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宇治市議会(行政視察報告 平成28年度) 6

[2016年9月6日]

総務常任委員会の行政視察報告

年月日:平成28年8月29日(月)~8月30日(火)
視察先:静岡市(静岡県)、焼津市(静岡県)
出席委員:水谷委員長、長野副委員長、大河、松峯、服部、坂下、秋月の各委員

《静岡市》 (8月29日)

【調査項目】
●消防局・駿河消防署の建設について
●実地調査

『市の概要』
*市制施行:平成15年4月1日
*人口:70万2,718人(平成28年7月1日現在)
*面積:1411.90平方キロメートル

1.消防局・駿河消防署の建設について

(1)消防局・駿河消防署建設に至る経過と目的について
 旧石田消防署は昭和46年に建設された消防庁舎で、耐震診断の結果、耐震性がやや劣る建物であったが、地震時の安全面や消防拠点活動としての役割を担う上で支障があり、これに加え消防施設としての機能低下も懸念されていた。
 一方、消防本部庁舎は昭和56年に静岡県中央警察署と合築により建設された建物で、1階から3階を消防署が、4階から6階を消防本部が占有しており、消防行政の企画、立案、意思決定等を行う消防中枢機能と災害発生時には指令統制等を行う災害対応の中枢機能をあわせ持つものであったが、静岡市・清水市・蒲原町・由比町との合併や機構改正に伴い手狭な状況があり、物理的な制約から課や施設を分散配置せざるを得ないなど、行政効率の低下を招いていた。
 また、静岡地域3市2町(静岡市・島田市・牧之原市・川根本町・吉田町)の消防救急広域化により、平成28年4月1日に新消防体制に移行し、静岡市消防局がその中心を担うことになるほか、アナログ方式の消防救急無線をデジタル方式に整備し、同時に高機能消防指令センターの更新も行っていかなければならない状況にあった。
 これらのことから、静岡市及び広域化市町の消防活動の拠点となる消防局・駿河消防署庁舎の建設に至った。

(2)消防局・駿河消防署の特徴及び設備のポイントについて
 基本コンセプトは「すべての人に“安心”を与える新たな静岡の消防防災拠点の創造」で、(1)信頼性や安全性の高い堅牢な施設、(2)高次元の消防救急機能を発揮できる施設、(3)融通性や柔軟性の高い機能的な施設、(4)人や環境など全てに優しい施設の4点がポイントとして上げられる。
 (1)信頼性や安全性の高い堅牢な施設としては、建物機能維持を目的とした免震構造の採用や、平常時と災害時にそれぞれ確実に消防機能を持続するため、電気・給排水設備・燃料を独自に確保している。
 (2)高次元の消防救急機能を発揮できる施設としては、迅速な救急出動ができる機能的なゾーニング及び動線の確保や、出動から帰署までの一連の消防救急活動が行いやすいよう、消防車両回転スペースを消防署車庫前に9メートル確保している。また、大規模災害時等に迅速な対応が図れるよう、4階に指令室、警防本部作戦室、警防本部室を配置している。
 (3)融通性や柔軟性の高い機能的な施設としては、指令システム更新時にも指令機能が確保できるよう、大会議室に指令室と同じスペースを確保している。
 (4)人や環境など全てに優しい施設としては、省エネ技術や自然エネルギーを積極的に活用し、個室の仮眠室の設置や自然通風の確保等による快適な住環境の提供を行っている。
 特徴的な設備としては、自家用給油取扱所(軽油12キロリットル・ガソリン8キロリットル)、非常用発電機設備(指令システムと建物用の2系統)、井水槽・雑用水槽(各20立方メートル)がある。

(3)消防局・駿河消防署建設の効果について
 効果としては、安心・安全なまちづくりとして、現場到着時間の短縮、大規模災害への対応が上げられる。下層階に駿河消防署を配置し、消防救急動線を事務室・仮眠室に近い位置に配置することにより、災害出動命令の覚知から防火衣装備、出動に至る動線を一連化し、出動時間を短縮した。また、消防署車庫前に消防車両回転スペースを設けたことにより、緊急灯回転車両の視認性が高まり、出動時の迅速化及び安全性の向上が図られた。
 大規模災害への対応としては、119番通報が急増する災害時には指令台の構成を変更し、通常10人の指令員を30人まで増員することが可能となった。また、警防本部室の設置により、大規模災害時に地域の災害状況や被害状況を把握・分析し、消防隊をどこにどれくらい出動させるか、消防隊が不足していないかなど、総合的に判断することができるようになった。

(4)その他
 委員からは、静岡地域3市2町広域連携で苦慮している点について、宿直環境の改善に当たって配慮した点について、広域化に伴う勤務体制について、救急・消防の仮眠室は別なのかについて、土地は市有地なのかについて、消防団員の充足率について等の質疑が行われた。

2.実地調査

 火災調査試験室、指令室、警防本部室、仮眠室、防火衣更衣室等を視察した。火災調査試験室では、電子顕微鏡、ガスクロマトグラフィー等の機器の説明を受けた。

「静岡市視察の様子」

「静岡市視察の様子」

《焼津市》 (8月30日)

【調査項目】
●自主防災組織(自主防災会)について
●公共施設等総合管理計画について

『市の概要』
*市制施行: 昭和26年3月1日
*人口: 14万1,478人(平成28年7月末現在)
*面積: 70.31平方キロメートル

1.自主防災組織(自主防災会)について

(1)概要と活動状況について
 東海地震説の叫ばれた1976年以来、市民に自主防災組織の結成を推進し、3年間かけて焼津地区で23、大井川地区で55、合わせて78の自主防災組織をつくった。組織率は89%。日常の地域活動の単位である自治会・町内会を母体としていることが特徴で、自治会長などの役員が自主防災組織の会長を兼ね、日ごろからの地域でのつき合いの延長線上に防災活動を位置づけている。焼津地区では自治会を、大井川地区では町内会を母体としている。
 自主防災組織の資機材は、市の備品として、結成当初の標旗、腕章、ヘルメット等小物の整備から始まり、ろ水機、消火用可搬ポンプ等の各種機器の整備と、これら資機材を収容する防災倉庫の配備を行ったが、平成12年に市と自主防災会との間で譲渡契約を締結し、その後は補助金制度での資機材整備支援としている。

(2)各種訓練の内容について
 訓練には、(1)土砂災害防災訓練、(2)水防演習、(3)自主防救助隊訓練、(4)津波避難訓練、(5)市民防災リーダー育成講座、(6)総合防災訓練、(7)地域防災訓練がある。(1)土砂災害防災訓練、(2)水防演習、(6)総合防災訓練は全国各地でやっているものと同様の訓練だが、(7)地域防災訓練は、静岡県が12月の第1日曜日を地域防災の日と定めて行っている訓練である。
 (5)市民防災リーダー育成講座は、防災知識を持ち、平常時の防災対策や発災時の応急対策において、地域の牽引役となる人材を育成することを目的とし、毎年約80人が受講している。1回2時間(毎週火曜日)の講座を8回受講し、修了者は焼津市地域防災指導員となる。静岡県認証講座となっているため、希望すれば静岡県地域防災指導員となる。平成27年度までに981人が修了している。
 (3)自主防救助隊訓練は、行政による救出・救助活動を待たず、自主防災の原点に立ち、積極的に地域で助け合い、できる限りの救出・救助を行うための訓練。発災直後の救出・救助活動は自主防災会や消防団等の地域防災力によって展開されることが現実という、阪神・淡路大震災の教訓から、平成7年に市内全自主防災会で自主防救助隊を編成した。
 (6)総合防災訓練及び(7)地域防災訓練は、大規模地震災害の発生を想定し、市内全域において、各地域の実情にあった防災訓練を自主防災組織がみずから訓練を計画し実施する。そのため、メーン会場型ではなく全域分散型の訓練となっており、各訓練の参加者はそれぞれ5万人程度となっている。

(3)育成事業補助金及び資機材整備事業補助金の執行状況について
 育成事業補助金は、地域の自発的な自主防災活動を円滑に行うための補助金で、組織の運営、防災資機材の購入、維持及び修繕、防災訓練の実施等に市内全体で1200万円(平成28年度)を予算化しており、世帯数に応じて支出している。
 資機材整備事業補助金は、自主防災組織が購入する10万円以上の防災資機材に対して、50万円を限度に購入費の3分の2を補助する。市内全体で800万円(平成28年度)を予算化している。
 育成事業補助金は例年約1,160万円程度の執行状況で、資機材整備事業補助金は近年では800万円を超過する状況にある。そのため、育成事業補助金を流用し、両補助金を合わせた執行率はほぼ100%となっている。

(4)今後の課題と取り組みについて
 今後の課題としては、役員の高齢化や世帯数の減少がある。特に町内会を母体とする大井川地区では、役員をしていない世帯がないといった状況もあり、母体を自治会連合会とするよう検討している地域もある。また、役員の交代時期には地域防災力の一時的な低下や停滞が発生するため、防災専任担当の設置や担当職の長期担任(5年程度)、一部の担当職の交代時期をずらし、一斉交代が起きない体制づくりを進めている。
 今後の取り組みとしては、中高生に活躍してもらうための学校との連携や、女性の視点の取り入れ、要配慮者への配慮等が上げられる。

(5)その他
 委員からは、地域防災指導員となった後のフォローについて、自主防災会長と地域防災指導員の役割分担について、1自主防災会に対する育成事業補助金の最高額について、資機材整備事業補助金の利用に当たっての制限について、自主防災会間の温度差について、地域防災指導員のうち、即戦力になる人数について等の質疑が行われた。

2.公共施設等総合管理計画について

(1)公共施設等の課題について
 公共施設等の課題は地域ごとに異なっている。総人口数の減少と人口構成の変化が全国一律に言われるが、この変化を見きわめる必要がある。公共施設の耐震化(老朽化率)も押さえる必要があり、また、非構造部材の対応がどうなっているか、財政状況はどうか等も考える必要がある。
 焼津市が一番力を入れているのが住民サービスのあり方で、現在・将来の財政規模で提供でき得る公共施設サービスとは何か、そのサービスの提供者は公共か民間か、また、行政サービスは行政がサービスするものだが、公共サービスは民間・行政関係なく提供するものであり、この区分をしっかり考えて、何が当てはまるのか整理する必要がある。
 公共施設のマネジメントで一番大切なのは、どの公共施設をなくすのかではなく、どの公共施設を残すのか、残すべきものは何かという視点。インフラは基本的に残すのが一般的で、建物は各自治体の考え方で異なるが、全体の1割しか占めない建物を一生懸命やっても財政にはそれほど影響してこない。全体の9割を占める道路等のインフラをどうしていくかが鍵となる。

(2)公共施設マネジメントの目的について
 1つには、安心・安全な公共施設サービスを提供すること、2つには、維持管理・更新コストを改善することにある。維持管理・更新コストをいかに削減するかが総合管理計画をつくる目的である。3つには、総量を減らすことにあるが、施設を減らすには利用者との調整等に5年、10年と時間を要するので、そこを認識すると、維持管理・更新コストをいかに削減するかに戻ってくる。4つには、子や孫の世代に過度な負担をかけないことにある。
 これらのことを総合的に考えると、安心・安全に施設が利用できて、官民連携等により経費削減を行いながら、施設の魅力や利便性が向上して多くの人が利用できるような複合化・多機能化を図ることが重要である。

(3)公共施設マネジメントの体系について
 公共施設等総合管理計画は公共施設等全体の取り組み方針として最上位に位置し、この中では建物系公共施設・土木インフラ施設・土地の3つに整理してきた。建物系については施設白書による見える化を図りながら、建物系公共施設の取り組み方針である公共施設マネジメント基本計画を策定し、施設評価や劣化度調査の実施を経て、公共施設再編プランや個別再編プランを策定した。

(4)計画策定の手順・手法について
 計画の策定に当たって必要なことは、1つには、総括する担当部局課の設置が上げられる。企画や財政の担当が片手間に公共施設のことを考えると、単に計画をつくって終わりになってしまう。2つには、一番重要なのは職員の理解である。公共施設をつくることに力を入れてきた職員に減らすことを理解してもらうのはなかなか難しい。3つには、建物・インフラの保有状況(データ)の整理だが、行政が持っている資産のデータはエクセルであったりシステム化していたり紙であったり、ばらばらなので、整理するのが大変である。4つには、財務状況分析(投資的経費の内訳等)が必要である。5つには、将来シミュレーションがある。総合管理計画上は総務省ソフトで十分だが、これを実践していこうとすると、もっと具体的なものが必要になってくる。6つには、課題の整理、7つには、課題解決に向けた解決策があり、3つ目から7つ目までをまとめたものが総合管理計画となる。

(5)関連計画との整合性について
 公共施設等総合管理計画は公共施設の最上位計画で、市営住宅長寿命化計画や橋りょう関連計画等の既存計画については、次回の更新時に総合管理計画を踏まえた見直しを行うこととしている。また、今後策定する計画は総合管理計画を踏まえた計画とする。

(6)今後の課題と取り組みについて
 公共施設等総合管理計画は策定するのが目的ではなく、これに基づいてどう考えていくかという出発点である。現時点での結論としては、施設の再編・統廃合という話ではなく、当面は既存施設を安心・安全に利用できるようにすること、ライフサイクルコストを削減することが総合管理計画を実践する最重要課題だと位置づけている。そのためには公共施設を経営的な視点で進めていくことが必要で、基本情報、収支・利用情報、修繕履歴情報の3つを総合的に整理・分析する必要がある。特に、建物・インフラともに修繕履歴が不足しており、修繕情報をどう蓄積・管理するかが大きな課題である。

(7)その他
 委員からは、維持管理・更新コストの日常的な管理について、公共施設の長寿命化と更新の考え方・関係性について、コンパクトシティと総合管理計画との進め方について、総合管理計画への住民意見の反映について、総合管理計画に対する住民の反応について、行政改革との関連について、公共施設の収支に対する考え方について、公共施設マネジメント対策本部と公共施設マネジメント検討委員会、個別計画に基づく個別専門部会との関係について等の質疑が行われた。

「焼津市視察の様子」

お問い合わせ

宇治市議会     議会事務局
電話: 0774-20-8747  ファックス: 0774-20-8786
E-mail: gikaijimukyoku@city.uji.kyoto.jp

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