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宇治市議会(行政視察報告 平成30年度) 5

[2018年9月10日]

総務常任委員会の行政視察報告

年月日: 平成30年8月28日(火)~8月29日(水)
視察先: 習志野市(千葉県)、荒川区(東京都)
出席委員: 鳥居委員長、今川副委員長、坂本、石田、堀、木本、関谷の各委員

 

《習志野市》 (8月28日)

【調査項目】 
●公共施設再生計画について
『市の概要』
*市制施行: 昭和29年8月1日
*人  口: 17万2,905人(平成30年6月末現在)
*面  積: 20.97平方キロメートル

1.公共施設再生計画について

(1)公共施設の現状について
 取り組み前の状況であるが、旧耐震基準(1981年以前)のものが、延べ床面積ベースで全体の72%であった。また、全ての施設の大規模改修費及び建てかえ費の試算を行ったところ、25年間で965億円が必要であり、平成17年から平成21年の間に公共施設に投資した年間平均額から計算すると、全体の40%の施設しか更新できない計算となった。習志野市の公共施設の総延べ床面積約32万平方メートルのうち約6割が教育施設であるため、小学校と、中学校の半分程度しか更新できないという状況であり、本格的に公共施設の再生マネジメントに取り組むこととなった。

(2)計画策定に至った経緯について
 習志野市では、それまでに公共施設の老朽化問題がクローズアップされ出していたことから、平成17年度ごろから、施設カルテの作成等、対策の検討を行い出した。平成20年度末に、公共施設マネジメント白書を策定。これにより、公共施設の老朽化の状況が明確となり、有識者の意見も踏まえながら平成24年5月には公共施設再生計画基本方針を作成。さらに、基本方針をもとに平成26年3月には個別施設計画である公共施設再生計画を策定した。

(3)計画の概要について
 当計画は、1、時代の変化に対応した公共サービスを継続的に提供すること。2、人口減少社会の中で持続可能な都市経営を実現すること。3、将来世代に負担を先送りしないことを目的とし、子や孫、ひ孫の世代に至るまで過度な負担を先送りせず、より良い資産を次世代に引き継ぐための計画である。目的を達成するため、1、公共施設が適正に維持されること。2、公共施設の延べ床面積を低減し、整備に必要な事業費を30%圧縮する。3、ファシリティー・マネジメントを導入し、公共施設について事後保全から予防保全に転換し、長寿命化を図りライフサイクルコストを削減することを目標に掲げ、総量圧縮・長寿命化・財源確保の3つの考え方を対策の柱と捉えている。
 既に築30年を過ぎている施設が約8割となっていることから、これから先二、三十年程度で決着をつけなくてはいけないということで、25年間の計画期間としており、さらに、平成26年から平成31年の第1期、平成32年から平成37年の第2期、平成38年から平成50年の第3期に分けて計画を策定している。
 公共施設再生計画を策定することにより、公共施設再生整備事業の見える化、限られた経営資源の有効活用、社会状況の変化への適切な対応といった効果があると考えている。

(4)主な取り組みについて
 (1)計画の具体化に当たっては、公共施設を全市利用施設と地域利用施設の2つに分類した。
   全市利用施設:市内に1つまたは数施設あり、全市民が利用する機能あるいは全市民のために存在する施設。都市マスタープランの5つの地域区分ごとにこれまでのまちづくりの特色に沿って配置していく。例えば、市役所がある京成津田沼駅勢圏であれば、行政・危機管理の機能を有した施設を再編・再配置していく。
   地域利用施設:コミュニティーごとに配置され、施設が所在する地域の市民が主に利用する施設。小学校を地域の拠点施設とし、施設更新時に複合化可能な地域利用施設は複合化していく。例えば、小・中学校であれば当再生計画に伴って教育委員会が策定した学校施設再生計画と連動して複合化を図っていく。
 上記による分類・考え方に基づき、市内のそれぞれの公共施設に係る改修・建てかえの具体的なスケジュールを作成し、その費用の積算を行った。結果、各年度の財源の確保も可能であるとのシミュレーションも行った上で試算を行い、当初の試算から約30%削減となる事業費総額688億円の計画となっている。
 (2)公共施設マネジメント推進のために下記の取り組みを行った。
   ・企画、計画立案、公有資産の有効活用などを担当する資産管理課と、全庁的な営繕業務を担当する施設再生課を配置する資産管理室の設置。
   ・第三者委員会を含む公共施設マネジメント推進体制の構築。
   ・資産管理室の発足にあわせて、施設情報の一元化を図るため、施設情報システムを導入。現在、過去のデータを蓄積しながら、毎年の発注業務から工事履歴の登録までを一貫して行っている。また、予算の編成作業も当システムと連携しながら行っている。
   ・PDCAサイクルの試行。
 (3)公共施設の再編・再配置の実行に当たっては地元の市民等に対し、第1期から第3期までのそれぞれの期間でどのように施設が再編・再配置されていくかの明確なビジョンを示すようにしている。
 (4)25年にわたる長期計画であるため、計画期間中に考え方等ががらっと変わってしまわないように、当取り組みの基本理念や基本事項をしっかりと引き継いでいくため、公共施設再生基本条例を策定し、平成26年6月議会で可決された。

(5)今後の課題と取り組みについて
 (1)公共施設管理の観点と将来のまちづくりの観点との連携をしっかりととることが非常に重要だと考えている。
 (2)行政だけで課題を解決することは不可能であるため、住民みずからが課題を認識し、課題解決に動くような仕組みづくりを進める必要がある。
 (3)当初の計画策定に用いたデータは平成22年度から23年度のデータであり、当時からは建設資材費や人件費が高騰しているため、実際には計画策定時と比較し1.5倍から2倍の事業費が必要となる場合もある。昨今の急激な環境変化に対応した計画の見直しが必要である。
 (4)事業費が今後の財政にどのような影響を与えるのか、そもそも確保が可能なのかどうか、人口にも連動した長期財政シミュレーションの実施が必要である。

(6)その他について
 (1)計画を具体化する際には、市民からのさまざまな反応が予想されることから、計画策定の段階からさまざまな手法を用いて住民説明、意見交換等を行う必要がある。習志野市では、財政問題学習会や公共施設再生シンポジウム等の取り組みを行い、また、全市民を対象とした説明会及び個別団体別・地域別の説明会、意見交換会については、平成25年1月から平成26年3月までの間に、約70回、延べ2,500人に対し実施した。
 (2)教育施設であれば教育委員会等、それぞれの所管部局において、公共施設再生計画基本方針を理解し、その方針に基づく再編・再配置計画を策定してもらう必要がある。習志野市では、全体の取りまとめ担当である資産管理課が各施設所管部局における再編・再配置計画の作成に関して、作業を支援するとともにコントロールしていくこととした。あわせて、習志野市長期計画や都市マスタープランなど、まちづくり全般にわたる計画との整合を図っていくこととした。
 (3)個別施設計画を作成する段階から、地元企業への情報提供と理解促進が重要となる。習志野市では、平成26年度から商工会議所と連携し、公共施設再生計画の内容や、さまざまな事業手法などに関する勉強会を実施し、さらに平成27年度からは内閣府の支援を受け、公共施設再生地域プラットフォーム事業を開始した。
 (4)委員からは、何人の人口を想定して策定された計画なのか、総量圧縮について具体的な数値目標はあるのか、今後の財政見通しはどうか、地元への説明会にはどこまでの情報を提示していたのか等の質疑がなされた。

「習志野市視察の様子」

《荒川区》 (8月29日)

【調査項目】
●荒川区民総幸福度について
『区の概要』
*区制施行: 昭和7年10月1日
*人  口: 21万5,486人(平成30年7月1日現在)
*面  積: 10.16平方キロメートル

1.荒川区民総幸福度について

(1)導入に至った経緯について
 平成16年11月、西川区長が就任直後に「区政は区民を幸せにするシステムである」というドメインを設定したことから、区として幸福度に関する調査を開始し、翌年11月に荒川区民総幸福度(GAH:Gross Arakawa Happiness)の提唱を行った。総幸福度については、ブータン王国が国民総幸福量(GNH:Gross Natinal Happiness)の調査・分析・活用の取り組みを行っていたことから、ブータン王国の取り組みを参考としている。現在までに5回の調査を行い、結果を分析し施策の見直し、改善、立案等に活用している。

(2)幸福度調査・研究の手法について
 幸福度はGDP等の経済指標ではかることが難しく、また捉え方も人それぞれであることから、どのような指標を設定することが適当なのか調査・議論を重ねた。その上で、主観である幸福と行政の施策を結びつける必要があることから、荒川区の基本計画に定める6つの都市像をもととした6つの分野を定め、その分野ごとに指標を当てはめている。
 (1)生涯健康都市:健康・福祉指標
 (2)子育て教育都市:子育て・教育指標
 (3)産業革新都市:産業指標
 (4)環境先進都市:環境指標
 (5)文化創造都市:文化指標
 (6)安全安心都市:安全・安心指標
 上記6つの分類指標にさらに細分化した指標を当てはめ、合計46の項目を作成しアンケート調査を行っている。アンケートについては荒川区全域を対象とし、無作為抽出した満20歳以上(28年度以降は満18歳以上を対象)の荒川区民4,000人に対し行っている。回収率は、過去に行った5回ともおおむね50%程度である。なお、回収の方法は郵送または電子申請としており、全体の回答の約1割が電子申請である。
 アンケートの結果に関して、どの指標に特に注目をするかについてはいくつかの考え方・手法があるが、そのひとつとして、区民の注目度や重要度が高い項目で、かつ、実感が低い指標に特に注目をすることが上げられる。例として、安全・安心の項目は区民の注目度が高いが実感が低い項目の一つであり、なぜなのかを考察しながら課題解決に取り組んでいる。
 また、幸福度に係る調査・研究については、荒川区のシンクタンクである(公財)荒川区自治総合研究所で行っている。研究所は、区からの派遣職員に加え、学識経験者等も加わって組織されており、総幸福度以外では、子供の貧困と社会排除問題や地域力研究等のプロジェクトに取り組んでいる。

(3)活用と効果について
 アンケート調査の一番上位の質問である「あなたは幸せだと感じますか?」という質問に対しては、約50%の人が比較的幸せを感じており、約10%の人が比較的幸せを感じていないという結果となっている。比較的幸せを感じている人の割合をいかに上げていくかという取り組みの一方で、比較的幸せを感じていない約10%の人について、なぜなのか、どういう人がそう感じているのかの分析が必要となる。
 分析の一例として、平成27年度調査における安全・安心指標の中の「災害時の絆・助け合い」という項目については、37.8%の人が感じないと回答している。感じない人の内訳を分析すると、家族構成別ではひとり暮らしの人、年代別では20―30代の人の割合が高いことが分かり、そこに焦点を当てた取り組みが必要であることを数値としてあらわすことができた。それにより、これまでの防災訓練の取り組みに、参加の気軽さ・内容の面白さ・地域のつながりの要素を取り入れた、大人から子供まで楽しみながら防災を学ぶ・考えるイベント「あらBOSAI~あら坊祭~」の開始につながった。防災力向上の取り組みは、さまざまな地域の課題を解決する力の向上につながり、その結果多くの人の幸福実感の向上につながるのではないかと考えている。以上のように、事業の立案・改善に加え、幸福度調査の結果については基本計画への反映や、行政評価への反映も行っている。
 幸福度指標を策定することにどのような効果や意味があるのかといった疑問が出されるが、実質的な意義として、下記が上げられる。
 (1)幸福度指標の策定や関連の調査等を行うことを通じ、課題の発見や政策の優先順位を見定めることに役立つ。
 (2)政策を施策ベース(アウトプット中心)から成果ベース(アウトカム中心)のものにしていく可能性が開ける。
 (3)幸福度という横断的な視点を導入することで、縦割りになりがちな政策を総合化することに通じる。
 (4)指標策定のプロセス等に住民が参加することで、自分たちの地域をどのような地域にしていくかという自治意識や地域への関心・愛着につながる。

(4)今後の課題について
 (1)アンケート調査の一番上位の質問である「あなたは幸せだと感じますか?」という質問も含め、全指標において経年変化が余り見られない。前記のとおり、行政評価にも載せているが、今後うまく活用できるかという点は課題である。
 (2)分析結果の数値を、具体的にどのように区政に反映させていくかという点について、今後検討を重ねる必要がある。

(5)その他について
 (1)幸福度の取り組みを開始して以降、さまざまな自治体から視察の依頼を受ける等、同じ考え方や取り組みに興味を持っている自治体が多かったことから、住民の幸福実感向上を目指す基礎自治体連合、通称幸せリーグを設立した。基礎自治体が連携し、意見交換、情報交換等を行うことにより、参加基礎自治体の住民が真に幸福を実感できるような地域社会を目指すことを目的としており、25年の設立時には約50自治体の参加であったが、現在は約100自治体が参加しており広がりを見せている。
 (2)委員からは、地域との協働体制はどうか、議会はこの取り組みについてどのように捉えているのか、アンケートの回収率についてどう捉えているか、荒川区自治総合研究所の位置づけについて、子供の教育に反映はしているのか等の質疑が行われた。

「荒川区視察の様子」

お問い合わせ

宇治市議会     議会事務局
電話: 0774-20-8747  ファックス: 0774-20-8786
E-mail: gikaijimukyoku@city.uji.kyoto.jp

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