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宇治市議会(行政視察報告 平成28年度) 2

[2016年5月11日]

市民環境常任委員会の行政視察報告

年月日:平成28年4月25日(月)~4月27日(水)
視察先:津山市(岡山県)、真庭市(岡山県)、倉敷市(岡山県)
出席委員:久保田委員長、真田副委員長、山崎(恭)、今川、木本、稲吉の各委員

《津山市》 (4月25日)

【調査項目】
●つやま産業支援センターについて

『市の概要』
*市制施行: 昭和4年2月11日
*人  口: 10万3,645人(平成28年3月1日現在)
*面  積: 506.36平方キロメートル

1.つやま産業支援センターについて

1.つやま産業支援センターについて

(1)津山市の現状について
  津山市は713年の国府(美作国)設置以来、岡山県北の政治・経済・文化の中心を担い、周辺は中国山地を北に、市内を吉井川(一級河川)が貫流し、津山盆地を形成してい  る。
  市内には大学等が3校、高校が6校所在し、事業所数は217社となっており、人口は現在約10万人であるが、2030年には9万人を切る推計となっている。年齢別人口の傾向を見ると、出生率は全国と比べても低い数字ではないにもかかわらず、高校卒業後に大学や就職のために市外転出をする若者が多く、20歳代前半の人口が大きく減る「18歳の崖」がある。
  求職者、求人倍率等の推移としては、専門的・技術的職業や医療職においては求職者不足であり、事務的職業や製造業では求人不足となっており、これらの解消のため、人材育成やマッチング、企業誘致や企業活性化を図っている。
  このような現状を踏まえ、人口をふやす取り組みと地域に人口を残す取り組みにより、人口の維持、地域の維持を図る必要がある。

(2)これまでの取り組みについて
  津山市は昭和50年の中国自動車道開通以降、人口増加期を迎えたが、バブルの崩壊以降に人口が減少したため、平成7年に工場誘致主導の工業振興施策から内発型産業振興を目指した津山地域産業育成ビジョンを制定、翌年には産学官の連携組織である「つやま新産業創出機構」を設立した。
  つやま新産業創出機構は、津山市に金属加工企業が約60社集積し高い技術を有していることに着目し、リーディング産業としてステンレス加工産業を選定し、ステンレス加工クラスター形成支援を行い、販路開拓・技術開発・後継者育成等の成果を上げた。
  また、地場産業の育成支援として、津山高専技術交流プラザを平成7年に発足し、産学の交流を促進する事業、出前講座等の産業界の人材育成に資する事業、企業PR会やボランティアレクチャー等の高専の学生育成に資する事業により、地元就職率が1割ほどである津山工業高等専門学校の生徒への働きかけを行うことで、地元就職率が徐々に上がりつつある。
  このほか、美作大学技術交流プラザを平成11年に発足し、新産業・新事業育成や技術相談及び個別技術指導を行った。さまざまな分科会を発足したが、中でも食品分科会においては津山ロールの成功や幾つかの商品がギフトショーで大賞を受賞したことがある一方、受賞によっても設備投資が進まずに販売促進に至りにくかったことがあり、食品業界での成長の難しさ、共同ブランド構築及び維持の難しさ、企業間の温度差、加工企業と生産者との温度差、固定メンバーによる弊害、行政の過度な主導による依存を感じることになった。
  これら、つやま新産業創出機構における産業振興により、魅力的な雇用の創出に重点を置くべきこと、ビジネス経験を持つ産業振興の先導者が必要であること、移出産業(外貨を稼ぐ産業)を特に支援すべきであること、市の関係部局、商工会議所、商工会、国・県の支援機関、金融機関等との連携を強化すべきであることが見えた。

(3)つやま産業支援センターの設置・組織について
  再度の方向性(計画)づけと平成25年以降の組織改革により、つやま新産業創出機構を平成26年3月に解散し、津山市の経済成長、雇用の創出・維持を図ることを目的に、地域内発型の産業振興に資する「つやま産業支援センター」を設置し、地域の企業・創業者と関係機関を連携し、総合的に支援することとした。
  つやま新産業創出機構を発展させたこのつやま産業支援センターは、既存企業活性化と創業促進を行い、企業誘致や企業と求職者のマッチングは他の機関と連携して行う。組織は、選択と集中、スピード、連携を重視して行政組織とせず任意団体でスタートした。津山市としては副市長をセンター長に、産業経済部長を副センター長に据え、事務局に事務局長及び事務局員を置き、事務局にはこのほか公募によって採用した総括マネージャーを配置、また20名を超えるサブマネージャーとアドバイザーも配置している。さらには、支援センターに外部機関の集合体である運営協議会を置き、運営の助言を得るとともに、予算や事業計画等の承認を得ることになっている。また、特に関係が深い支援機関と企画運営会議を開催して緊密に連携したり、金融機関と金融支援会議を開催して資金面でのサポート体制の構築を図っている。

(4)つやま産業支援センターの事業について
  市内産業約200社、卸売・小売・サービス業約100社にアンケート調査を直接職員が訪問する形等で実施し、多くの回答を得た結果、人口減少により地域産業を支える人材が不足していることがわかった。
  これにより、インターンシップ・奨学金・PR等によって地域産業・企業への就労促進を図ること、企業の付加価値を向上させて魅力ある雇用をふやすこと、U・Iターン人材や創業によって外部人材の受け入れを図ることの必要性を認識し、重点事業として、産業の集積と成長、個別企業の支援、U・Iターン創業等の支援、産業人材の育成を掲げている。
  U・Iターン創業等の支援としては、サテライトオフィスの促進のため、月々1万2,000円で使用できるシェアオフィスの開設やサテライトオフィス等設置サポート補助制度、リノベ&ビジネスプランコンテスト、人材育成とマッチング支援を行っている。
  また、津山市には、金属や木材の加工、縫製の技術がある一方で平均所得が下がり続けている実情があり、その要因の一つである企業の下請体質を脱却するため、魅力や付加価値の高い事業をブランド化して外部に発信して人材の確保と企業の成長を図る。これまでには、異業種交流プラットフォーム事業等を通じて、テント施工会社とメタルクラスター、阿波の農業家とステンレスクラスターの連携につながっている。
  平成28年度においては、津山ステンレス・メタルクラスターを重点施策に位置づけ、これまでの金属加工に加え、ロボットや水素等関連事業の地域集積と革新を図っていくこととしている。

(5)その他
  議員からは、アンケート配付の際の直接訪問について、総括マネージャーの公募の方法について、若者の流出を防ぐポイントについて、地元の金融機関の役割について等の質疑が行われた。

2.現地視察について
  つやま産業支援センターの事務所を視察した。

「津山市視察の様子」

《真庭市》 (4月26日)

【調査項目】
●バイオマスタウンについて

『市の概要』
  *市制施行: 平成17年3月31日
  *人  口: 4万7,718人(平成28年3月1日現在)
  *面  積: 828平方キロメートル

1.バイオマスタウンについて

(1)真庭市の概要について
  真庭市は9町村の合併により誕生した市であり、位置は岡山県の北部、北は鳥取県に接している。南北に広い総面積828平方キロメートルとなっており、県内の自治体の中で最大である。森林面積は約79%で、古くから林業・木材業が盛んであった。真庭地域の森林の特徴として、人工林が60%であることが上げられ、この人工林のうちヒノキが72%を占める。

(2)林業・木材業について
  近年の人口減少により、木材を多く使用する住宅産業の停滞等を受け、豊富な木質資源を生かし切れていない状況があったため、木質資源を利用すること、また、森林育成へと還元していくため、長期的な「バイオマスタウン構想」を産学官一体となって展開している。
  山で木を伐採する際、製品として使えないことから山から搬出されずに残置される未利用木材をバイオマス資源として活用するさまざまな取り組みを実践し、将来的にはバイオマス事業の収益を森に還元することを目指している。バイオマス事業の取り組みには、原木市場・製材所・製品市場がそろっているという真庭地域に受け継がれてきた基礎の上に発展しており、林業・木材業とバイオマス事業は切っても切れない関係である。

(3)21世紀の真庭塾(真庭の未来を考える会)について
  バイオマス事業の直接的な契機となったものとして、高速道路の建設によって都市部への人材や資源の流出及び産業の衰退化を危惧したことにより発足された「21世紀の真庭塾」という組織がある。
  21世紀の真庭塾は、1993年、地元の若手経営者や各方面のリーダーたちが中心となって組織され、真庭の未来について意見交換や取り組みが行われてきた。他地域からも専門家を招くなどの重みのある活動やざっくばらんな場での意見交換など、活発な活動となった。2002年にはNPO法人格を取得し、主要テーマとして町並み景観保存、循環型地域社会の創造を掲げ、後者のテーマが今日のバイオマス事業につながっている。
  このように真庭地域の特徴として、民間事業者が産業をリードし、そこに行政や産学連携の仕組みが協働していった背景がある。

(4)木質資源活用産業クラスター構想について
  製材くずや廃材など、いわゆる木質副産物が年間約7万8,000トン発生していた真庭地域で、これらを有効に活用することを目指した産業連携「木質資源活用産業クラスター構想」が2000年に始まった。
  木質資源の循環系を築くとともに、地域コミュニティーの再生を目指したこの取り組みは、木質副産物を新木質製品化やエネルギー供給に用い、建材市場や地域づくりに寄与するものである。

(5)バイオマスタウン構想について
  2006年、木質副産物だけでなく家畜排せつ物や食品廃棄物等もバイオマスとして活用するための目標及びその達成のための方策を取りまとめた構想を策定し、国からバイオマスタウンとしての認定を受けた。
  現況では湯原温泉の温泉街から出る廃食油などを活用してバイオディーゼル燃料をつくるなど、廃棄物系バイオマスの利用率は92.6%、未利用バイオマスは33.5%である。目標値としてそれぞれ96.5%と80%を掲げている。
  バイオマスに関する普及・啓発活動として、子供を対象にしたものでは丸太切り体験、エコキャンドルづくり、高校生によるバイオマス授業、科学実験等があり、大人を対象にしたものでは森林自然観察会、バイオマス市民講座、高校生によるバイオマスツアー、バイオマス関係者研修会等がある。
  また、バイオマス事業の大きな成果の一つとして、バイオマスツアーや各種視察の受け入れがあり、真庭地域への他地域からの誘客をもたらしている。

(6)木質バイオマスの燃料活用について
  木質資源の真庭地域内での循環のために安定供給体制の構築を目指し、2009年4月、「真庭バイオマス集積基地」を完成させた。
  農林水産省の交付金を活用して建設された同基地は、未利用木材・端材・樹皮等の木質副産物を買い取って効率よく収集し、樹皮・チップ・ペレット等に用途別に加工し、それらをマテリアル利用やバイオマス発電・熱利用ボイラー・冷暖房対応ボイラー・農業用加熱ボイラー等のエネルギーに利用する。
  木質副産物のみを山から搬出するだけであれば運搬コストと真庭バイオマス集積基地での買い取り価格とは見合うものではないが、細い木々なども同時に搬出することで廃材費と合わせて考えると採算がとれる形になり、山から不要な木材が取り出されて、山の美化にもつながっている。
  なお、バイオマス利活用による石油代替効果と二酸化炭素削減効果は、バイオマス利用量1年当たり約4万3,000トン、エネルギー投入量1年当たり約59万6,000ギガジュール、石油代替量1年当たり約1万6,000キロリットル、二酸化炭素削減効果1年当たり約4万1,000トンCO2であり、経済効果は、バイオマス利用により5億円の地産、石油代替により14億円代替と試算している。また、木質バイオマスエネルギー自給率を現在の11.6%から20%にすることを目標にしている。

(7)今後の取り組みについて
  今日において一定の基盤が整備されており、今後はバイオマス発電事業、新素材開発に向けた木質バイオマスファイナリー事業、バイオガスのエネルギー利用等の可能性を探る有機廃棄物資源化事業、バイオマスツアーの拡充を図る産業観光拡大事業の4つを中心に事業の推進を行っていく。

(8)その他
  議員からは、企業誘致の実績について、一般家庭における設備投資について、予算規模について、21世紀の真庭塾の人数や年齢構成について、補助金について等の質疑が行われた。

「真庭市視察の様子」

《倉敷市》 (4月27日)

【調査項目】
●プロジェクションマッピング等実施事業について

『市の概要』
  *市制施行: 昭和3年4月1日
  *人  口: 48万3,760人(平成28年2月末日現在)
  *面  積: 355.63平方キロメートル

1.プロジェクションマッピング等実施事業について

(1)プロジェクションマッピングについて
  プロジェクションマッピングとは、実物(リアル)と映像(バーチャル)をシンクロさせる映像手法であり、映像やコンピューターグラフィック等をスクリーンのような平面に単純投影するものではなく、建築や家具などの立体物または凹凸のある面にプロジェクター等で投影するものである。
  投影対象が持つデザインや、凹凸といった情報を利用しながら、映像による光や陰影を与えることで、対象が持つ表面情報があるときはより立体的に、そしてあるときは全く別の表情を浮かび上がらせ、さらには動かないはずのものが本当に動いているかのようなリアルな立体感・空間感を表現することができる。

(2)倉敷市の平成27年度における実施状況について
  観光客誘致事業(政策事業)として、委託料600万円が予算化され、当該予算は、プロジェクター機材2台の入札購入費約342万円及び倉敷芸術科学大学との受託研究契約締結のための研究費約190万円に使用した。なお、倉敷芸術科学大学との受託研究契約締結のための研究費約190万円は、同大学より地域貢献のためとして破格の額で契約できたものであり、民間事業者に依頼すれば桁が一つ大きくなるだろうとのことである。また、機材についても大きな建物に投影する場合は、桁が一つ大きくなるだろうとのことである。
  平成27年度は、「くらしき物語りマッピング」と称して、倉敷物語館に8分間の児島地区を題材にした物語を1日8回、音響とともにナレーションも入れながら投影して行った。これは、東京駅やアトラクション施設等で行われているように建物が崩れたりする演出をするものではない。そのようなプロジェクションマッピングをするには、投影する建物の構造計算を行う等の必要があり、予算が1,000万円以上、大きな建物であれば1億円に上ることになる。
  倉敷市においても、観光客の滞在時間の短さや低調な宿泊者数といった課題があったことから、従来から行われていた倉敷春宵あかりのイベントと合わせてプロジェクションマッピングを実施し、夜の観光の魅力を高めてこれらの課題の解決を図ることを目的とした。
  当初は、倉敷美観地区にある中橋に単純映像を投影する予定で600万円の予算となっていたが、プロジェクションマッピングといえば建物という市長の意見が出たことから、予算はそのままに建物への投影を目指すことになった。
  建物への投影には、プロジェクターと建物との距離や通行人のことを配慮する必要があり、美観地区において2回の現地調査をした結果、また、倉敷の物語を語ることについて最適な場所として、倉敷物語館に投影することになった。
  スケジュールとしては、平成28年3月17日に機材設置とリハーサルを行い、同月18日から20日の3日間で実施することとしていたが、18日は雨天中止となった。実施できた19日と20日では、計3,070人が訪れた。ただし、倉敷春宵あかり自体が夜の観光として大きな集客効果のあるイベントであるため、プロジェクションマッピングをしたことによる新たな集客効果は大きくないのではないかという分析をしている。

(3)平成28年度における実施予定について
  倉敷市に多くの観光客を誘致するとともに、滞在時間の延長を図るため、倉敷美観地区における新たな夜の魅力として、平成27年度に引き続き、倉敷芸術科学大学との連携のもと、プロジェクションマッピングを試行実施することとしている。
  開催については、年2回を予定し、まず5月の大型連休時のハートランド倉敷での実施を予定し、次に下半期に倉敷春宵あかりでの実施を検討している。ハートランド倉敷は昼のイベントであるため、同日にプロジェクションマッピングという夜のイベントを実施することにより、どれだけ滞在時間の延長が見受けられるのかを分析する。
  予算は、プロジェクションマッピング等実施事業委託料として約430万円計上し、うち研究費190万円が2回となっている。民間事業者からも問い合わせがあるが、予算額を聞いて撤退されるため、平成28年度も倉敷芸術科学大学と連携を図っていく。
  今後は、物語の題材をふやすこと、広報の方法などの検討を行っていく。

(4)その他
  議員からは、現在の倉敷市を訪れる観光客の滞在時間について、観光客の宿泊場所について、プロジェクションマッピングの作成に当たっての苦労について、倉敷春宵あかりの開催時は商店街のお店は遅くまであいているのかについて、フィルムコミッションについて、市内の周遊観光について、観光大使やゆるキャラについて等の質疑が行われた。

「倉敷市視察の様子」

お問い合わせ

宇治市議会     議会事務局
電話: 0774-20-8747  ファックス: 0774-20-8786
E-mail: gikaijimukyoku@city.uji.kyoto.jp

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