ブックタイトル市政だより令和元年(2019年)9月1日号

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概要

市政だより令和元年(2019年)9月1日号

自助があっての共助共助を語る前に、まず前提になるのが自助です。今年度の防災白書の冒頭でも、「自らの命は自らが守る」意識を持つことの重要性が語られていますが、自助が出来ていなければ共助は成り立ちません。例えば、食料や水の備蓄や家具の据え付けなど、普段からの自助の取り組みが大事になります。自分の身を守ることをしない限りは他の人を助けることは出来ません。共助のおかけで内閣府の中央防災会議・防災対策実行会議「平成30年7月豪雨による水害・土砂災害からの避難に関するワーキンググループ」は様々な検証結果を出しています。その報告書によると、避難がうまくいった地域では、自主防災組織が作られ、防災リーダーを中心に避難計画の作成や避難訓練などの取り組みを行っていました。防災に関して意識が高い地域の人や普段から危機意識が高い人は、災害による被害が発生する前から早めの行動につながっていると考えられます。地域を知るということ昨年は槇島東地区、今年は南陵町自治会の「マイ防災マップ」を、本学の学生(PBL科目=課題解決型授業)と一緒に街歩きをしながら作成しました。よく「災害時に本当にこの地図が役に立つのですか」と聞かれることがあります。これはマニュアル作成と同じで、確かに実際の災害時には見ない可能性の方が高いと思われます。しかし、街を歩き地図に表現する経験は、自分たちの地域を把握して危険を予測するのに効果があります。街を歩く中で、いろいろなことに気づくきっかけになるでしょう。市が公表しているハザードマップでは地域の詳細まで網羅していません。共助では地域の特性を知ることが大切です。地図作りは、自治体レベルの小さな地域を知るための1つのツールとして有効だと思います。大切なのは普段からのつながり「自助」「共助」を考える上で、家族や身近な人と話し合うことが重要なのですが、高齢者ほど「話し合ったことがない」という回答の割合が高い傾向が、防災白書でも指摘されています。本学の高齢者アカデミーで5期生の担任をしているのですが、アカデミー生の皆さんも、「外出しようとしない近所の高齢者の方がおり、普段からのつながりを持てていないので、災害時はすごく心配だ」と話されていました。家族とのつながりがあれば、家族から避難を促すこともありますが、家族とのつながりもない場合はさらに危なくなるので、普段から呼びかけを行うなどつながりを持っておくことが大切になります。若い世代とのつながり地域の自主防災組織で活躍されている方は、65歳を横並びに多くを占めている印象を持っています。若い世代でも、地域に何か貢献したい人はいっぱいいると思いますが、仕事や育児、親の介護などで忙しいという理由で関われていません。また、どのように関わっていいか分からないという場合もあります。そうした中で、組織が継続して活動していくためには、リーダー的存在の人が、今のうちに若い世代の人とどうつながりを持てるかがポイントです。学校との連携昨年から中学1年生の宇治学( 市立小中学校の「総合的な学習の時間」)で防災学習が始まりましたが、地域の防災訓練に参加する生徒は少ないのが現状です。「防災教育チャレンジプラン」では全国で行われている防災教育の新しい試みやアイデアを募集しているのですが、受賞している学校などを見てみると、例えば部活動がない土曜日に学校と連携し、授業の一環として地域の防災訓練に参加するようなことをされています。地域の防災組織と学校が一緒になってやることで若い人と共に将来につないでいくということが、地域の防災力を高めるためには大事になってくると思っています。共助のこれからを考える 南陵自治会のマイ防災マップの作成に協力された京都文教大学の澤先生に、共助についてお話を伺いました。京都文教大学総合社会学部准教授澤さわ 達たつ大ひろ先生専門領域:地理教育(防災教育、観光教育)、防災士8