来る環境を整える、そういう意識を持つことで、子どもの「孤立」が解消されるのではないでしょうか。たとえ経済的に困っていたとしても、困難な状況を受け止めてくれる環境があれば、「孤立」は生まれないと考えます。私たち一人ひとりが簡単に出来ることは「声を掛け合うこと」です。私の近所に保育所があり、親同士が「今日上のお兄ちゃんはどうしたの」「熱を出して家に寝かしているの」「大事にしてあげてね、私に出来ることがあれば言ってね」といった会話を耳にしたことがあります。「大事にしてね、何でも言ってね」と言ってもらうことによって、親はほっと安心出来ますよね。そうすると、親の心に余裕が出来、子どもにとっても、家庭内で親との会話が増える等、プラスの方向に働きます。しかし、近年ご近所付き合いも希薄化し、声の掛け合いが中々出来ない状況にあります。例えば、夜に子どもの激しい泣き声が聞こえてきたとしましょう。隣に住む人も普段からの関わりがなければ、泣き声がする家の人への声掛けに躊躇することでしょう。もし、虐待だったとしたら、子どもの命に関わることになります。普段から挨拶や会話など声掛けがあったとしたら防ぐことが可能なのです。まずはご近所の人や身近な人と挨拶だけでも良いので、始めてみませんか。全ての子どもに夢と希望を私は子どもに「こんな仕事につきたい」「こんなことをやってみたい」と自身の将来を探らせ、夢と希望を持って成長してもらいたいと願っています。そうするために、私たち一人ひとりの意識はもちろんですが、行政や関係機関なども、「福祉」や「教育」の部門にとらわれずに、必要な情報を共有し、一人ひとりの子どもや親に適切な支援が出来るよう、みんなで手を取り合っていくことが大切だと思います。まずは「挨拶」から始める子育て支援。京都文教大学こども教育部こども教育学科寺てらだ田博ひろゆき幸教授10