ブックタイトル市政だより令和元年(2019年)11月1日号

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概要

市政だより令和元年(2019年)11月1日号

子どもの時期から読書を推進する理由子どもにとっての読書について、素晴らしい文章を紹介します。子ども時代の読書というのは、この文章のとおり、人間にとって「根っこ」であり「翼」であると思います。心身共に育っていく、成長していく、その発達段階に応じた、その成長に応じた読書というのが、人としての「根っこ」となり成長していくための「翼」になっていくということだと思います。一番心身共に成長する時に、人として「根っこ」となる思考力、表現力、思いやりや感受性をいかに育てられるか、それが読書の素晴らしさであると思います。読書は何に良いの?その答えは、「子どもの読書活動は、子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないもの」という言葉に凝縮されています。これは「子どもの読書活動の推進に関する法律」(以下、「読書推進法」)の第2条に規定されている一文です。まず、言葉は本からでなくても学べますが、本からは豊かに学ぶことが出来ます。本は、吟味され選ばれた言葉で書かれているので、子どもは本を読むことで、豊かで適切な表現力を読み込み、そうすることで豊かな言葉を学びます。他にも、読解力や論理的思考力、言葉の使い方や文脈の中で適切に言葉を使いこなせる語ご彙い力も育ちます。次に、本を読みながら自分の経験や体験と合わせて感じることがとても大切です。本には子どもたちが体験しないこと、経験していないことが書かれています。自分が経験したことと経験していないことが出会うことによって、感じる心、感受性、「感性」が育ちます。例えば自分の家で飼っているインコが死んで辛い悲しいという体験があったとします。そして戦争の話を読んで、たくさんの人が辛い思いをして亡くなったということを本の中で経験します。「本を読む中で感じる心は自分が体験したあのことと同じだな」と、体験と本の中の世界が結び付いて、感じる心や情緒が深まったり、考えが深まったりするのです。本では吟味した表現が使われており、その豊かな適切な表現力を真似ることによって、自分自身の「表現力」が高まっていきます。また、本を読むことによって、知らなかったことを知ることが出来ます。ただそれは、ただの知識ではなくて自分との対話の中でそれを知恵に変えることが大切なことです。本を読むということは自分と対話しながら、考えながら言葉や文章を読み取ることです。そういうことで知恵になっていきます。その知恵は「創造力」につながります。そして、言葉との対話、本との対話の中で、思考力を深めていって、それが自分との対話の中で「人生をより深く生きる力」につながっていきます。このように「読書推進法」に書かれた一文は、とても深い意味を持っていることであって、それは大人も子どもも一緒だと思います。私も、いろいろな本を読みながら、新しい発見や自分への問いかけをし、問いながら読んでいくことによって、自分の考えを深めようとしています。AI時代を生き抜くためにこそ読書テレビなどの全てが悪いとは思いませんが、テレビからは一度に多くの情報や言葉が流れていき、立ち止まって深く考える今振り返って、私にとり、子供時代の読書とは何だったのでしょう。何よりも、それは私に楽しみを与えてくれました。そして、その後に来る、青年期の読書のための基礎を作ってくれました。それはある時には私に根っこを与え、ある時には翼をくれました。この根っこと翼は、私が外に、内に、橋をかけ、自分の世界を少しずつ広げて育っていくときに、大きな助けとなってくれました。【第26回IBBYニューデリー大会(1998年)基調講演 美智子皇后陛下(当時)より抜粋】京都文教大学 臨床心理学部教育福祉心理学科 教授橋はし本もと 京きょう子こ先生職歴/府内中学校教諭、府内小学校長など」  につながります。 「子どもの読書はなぜ必要なの?」などの素朴な疑問について、小・中学校で教員としての経験もお持ちの京都文教大学の橋本京子先生にお話を伺いました。6