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宇治市議会(行政視察報告 平成28年度) 8

[2016年9月9日]

市民環境常任委員会の行政視察報告

年月日:平成28年9月1日(木)~9月2日(金)
視察先:熱海市(静岡県)、静岡県
出席委員:久保田委員長、真田副委員長、山崎(恭)、今川、木本、稲吉、片岡の各委員

《熱海市》 (9月1日)

【調査項目】
●営業する市役所について

『市の概要』
  *市制施行: 昭和12年4月10日
  *人  口: 3万7,498人(平成28年7月末日現在)
  *面  積: 61.61平方キロメートル

1.営業する市役所について

(1)熱海市の現状について
  熱海市は、昭和12年4月10日に静岡県下5番目の市として誕生した。人口は昭和40年に5万4,540人でピークを迎え、現在は約3万7,000人、そして今後、2030年には今より1万人の人口減少と50%近い高齢化率となることが予想されている。現在の高齢化率は44.7%で県内23市中1位、出生率は1.22で同23位、生活保護の割合は1.67%で高いほうから同2位、住民1人当たりの市債残高は44.6万円で多いほうから同2位となっており、これらのことからは少子高齢化が進み、生活難・財政難となっていることが見受けられる。
  また、熱海市の産業構造としては、総事業所約3,000事業所のうち、宿泊業・飲食サービス業で24.58%、卸売業・小売業で21.12%であり、これらの業種で全産業の約半分を占めている。宿泊施設は景気に左右されやすい業種であるため、宿泊客数の減少とともに宿泊施設数は激減し、ホテル・旅館は昭和55年のピーク時から56.7%減、寮・保養所は昭和59年のピーク時から69.3%減となっている。
  観光産業の低迷の要因としては、団体の法人需要が少なくなり、ファミリー・小グループ層が多くなったこと、プラザ合意後、ドルに対して円高となり、海外旅行需要が増加したこと、交通アクセス環境や観光インフラの整備が進み、首都圏からの観光客が遠方に行くようになったこと、旅行の目的が慰安旅行から自然行楽・温泉・レクリエーション等に多様化してきたこと等が上げられる。

(2)新生(リニューアル)熱海について
  上記の現状を踏まえ、平成18年に現市長が就任後、新生(リニューアル)熱海というテーマを掲げ、行財政改革、3大建設プロジェクト、営業する市役所の3つの取り組みを進めた。
  行財政改革については、職員定数の見直しを図り、ここ20年ほどの間に約800人だった職員を約500人まで削減した。また、歳入をふやすため、遊休資産の売却、ごみの有料化や水道料金の値上げ等の受益者負担の適正化、新税の検討、市税徴収の強化を行い、5年間の成果として不良債務を6割減らすことと、基金残高を17億円積み増すことができた。同時に、歳出を減らすため、投資的事業の凍結、事務事業の廃止、民間活力の導入等を進めた。
  3大建設プロジェクトについては、61年ぶりに市役所庁舎を、91年ぶりに熱海駅舎を、43年ぶりに中学校校舎を、それぞれリニューアルを行い、熱海駅前広場の整備も現在進行中である。

(3)営業する市役所について
  発注行政からの脱却及び顧客の再構築をポイントとした「営業する市役所」を掲げ、費用をかけずにやれることを優先して実施することとした。例えば、従来は、有料広告の掲載やイベントの実施の委託等を行っていたものを、広報してメディアに掲載することや企業とのコラボレーションを行い、相互利益の機会をつくる。また、働きかけの相手を市民だけでなく、市民に利益が還元されるような市外の企業や都市部の消費者にも行うこととしている。
  この営業する市役所を行うに当たり、平成23年から副市長を経済産業省より招聘し、民間投資プロジェクト、企業とのパートナーシップ協定、A-biz(熱海市チャレンジ応援センター)を推進している。

  (1)民間投資プロジェクトについて
   平成23年11月に副市長を初めとしたプロジェクトチームを設置し、市有地への民間投資促進のため、営業活動・誘致活動をスタートさせた。市内には市所有の遊休地や民間の休止物件が多くあり、これらを生かすことが重要であると考えた。
   市が所管する遊休不動産情報を一元化し、まずは関心を持つ企業を探し、開発の可能性や候補案件について知ることを可能とすることで、平成24年7月に公募により決定された「人と情報の交流基点(玄関)」というコンセプトを持った「ゲートウェイローソン」の誕生につながった。
   このほか、平成25年5月には幹線道路沿い市有地活用計画(素案)を公表したり、平成26年4月には庁内に新たな部署として総務課施設計画室を設置した。

  (2)企業とのパートナーシップ協定について
   平成24年2月1日に静岡銀行と熱海市活性化に関するパートナーシップ協定を、同月23日には三島信用金庫・ぐるなびと協定を、それぞれ締結し、お金を借りる前に知恵をかりること、市役所にないノウハウ・ネットワークを外部と連携する中で補完することを目的としている。
   具体的な取り組みとしては、静岡銀行とのパートナーシップ協定事業として、熱海のライフスタイルを体験できる「熱海時間」を東京都の豊洲のカフェで行った。これは、静岡銀行の持つ首都圏での情報発信力を生かしてシティプロモーションを行うという熱海市の考えと、熱海市の地域活性化に寄与して地場産品の販路拡大を行うという静岡銀行の考えによるものである。
   ぐるなびとのパートナーシップ協定事業については、ぐるなびに熱海の観光ガイドのページを作成してもらったり、特別企画としてぐるなびとの共催で「ハネムーンアゲインツアー」を開催した。

  (3)A-biz(熱海市チャレンジ応援センター)について
   熱海市観光経済課産業振興室と熱海市商工会議所が連携して、従来型の財務・金融中心の支援ではなく、売り上げ向上や新事業に挑戦しようとする事業者に向けて、一緒に考え、コストをかけずに知恵を出し結果を出すことにこだわった個店支援事業としてA-biz(熱海市チャレンジ応援センター)を平成24年4月に設立した。運営に当たっては、「行列のできる産業支援機関」として豊富な支援実績があり、全国的なモデルとなっている富士市産業支援センター(f-biz)と指導等の業務委託料を支払うことで連携し、運営指導等を受けながら行っている。
   A-bizは、市の産業振興室の職員4名と商工会議所の職員1名で組織し、熱海市内の挑戦意欲のある事業者からの相談を受け、4つのコンセプトを持ってソリューションの提示を行っている。4つのコンセプトとは、高い意欲を持って熱海の新生(リニューアル)へ挑戦すること、企業・商品の強みを伸ばすこと、知恵・工夫・ネットワークを活用した企業支援をすること、地域の中核となる支援人材を育成することである。事業内容としては、個別相談、セミナーの開催、ワークショップの開催、専門家派遣制度の活用、国や県の支援事業の紹介及び活用の促進、マーケティング調査の実施及び情報の提供等を行っている。なお、平成28年度における事業予算は、個店支援業務委託費75万円、個店支援事業負担金50万円、創業支援業務委託費200万円である。
   相談事例としては、食用油としての流通が少ないツバキ油をてんぷら専用の油として販路拡大に至った事例、化粧筆専門店でありながら専門店の色が出せていなかったところを、梅をモチーフとした熱海限定の化粧筆の販売をすることで店の知名度を上げた事例、来宮神社周辺のパン屋やお菓子の店を「福の道プロジェクト」と称して一体的にメディア等での情報発信に寄与した事例等がある。

  (4)熱海ブランド事業について
   熱海商工会議所が推進するブランド認定事業であり、熱海らしいテーマ性や魅力ある地元商品のほか、良質な原材料を吟味し使用したこだわりのある産品・加工製品などの食料品(土産品)を対象に「ATAMI COLLECTION A-PLUS」として認定し、熱海の新たな魅力として観光誘客につなげ、熱海を訪れる動機づけとなるような広がりを目指している。
   認定率は各年度40から60%という決して高くない認定率であり、本当にいいものだけを認定している。

(4)その他
  委員からは、A-bizの職員の民間企業での従事経験について、成功の鍵について、庁内連携について等の質疑が行われた。

「熱海市視察の様子」

《静岡県》 (9月2日)

【調査項目】
●お茶の郷博物館について

『県の概要』
  *人  口: 368万9,839人(平成28年6月1日現在)
  *面  積: 7780.42平方キロメートル

1.お茶の郷博物館について

(1)設置の趣旨について
  日本及び世界の茶文化、産業、喫茶習慣、効用等を紹介し、茶に関する理解を深めてもらうとともに全国に向けて地元茶をPRし、茶産業・文化振興・観光振興を図り、地域経済の活性化に寄与することを目的として島田市(当時は金谷町)が設置した。
  なお、平成28年6月1日に島田市から静岡県へ譲渡され、現在は再整備に向けて休館中である。

(2)施設の概要について
  設置日は、平成10年4月8日で、1万9,313平方メートルの規模であり、熊倉功夫氏の総合監修のもと、博物館・茶室・日本庭園・商業館がある。
  博物館は、2,795平方メートルあり、世界のお茶が飲めるウエルカムティーコーナー、日本茶の歴史や生産技術の発展に関する展示、抹茶づくり体験、特別展などを行っている。
  茶室は、368平方メートルあり、京都造形芸術大学教授の中村和則氏が設計を手がけて小堀遠州が寛永年間に新造した奉行屋敷と書院を復元している。抹茶とお菓子を楽しむことができる。
  日本庭園は、6,500平方メートルあり、遠州茶道宗家の小堀宗慶氏が監修を手がけて小堀遠州が寛永11年に作庭した院御所(仙洞御所)の東庭を復元している。
  商業館には、レストラン・売店・喫茶がある。

(3)事業費について
  総事業費は約32億4,000万円であり、用地補償費で約3億円、工事費で約27億円、設計測量試験費で約1億7,000万円、その他備品費等である。
  現在の休館に至るまでの島田市の運営状況としては、約6,000万円の指定管理料を支払っており、このほか商業館の売り上げが1億数千万円あったことから、お茶の郷博物館としての収支は同程度の状況であった。

(4)有料入館者数及び来場者数について
  直近5年間の各年度の有料入館者数は4万人前後で、来場者数は17万人前後である。
  商業館を訪れて食事や土産品を買って帰るだけの来場者がふえ、これをどのようにして有料入館者にできるかがポイントとなる。お茶の郷博物館の設置当初は公の直営で文化展示に力を入れていたが、後に民間の指定管理者制度となり採算性を考えるようになった結果、文化展示への傾注が弱くなってしまった。これを再整備後、改めて力を入れることを考えている。

(5)その他
  (1)ふじのくに茶の都ミュージアム(仮称)について
   お茶の郷博物館は今後、ふじのくに茶の都ミュージアム(仮称)としてリニューアルする予定である。
   同ミュージアムの目指す方向は、静岡県が全国の茶の中心である茶の都として、静岡茶の魅力を国内外に伝え、茶業の振興を図るために、産業・観光・文化・学術の各分野の情報集積・発信機能を持った拠点づくりを進めることである。
   静岡県は、「茶の都しずおか」を目指し、次の世代に茶を継承していく県民意識を醸成するため、5カ条からなる「ふじのくに「茶の都」憲章」を平成26年3月に制定したが、「茶の都しずおか」の拠点として、その情報発信力を高めるために、文化・芸術・産業・観光の4つの機能を、知る(展示)・触れる(体験)・学ぶ(学習)・集う(にぎわい)の4つの事業活動で実現する。
   博物館は、県の施設として静岡茶の発展史、日本茶の未来等の展示、体験・学習のプログラムの充実をさせる。商業館は、売店をミュージアムショップとして改装し、レストランは魅力的なカフェレストランに改装する。そのほか、茶の都の拠点にふさわしい外観にし、博物館への誘導を図るため、商業館北側に新たな通路を整備する。また、老朽箇所の修繕と中庭に現代風の庭園を設置する。
   なお、指定管理者制度ではなく県の直営で管理する。

  (2)質疑
   委員からは、起債残高について、用地費について、リニューアル後の入館者数の目標及び情報発信について等の質疑が行われた。

「静岡県視察の様子」

お問い合わせ

宇治市議会     議会事務局
電話: 0774-20-8747  ファックス: 0774-20-8786
E-mail: gikaijimukyoku@city.uji.kyoto.jp

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