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宇治市議会(行政視察報告 平成27年度) 10

[2016年2月12日]

議会運営委員会の行政視察報告

年月日:平成28年1月25日(月)~1月27日(水)
視察先:所沢市(埼玉県)、中野区(東京都)、藤沢市(神奈川県)
出席委員:松峯委員長、稲吉副委員長、宮本、山崎(恭)、真田、久保田、木本、長野の各委員、石田議長、坂本副議長

《所沢市》 (1月25日)

【調査項目】
●議会評価報告書について
●議会基本条例第27条の規定に基づく検討結果報告書について

『市の概要』
*市制施行:昭和25年11月3日
*人口:343,393人(平成27年11月末現在)
*面積:72.11㎢

1.議会運営・改革について

(1)議会基本条例の制定
 平成21年3月に議会基本条例を制定した。議会基本条例の制定が、議会の大きな転換点となった。
 平成20年に議会基本条例制定に関する特別委員会を設置し、議会基本条例の条項から全てを議員主導で策定した。策定の段階では部会方式で議論し特別委員会の報告、報告された内容をさらに特別委員会で議論していった。

(2)地方自治法第100条の2の調査委託
 地方自治法第100条の2に基づく専門的知識の活用については、平成19年から行っており、外部からの声をしっかり聞き、議論の参考にしている。
 これまで「所沢の農業について」、「議会基本条例制定について」、「所沢市の都市計画における道路網について」、「所沢市議会の議会基本条例及び所沢市議会の議決に付すべき事件を定める条例制定以後の評価について」及び「全国の市区町村議会における議会基本条例制定後の見直し状況及び条例改正等の動向について」の5項目で活用してきた。
 「議会基本条例制定について」では、法政大学法学部教授の廣瀬克哉氏にお願いし、その意見を議会基本条例制定に関する特別委員会の議論の参考とした。

(3)議会審議における論点情報の形成
 定例会ごとに議案が提出されるが、予算等の決まった内容を質問しなくてもよくするために、事業費総額や事業の概要等を記載する資料を「新規事業概要調書」というフォーマットにして提出してもらっている。この調書の提出により、論点情報の形成をしている。

(4)一問一答方式の導入
 議員と市長等執行機関の関係として、議会基本条例に規定している。

(5)議会事業評価・議会改革評価
 議会評価実施要綱に基づき実施している。
 事業評価は年度ごとに行っており、1年間の実施状況を翌年の5月か6月に評価をしている。また評価は、議会運営委員会と公聴広報委員会とに分けて、議会のこと、市民に対することをそれぞれ評価している。
 評価する項目については、議会運営委員会で決める場合と、議会運営委員長一任で決める場合がある。評価の中身については、議会運営委員会で諮っている。これは、公聴広報委員会でも同様である。
 改革評価は、議会基本条例の条項を1条から27条まで評価表に上げて、それについて評価している。評価の時期は、おおむね事業評価と同じである。
 まずは、達成度をマル・バツで評価し、その達成度に基づき方向性を「継続」や「改善」等で定める。さらに意見があれば備考欄に記載している。

(6)議会基本条例第27条の規定による見直し手続
 4年に1回の改選ごとに見直しを行うことが、議会基本条例に規定されている。見直した内容は「所沢市議会基本条例第27条第1項の規定に基づく検討結果報告書」にまとめている。議会改革評価よりも長いスパン(4年間)で議会基本条例の評価を行っており、改善の方向性まで含めて検討を行っている。
 平成27年9月の見直しで改善していくことが決まったため、現在は特別委員会を設置し、そこで3月定例会をめどに議論を進めている。
 万が一、評価や方向性の意見がまとまらない場合は、両論を併記するようにしている。

(7)閉会中の文書による質問
 所沢市議会では通年議会を行っていないので、年間4回の定例会が行われているが、閉会中に文書による質問ができる規定を議会基本条例に定めている。
 これは、委員会において閉会中に緊急の案件に対して執行機関の考えを聞きたい場合に、文書により質問し答弁をもらうという内容である。また、質問の乱発を防ぐために、個人ではなく委員会単位で質問できるようにしている。
 文書による質問についても議会だよりに掲載し、市民に対し広報を行っている。

(8)自由討議
 対執行部に対するやりとりしかできなかったが、議会基本条例に規定することにより、議員間でも討議できるようにした。考え方の異なる議員同士で議論することにより合意形成を図ることができる。また、議論することにより情報の整理もでき、議案等に対する答えが明確になる。

(9)議場モニターの設置
 傍聴者から議場内の様子をわかりやすくするため、大型のモニターを傍聴席横に設置した。

(10)参考人招致
 今までは、休憩中に意見陳述という形で請願者の思いを聞くなどしていたが、開会中に会議録に残る形で行うようにしている。

(11)公聴会・意見提案手続
 意見提案手続とはパブリックコメントのようなものであり、これまで「所沢市議会基本条例素案について」、「所沢市自治基本条例の制定について(委員会修正案)」及び「議員定数(素案)について」については公聴会・意見提案手続を、「所沢市歯科口腔保健の推進に関する条例(素案)について」については意見提案手続を実施した。
 また、公聴会を開催した場合は、条例制定後に報告会を行うことにより、市民の方にしっかりと内容を伝えるようにしている。

(12)附属機関の設置
 議会に附属機関を設置することにより、諮問に対する答申を参考に審議することができる。一つの事例としては、「所沢市議会議員定数のあり方に関する審議会」を設置した。

(13)政策形成サイクルの体制整備
 議論して終わるのではなく、その政策がどのように生かされて、市民の声をどのように政策に反映するかを明確にするため、サイクルの体制整備をした。

(14)議会報告会の開催
 議会報告会は5月・11月に各2回開催しているが、これは3月定例会と9月定例会の報告を行っているため。参加人数が減っているのは全国的な課題であると思う。平成22年より11の行政区を順番に回って開催している。

(15)公聴広報委員会の設置
 公聴機能を強化するため、地方自治法第100条第12項の規定に基づき設置した。広報する前に、まず意見を聞くことを重視しており、委員会名も公聴広報委員会としている。権限は非常に大きく、広報・公聴に関することは全て委任している。

(16)政策討論会の開催
 政策討論会実施要綱が平成26年8月27日に施行され、所管は公聴広報委員会としている。委員会でも実施することができ、平成28年2月6日に市民文教常任委員会で開催を予定している。

「所沢市視察の様子」

《中野区》 (1月26日)

【調査項目】
●タブレット端末について

『市の概要』
*市制施行:昭和7年10月1日
*人口:321,740人(平成27年11月1日現在)
*面積:15.59㎢

1.タブレット型携帯端末を使用した区議会情報システムの試行について

 タブレット導入については、予算・決算特別委員会の中で各委員から200件ほどの資料要求があり、資料の枚数が400枚ほどになるものを全委員に配付していたが、必ずしも全ての資料が全委員に必要なものではなく、これをどうにかしたいということがきっかけであった。
 議長が設置している議会運営改善検討会で、平成24年6月より検討を始めた。その検討会の中では、初めからタブレットの導入ではなく、CD-Rに焼いてはどうかという意見もあったが、最終的にはタブレットの導入ということになった。

(1)目的
 目的については、委員会等で使用する資料のペーパーレス化を図る、委員会等の開会通知の郵送をメールに切りかえる、ファクスで議員に送付している情報をメールに切りかえる、としている。

(2)試行の内容
 現状タブレット端末は試行中であり、平成25年第2回定例会から試行を開始している。試行を行うメンバーは平成27年4月までは12名であったが、現在は正副議長、議会運営委員会委員8名の計10名である。
 試行している会議については、平成25年第2回定例会が議会運営委員会、議会運営協議会及び議会運営改善検討会で各会派に1部、第3回定例会が議運(委員会・協議会・改善検討会)以外に決算特別委員会(要求資料)で決算特別委員会の要求資料は全員に配付、第4回定例会が議運以外に5常任委員会及び3特別委員会で常任・特別委員会は全員に配付、平成26年第1回・第2回定例会が議運・5常任・3特別以外に予算特別委員会(要求資料)で予算特別委員会の要求資料は試行メンバー12名を除く議員に配付、第3回・第4回定例会が議運・5常任・3特別以外に決算特別委員会(要求資料)で決算特別委員会の要求資料は試行メンバー12名を除く議員に配付、平成27年第1回・第2回定例会が議運・5常任・3特別以外に予算特別委員会(要求資料)で予算特別委員会の要求資料は試行メンバー12名を除く議員に配付、第3回定例会が議運・5常任・3特別以外に決算特別委員会(要求資料)及び本会議で決算特別委員会の要求資料は試行メンバー10名を除く議員に配付としている。
 導入機器については、平成25年度が当時の最新機種である「iPad Retinaディスプレイモデル Wi-Fiモデル」を15台導入。iPadを導入したのはアンドロイド系に比べてセキュリティー、OSのサポートの面がすぐれていると判断したためであり、他市を調査したところアンドロイド系を使用している自治体がほとんどなかったためである。また、スマートフォンのような自立通信ができるモデルではなくWi-Fiモデルを選択したのは、通信モデルはどこでも接続できるメリットがあるが、通信料が月6,000円で年間7万2,000円必要となり、議員数が42名のため年間約300万円が今後も必要となるためである。
 Wi-Fiモデルは無線LANがなければ接続できないため、議会棟の環境整備を行う必要があったが、見積もりを出したところ400万円ほどかかるということであった。試行の段階でそれだけの経費はかけられないので、ソフトバンクのWi-Fiスポットの制度を利用した。
 クラウドサービスについては、ソフトバンクのサービスを利用している。
 平成26年度は「iPad Air Wi-Fiモデル」を3台追加購入した。
 平成27年度に無線LANの環境を独自に整備したが、ソフトバンクのWi-Fiスポットの無料期間が2年間であり試行も継続することになったため、当初の予定どおり議会棟の環境整備を行った。

(3)システム概要
 委員会等で使用する資料を各所管課でPDF化し、各委員会担当の書記が議会事務局のパソコンからクラウドにアップロードする。タブレット端末から無線LANを経由し、クラウド上の資料をダウンロードする。
 PDF化によって各所管課での業務がふえたということはない。これは、従来から委員会資料については、ホームページにアップするためPDF化していたためである。ただし、これまでは委員会終了後にPDF化の作業を行っていたが、委員会前にPDF化する必要が出てきた。

(4)導入・運用経費
 平成25年度は、iPad15台購入64万2,000円、クラウドサービス初期費用3万1,500円と利用料(1ギガバイト)12カ月分15万1,200円の合計82万4,700円、平成26年度は、iPad3台追加購入15万8,112円、クラウドサービス利用料(1ギガバイト)12カ月分15万5,520円の合計31万3,632円、平成27年度は、無線LAN環境整備323万7,840円、クラウドサービス利用料(1ギガバイト)12カ月分15万5,520円の合計339万3,360円の導入・運用経費がかかった。
 無線LANの環境整備にこれほどの費用がかかったのは、常時接続する端末の台数が議会側・執行部側合わせて100台の想定と多くなったためであり、また、外部の端末から無線LANに接続できないようにする、セキュリティー対策も十分行う必要があったためである。
 今年度でタブレット端末を使用する環境整備は完了したため、来年度からはクラウドサービス利用料の15万5,520円がかかるだけである。

(5)端末で閲覧する資料
 PDF化する資料は所管事項報告資料、議案補足資料及び要求資料であり、PDF化しない資料は議案(予算説明書含む)、印刷を外注した冊子等、区以外が作成した冊子等及び事業概要としている。なお、議案については今後PDF化を検討している。予算・決算書については、見開きの資料もあるためタブレット端末では見づらいこともあり、難しいと感じている。

(6)資料のPDF化
 資料のPDF化は各所管で行い、グループウェア内の全庁フォルダに正副委員長打ち合わせ終了以降、委員会開催日の前日の午前中までに入れる。
 なお、資料の差しかえがある場合は速やかに行い、差しかえ後は議会事務局に連絡することとしている。

(7)資料のアップロード
 資料のアップロードは委員会開会の30分から10分前に行う。以前は10分前としていたが、議会事務局の準備の問題もあり30分前からとしている。資料の公開は委員会終了までは当該委員会委員のみとし、委員会終了後に全議員に公開することとしている。

(8)導入による効果
 平成27年第1回定例会では予算特別委員会で、要求資料201件(印刷364枚)×10部の削減、平成27年第3回定例会では決算特別委員会で、要求資料296件(印刷532枚)×10部の削減や、開会案内の郵送代、環境負荷低減等が導入の効果として上げられる。

(9)その他
 タブレット端末は公費で購入しており備品となるため、「中野区議会情報システムの仕様及び中野区議会情報システムに係る端末機の使用基準」を規定している。
 ただし、一部の議員から私物の端末を使用したいとの申し出があり、平成26年第4回定例会より私物の端末を使用可とし、使用基準の改定を行った。

「中野区視察の様子」

《藤沢市》 (1月27日)

【調査項目】
●議会改革について

『市の概要』
*市制施行:昭和15年10月1日
*人口:422,631人(平成27年11月1日現在)
*面積:69.57㎢

1.議会改革について

(1)議会改革検討会
 議会改革の取り組みは平成21年度から行っていたが、なかなか進まない状況であった。しかし、平成23年の改選後に議会改革検討会を設置することにより改革のスピードが上がり、議会基本条例を平成25年2月に策定、平成25年4月に施行された。
 その後、平成25年5月に議長からの諮問により、同年6月から平成26年5月まで議会改革検討会を設置し、平成25年9月定例会の決算特別委員会において事務事業評価を試行的に実施するなどの成果を上げることができた。
 議会改革検討会では、議会基本条例の運営管理に関すること、議員研修に関すること、その他の議会改革に関することを検討事項としている。
 議会改革検討会の委員は、3人以上の議員を有する会派から所属議員の3分の1を委員として選出、2人以下の会派は、各会派所属議員の合計人数の3分の1を委員として選出、としている。

(2)議会基本条例
 議会基本条例の策定に当たっては、先進地の視察も行い、できれば具体的な取り組みを含めた条例にしたいとの思いのもとで進めた。前文では、市民の信頼に応えるには開かれた議会が大事であり、二元代表制のもと執行機関の追認機関とはならず、しっかり議論することなどを盛り込むことが必要であると考え作成した。そこから、前文の前段では、二元代表制のもとでの合議制の機関である議会の役割と使命を示し、中段では、議会に求められる政策立案等の議会機能充実を示し、最終段では、議会が目指す議会改革に対する考え方や条例を制定する目的などを示している。
 議会基本条例の第1条では総則を規定し、第2章の議会及び議員の活動原則の第5条で会派主義をとっていることから会派について規定している。第3章の議会運営の原則等の第6条で委員会中心主義を規定し、第7条で議会の説明責任を規定している。この第3章までが大枠の概略や基本理念を規定している。
 第4章から具体的な事項を規定した部分となっており、第8条では請願及び陳情を市民による政策提案と位置づけ、提案者の意見を聞く機会を設けなければならないとの義務規定とした。第9条は広報広聴機能の充実であり、第2項で広報広聴委員会の設置を規定している。また、第1項で議会報告会を規定しており、年に一、二回開催しているが、開催の意義をもう一度見直す必要があるのではと感じたことから、議会報告会のあり方について法政大学の牧瀬氏に意見を聞くなどし、来年度の5月にワールドカフェ方式(小さいグループを4つか5つほどつくり、それぞれに議員と市民が座り、時間が来たら市民が違うグループに移動する方式)で行う予定である。また、何をテーマとするかが重要であり、現在検討中である。また、選挙権が18歳に引き下げられることから、市内の高校に対しシティズンシップ教育の一環としての懇談会の開催を働きかけるなどしている。
 第5章は議会と市長等との関係で第11条第1項では緊張感のある関係を、第3項では反問権を規定している。反問権にもいろいろなものがあるが、現状は、議員または委員の質問趣旨の確認・質問の背景の確認、質問の根拠(引用された数値の出展、財政的根拠)の確認、議員の考える対案を求める場合とし、反問できるのは市長、副市長、教育長としている。ただし、今日まで反問権が執行されたことはない。第12条では市長による政策提案の説明責任を規定している。第13条で予算及び決算における施策説明資料の作成として、施策別または事業別のわかりやすい説明資料の作成に努めることを規定している。第14条は議決事件の追加として地方自治法第96条第2項による議決事件の追加を規定している。
 第6章は議会機能の強化で第15条に政策の立案及び提言を規定しているが、議会としての課題の部分でもある。第16条に議員間討議を規定しているが、委員会のみで行っている。採決の確認で賛否が分かれた場合のみ議員間討議を行っている。議員間討議により案件の論点が明確になるなど、大変有効である。第17条では研修及び調査研究を規定しており、年1回実施している。今年度においては、平成29年より施行される新地方公会計制度について研修を行った。第18条に政務活動費を規定しており、現在は全部公開としている。ただし、領収書が膨大なため、ホームページに領収書は公開していない。平成28年度からは政務活動費は必ず案分することとし、案分率については議員個々の説明責任として議員に任せることとした。
 第7章は議員の政治倫理を規定しているが、政治倫理条例などは策定していない。第8章は議会事務局等の体制整備を規定しており、議会議案の提出などにおいて、議会事務局の機能を強化することが議会改革につながると考えている。また、第9章では最高規範性及び見直し手続を規定している。

(3)今後の課題
 いかに政策提案できるかが課題である。もう一つの課題は、事務事業評価である。議会基本条例制定後の2年間に決算審査において800ほどある事業から6事業を抜粋し、事務事業評価シートに事業の必要性等の点数をつけて事務事業評価を行った。しかし、現在事務事業評価は行っておらず、その理由として、決算審査時に行っているため決算審査が非常にタイトになること、6事業に絞るのが非常に難しいこと、各会派において考え方が違うので議会としての評価を一つにまとめるのが非常に難しいことなどである。

「藤沢市視察の様子」

お問い合わせ

宇治市議会     議会事務局
電話: 0774-20-8747  ファックス: 0774-20-8786
E-mail: gikaijimukyoku@city.uji.kyoto.jp

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