ブックタイトル市政だより令和元年(2019年)10月1日号

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概要

市政だより令和元年(2019年)10月1日号

ボランタリー経済の広がり経済活動と聞くと、一般的に「マネタリー経済」、つまりお金の交換によって社会が成立することを思いつくかと思います。しかし、インターネット社会になるにつれて、「ボランタリー経済」という考えが広まってきました。ボランタリー経済とは、人と人とのつながりで成立する社会のことで、例えばインターネットでよくあるQ&Aサイトにおいて、誰かが質問すると、その質問について知識がある誰かが回答をしますよね。そこではお互いに情報交換を行っていますが、回答者に対して報酬はありません。このように、自分たちの意志で関わりながらつながっていく社会をボランタリー経済と言います。私たちはついお金が手に入らないと、活動する意味がないと思いがちですが、ボランタリー経済が浸透してきた現在においては、どれだけ人を支えているか、人の役に立っているか等、自分自身のやりがいが活動の中心となってきています。そんな今こそ、「余暇を楽しむ=お金を使って楽しむ」のではなく、自分の培ってきたノウハウを使い、人との関わりや支え合い、つまり「ボランティア活動」にぜひ目を向けてほしいと思います。ボランティア活動を始めるきっかけまずは、何でも良いからボランティア活動と関わることが大事です。関わるといっても難しく考えなくて大丈夫です。なぜなら私たちの身近なところにはたくさんのボランティア活動があるからです。例えば、電車に乗って白い杖を突いた人がいたら声を掛けて席を譲る、これもボランティア活動です。そしてボランティア活動で重要なのが、「支えたい」という気持ちはもちろんですが、「自分自身も支えられている」ということに気付くことです。これは私の実体験ですが、私が大学の教員になって1年目の頃、授産施設のボランティアに関わったことがあります。そこでのお手伝いを通して、自分自身を振り返り、「なんでも一人で出来ること=素晴らしいこと」ではなく、自分自身もたくさんの人に支えられているということに気が付きました。例えばお腹の大きい妊婦さんにとっては陸橋を渡るにしても、ものすごく大変なことで、陸橋が妊婦さんにとってどんなにバリアなものなのか、そしてそのバリアを解消するためにいろんな人が関わっていることに気が付きました。このような場面は妊婦さんや障害のある人等だけでなく、私たち誰にでも起こりうることで、こういう日常の出来事がボランティア活動に入っていくことの大きな意味だと考えます。ボランティア活動を持続するには私が以前ボランティア団体について調べていた時、宇治市にはたくさんのボランティア団体があったのですが、一番大きなテーマは「どう持続させるか」でした。反対に「なぜ持続しないのか」と考えると、後継者がいないケースが多いことに気が付きました。どんな活動も創始者がいますが、彼らは活動にすごく熱心な人が多いです。熱心に活動することは良いことですが、その人が辞めてしまうと、あとが息切れして続かなくなってしまいます。ボランティアは善意から始まることなので、そういう活発な人が進んで行動してしまうことが多いのですが、せっかく始めたボランティア活動を持続させるために、後継者の育成も視野に入れることが大事です。どうやって後継者を育てるかを考えるにあたり、例えば他団体のやり方等を知ることなどが挙げられますが、ボランティア団体だけでは限界があるので、市がその間を取り持つなど、行政サイドの支援にも期待したいです。本当の「ボランティア活動」「ボランティア活動」と聞くと、特に初めての人にとっては自分に出来るのかと身構えてしまうかもしれませんが、本当の「ボランティア活動」とはどんなものなのでしょうか。10月3日(木)開催の講座「はじめよう!セカンドライフ~「地域、学び、ボランティア」で集う★つながる安心~」において講演いただく森川知史教授にお話を伺いました。京都文教短期大学ライフデザイン学科森もり川かわ 知とし史ふみ教授7