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宇治市議会(行政視察報告 平成27年度) 3

[2015年8月10日]

文教福祉常任委員会の行政視察報告

年月日:平成27年7月21日(火)~7月23日(木)
視察先:富山市(富山県)、南砺市(富山県)、金沢市(石川県)
出席委員:荻原委員長、鳥居副委員長、宮本、山崎(匡)、石田、中村、浅井の各委員

《富山市》 (7月21日)

【調査項目】
●富山型デイサービスについて

『市の概要』
*市制施行:平成17年4月1日
*人口:419,216人(平成27年6月1日現在)
*面積:1241.77平方キロメートル

 

1.富山型デイサービスについて

1.主な特徴について
 年齢や障害の有無にかかわらず、誰もが一緒に身近な地域でデイサービスを受けられる。小規模ゆえに家庭的な雰囲気のもとで利用者が自然に過ごせること、個々の状態に合わせたきめ細かい介護が受けられること、利用者を限定しないため、お年寄りが幼い子供を見守ったり、障害のある方がスタッフの手伝いを行うなど、富山型デイサービスでは各事業所がさまざまな運営に取り組んでいる。
 (1)小規模であること
 従来の大規模な施設ではなく、町なかの民家を改修してつくった小規模な施設であり一般住宅をベースとしていることから、利用定員がおおむね15人程度で家庭的な雰囲気が保たれている。また、身近な住宅街に立地しているため、地域とも密着しており、地元との交流が多い。
 (2)共生ケア
 高齢者・身体障害者・知的障害者・心身障害者・乳幼児を同じ施設で、利用者を限定せずに誰でも受け入れている。

2.富山型デイサービスが誕生した経過について
 平成5年7月に赤十字病院を退職した、惣万佳代子氏を初めとした3人の看護師が県内初の民間デイサービス事業「デイケアハウスこのゆびとーまれ」を創業したことにより誕生した。支援が必要な方を誰でも受け入れたいと考え、この施設の当初の利用者は、障害を持つ方であった。赤ちゃんからお年寄りまで障害の有無にかかわらず受け入れたことに始まるこのサービスは、後に富山型と言われるようになった。
 しかし、当時の国の制度は、高齢者・身体障害者・知的障害者・障害児はそれぞれの法律により、施設の設備や人員の基準が定められていたため、対象者を絞らなければならず、開所当初、行政からの補助金の支援を得ることはできなかった。

3.行政との連携について
 当初は公的な制度を受けない自主事業として開始することになったが、利用者がふえるにつれて、行政にも民間デイサービスを支持する声が届くようになった。それに伴い、平成8年度から、障害者及び障害児への在宅を支援する制度である、富山市在宅障害者(児)デイケア事業が開始された。
 平成9年度には民間デイサービス育成事業が創設され、県と市による高齢者のデイケアサービスへの補助金交付が実現した。平成12年度には、全国的に介護保険制度がスタートし、通所介護事業所としての指定を受けたことにより、経営が安定化するようになった一方で、補助金については廃止されることとなった。
 平成15年度からは支援費制度が始まり、身体障害者については介護保険の通所介護事業所を利用した場合、支援費制度の報酬が適用されることになったが、当時、知的障害者及び障害児については支援費制度の対象外であった。
 その後、国の構造改革特区に、県と3市2町で共同申請していた富山型デイサービス推進特区が同年11月に認定され、指定通所介護事業所等を知的障害者及び障害児が利用した場合に、支援費制度の単価が適用されることになった。この特例措置により、高齢者と障害者及び障害児の垣根を低くし、高齢者と同じ空間で家庭的なサービスを受ける障害者及び障害児にも国の公的な制度が適用されることとなり、身近な地域で区別なく福祉サービスを提供する富山型デイサービスの普及に弾みがつくこととなった。
 平成27年4月現在、正式に指定された富山型デイサービスの事業所は、53カ所であり、うち45カ所が富山市内の事業所となっている。現在も毎年1~2カ所ずつふえている。平成33年度末までに県内200カ所、小学校単位で1カ所の設置を目指して取り組んでいる。

4.障害者自立支援法の施行について
 平成18年4月に障害者自立支援法が制定され、富山型デイサービス推進特区において適用された特例措置が同年10月から全国において実施されることになった。これにより、富山型デイサービスが全国で広がることになった。

5.メリットとデメリットについて
 高齢者や障害者が子供と触れ合うことで自分の役割を見つけ、日常生活の改善や会話の促進につながっている。また、児童にとってもお年寄りや障害者などと交流を持つことで、優しさを持つようになった。また、地域密着であることから、地域住民がさまざまな相談などを寄せられることで、福祉拠点になるといった地域への効果も見られる。
 その一方で、同じ空間で高齢者・身体障害者・知的障害者・心身障害者がサービスを受けるため、例えば知的障害者が不安定な状況に陥った場合に施設側で対応できるかといった不安が懸念材料として上げられる。現在、市の障害福祉課に大きなトラブルの報告はないことから、おおむね施設側で対応がなされていると考えられるが、今後の課題の一つになっている。

「富山市視察の様子」

《南砺市》 (7月22日)

【調査項目】
●地域包括ケアシステムについて

『市の概要』
*市制施行:平成16年11月1日
*人口:53,468人(平成27年6月1日現在)
*面積:668.86平方キロメートル

 

1.地域包括ケアシステムについて

1.取り組みの内容について
 富山県内において、南砺市は高齢化率が高く推移している地域であった。平成16年4月から導入された新しい医師臨床研修制度の影響を受け、医師不足はより深刻なものとなり、平成20年には、南砺市内においても医師不足が進んだことから、診療科の休止、病棟閉鎖、病院の診療所への転換、診療所の休止等が相次いだ。
 そんな中、平成21年に南砺市と富山大学附属病院が協力し、地域医療再生マイスター養成講座が開始。地域医療にかかわる人材育成に着手することとなった。平成22年には、包括医療・ケアワーキング会議が開始され、地域課題に対応するための行政内部における組織間連携の場が設けられた。平成23年には、地域医療再生マイスター養成講座の受講を修了した約20人の女性グループが地域医療を守るため、勉強会等の活動を開始。市と連携して地域包括医療・ケアについてのパンフレット制作の取り組みが決定した。平成23年にはパンフレット企画制作会議を複数回にわたり開催。住民の自主活動が軌道に乗り始めた。平成24年にはパンフレットが完成し、市内全戸、市内高齢者施設や公共施設等へ配布された。また、認知症予防や認知機能の改善に効果が期待される回想法の勉強会開催や一般向けのセミナーを実施。回想法や認知症に対する理解を深めるとともに、普及・啓発活動を行っている。
 行政においては、包括医療・ケアワーキング会議をもとにして、地域包括医療・ケア局を設置することで、行政内部での体制強化が図られることとなった。

2.地域医療再生マイスター養成講座について
 (1)講座開設に至った経緯について
 南砺市は3つの病院(南砺市民病院、南砺中央病院、福野病院)と3つの診療所(利賀、平、上平)を抱えていたが、昨今の医師不足のあおりを受け、福野病院については病院形態を維持できなくなり、平成20年からクリニックとして再開することになった。しかし、医師の定員人数を確保できない状況は変わらず、南砺市民病院や南砺中央病院でも病床数の削減や診療機能の縮小で対応。当時の課題としては、地域で働く医師を確保することが最優先であったが、全国ほとんどの地方で同様の問題を抱えており、現状の医師数では限界に達していた。
 このような状況において、文部科学省では医学部の学生の定員をふやす政策を打ち出し、富山大学医学部でも地域枠の創設により、医師の絶対数をふやすべく努力をしていたが、学生が医師になるまでは6年を要し、一人前の医師になるには約10年はかかるが、現状では医師不足が継続する。そこで、医師数をふやすという対策とは別に、地域住民を教育し、有限な医療資源を有効に利用してもらうために地域住民参加型の地域医療システムを構築するプロジェクトを立ち上げることとなった。地域医療再生に関する研究を南砺市と富山大学附属病院と共同で取り組み、計画の一部を富山大学に委託。医療人マイスターと住民マイスターと呼ばれる人材(コミュニティ・ヘルス・プランナー)を養成し、地域住民参加型の医療システムの構築を目指す地域医療再生マイスター養成プロジェクトが提案されることとなった。
 (2)講座を通じた自治体との連携について
 プロジェクトは南砺市地域医療再生計画書に基づいて計画・実施され、医療人マイスター及び住民マイスターの養成、セミナー等の開催による理解の推進やマイスター連携による住民参加型の地域医療システムの構築を柱とした協働体制の構築が内容として上げられる。
 市としてもこれまで地域医療を守るセミナーや勉強会を実施してきたが、自主的な活動へは結びつかなかった。この反省を踏まえ、地域医療再生マイスター養成講座は、平成21年度より5回の受講として開設し、参加者の積極性を培うため、北陸先端科学技術大学院大学で開催されている地域再生システム論講座を参考とした。講座受講生は、医療従事者のみでなく、福祉、介護、保健などの従事者、婦人会を初めとした市民の参加により、さまざまな業種、立場、環境のメンバーで意見、情報交換を行う。
 マイスターとなれば、おのおのの立場で地域医療再生のために活躍し、お互いが連携した地域住民参加型の医療システムの構築を目指す。このプロジェクトについては、富山県の地域医療再生計画における住民みずからが取り組む住民参加型の地域包括ケアシステム推進事業として位置づけされ、県がマイスター育成講座及び南砺の地域包括医療・ケアを守り育てる会の事業主体となり、平成25年度より開催経費は県からの委託事業として支援がなされている。

3.取り組みの成果について
 地域医療再生マイスター養成講座の卒業生は、平成25年までに210人となったが、地域住民には地域医療のために自分たちに何ができるかという意識が生まれ、自主的な活動が活発になった。修了生の継続的な情報交換やつながりの場である南砺の地域包括医療を守り育てる会の中で、地域住民と専門職との活動状況の報告とその共有により、共通の知識基盤の形成につながっている。
 また、地域包括医療・ケア局の設置に伴い、施策の方向性の決定、それを実行に移す際の意思決定が早くなった。また、ワーキング会議から医療協議会までの検討プロセスとその後の関係者間の合意形成がスムーズになっていることが上げられる。

「南砺市視察の様子」

《金沢市》 (7月23日)

【調査項目】
●教育普及プログラムについて

『市の概要』

*市制施行:明治22年4月1日
*人口:465,257人(平成27年6月1日現在)
*面積:468.64平方キロメートル

 

1.教育普及プログラムについて

1.金沢21世紀美術館の概要について
 平成16年10月に開館。「まちと供に成長し、「新しい文化の創造」と「新たなまちの賑わいの創出」に資する」を目的として、「世界の「現在(いま)」とともに生きる美術館」、「まちに活き、市民とつくる、参画交流型の美術館」、「地域の伝統を未来につなげ、世界に開く美術館」、「こどもたちとともに、成長する美術館」という4つのミッションのもとに運営されている。現在展覧会ゾーンと交流ゾーンで構成。交流ゾーンの中には2カ所の市民ギャラリーもあり、市民が個展等も行えるスペースが存在する。
 敷地面積は約2万7,000平米、延床面積は約1万7,000平米あり、設計は世界的に著名な建築家である、妹島和世、西沢立衛の2人により行われた。122枚の壁面ガラスを用いることによる透明性の演出や、4カ所存在する入り口や円形のデザインによる開放感の演出がなされているのが大きな特徴である。

2.教育普及事業について
 (1)事業概要について
 金沢21世紀美術館では、子供から大人までさまざまな対象に向けた教育普及プログラムを実施されており、現代美術を収集・展示する美術館として、現代における芸術活動のあり方をともに考え、価値を創造するプログラムの開発を目指している。美術館には大きく分けて、自主事業、貸し事業、地域との連携と3つの事業が存在するが、その中でも教育普及事業は、魅力ある展覧会事業、芸術交流事業とともに、自主事業の一環として取り組まれている事業である。
 (2)ミュージアム・クルーズ
 金沢市教育委員会との連携事業。金沢市内の小学4年生の児童全員を美術館に招く。美術館でバスを1台チャーターし、半日美術館で過ごす。7~8人を一つの班とし、そこにつくボランティアスタッフが中心となり、美術館を案内して説明するほかに、生徒自身にいろいろな問いかけを行い、最終的にガイドマップを見ながら、一人で美術館内を回ってもらう取り組み。
 ガイドマップには「もう1回券」がついており、プライベートでも無料で来てもらえるようになっている。ただ、同伴する家族についてはお金を払うことで、リピーター的な役割を担う。リピーター率は10から15%。
 (3)中学生まるびぃアートスクール
 平成17年度に美術館が立ち上げた学校連携プログラム「まるびぃアートスクール」の中で、特に金沢市内の中学生を対象としたプログラムとして、アーティスト・学校・美術館が協力して、中学生による美術鑑賞・制作のワークショップを行った。その中で、中学生がアーティストと一緒に作品を見たり、実際に作品の制作も行う。
 (4)まるびぃみらいカフェ
  「まるびぃの未来にむけて、ワクワク、ドキドキをみんなで考えるカフェをつくろう!」をテーマに、昨年7月に美術館で集い、未来を語らう場として、「まるびぃみらいカフェ」がスタート。美術館の案内、レクチャーやワークショップの企画などを行うボランティアが中心となり、美術館の新たな取り組みについて話し合う場を設けている。
 (5)その他
 子供も大人も一緒に楽しめるスペースで、さまざまな造形遊びを通じ工夫と発見を楽しむ「ハンズオン・まるびぃ!」や、未就学児とその保護者を対象に、キッズスタジオを開放し、美術館で見て・感じて・楽しむ時間を提供する、親子向け情報・休憩スペース「まるびぃ・すくすくステーション」の開設、その他一般鑑賞に関係する事業として、アーティスト・トーク、専門家による講演会、担当学芸員によるギャラリートークのほか、展覧会の内容に沿った各種プログラムが用意されている。
 ※まるびぃとは、金沢21世紀美術館の愛称のことを指す。

3.今後の展開について
 学校関連事業については、小学校4年生や中学校美術部の児童・生徒以外、まだ高校との連携はできておらず、今後の課題となっている。その他、企画力にすぐれた展覧会の開催、海外のアーティストを迎えた、多彩な交流プログラムの実施、国内外の美術館等とのネットワークの形成を初めとした戦略的な広報・啓発活動の連携等、今後も引き続き魅力ある美術館づくりを展開していくことを検討している。

4.その他の取り組みについて
 市民ギャラリーを活用し、市民等の発表の場を設けている。地下1階にあるシアター21でも、音楽や演劇等の公演を行っている。また、敷地内に茶室もあり、週末にはお茶会等も開催されている。
 また、地域との連携に関する重点的な取り組みとして、周辺商店街等との連携で、アートdeまちあるき事業がある。美術館と周辺商店街のお店約380店舗が連携し、商店街においては、美術館チケットの半券を利用した割引、また、商店街を利用した客に対して、美術館の入場割引を行う等の取り組みが行われている。
 また、金沢美術工芸大学や作家や職人を育成する卯辰山工芸工房とも連携し、卒業作品展を開催する取り組みも行っている。

「金沢市視察の様子」

お問い合わせ

宇治市議会     議会事務局
電話: 0774-20-8747  ファックス: 0774-20-8786
E-mail: gikaijimukyoku@city.uji.kyoto.jp

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