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宇治市議会(行政視察報告 平成27年度) 1

[2015年7月23日]

総務常任委員会の行政視察報告

年月日:平成27年7月13日(月)~7月15日(水)
視察先:熊本市(熊本県)、久留米市(福岡県)、直方市(福岡県)
出席委員:水谷委員長、長野副委員長、大河、松峯、服部、秋月の各委員

《熊本市》 (7月13日)

【調査項目】
●消防署の建てかえについて

『市の概要』
*市制施行:明治22年4月1日
*人口:739,015人(平成27年4月1日現在)
*面積:390.32キロ平方メートル

 

1.消防署の建てかえについて

(1)建てかえに至る経過について
 熊本市は富合町・城南町・植木町と合併後、平成24年4月に政令指定都市に移行し、行政区を5区制とした。それまでは3消防署で管轄していたが、他の政令指定都市と同様に、1区1消防署体制となるよう進めてきた。また、合併した3町の常備消防事務移管に伴い、西消防署が中央区の一部に加え、西区と南区の広大な管轄区域を所管することとなり、特に南区に対する災害対応力が低下するということもあり、南区に独立した消防署を建設することとなった。南消防署は平成26年1月に竣工、同年4月から運用を開始した。
 なお、現在北消防署を建設中で、来年4月からは運用を開始する予定であり、これにより1区1消防署体制が完結する。

(2)南消防署の特徴、設備のポイントについて
 南消防署は旧平田出張所跡地に併設する形で建設され、旧出張所庁舎はそのまま会議室・トレーニング室・車庫として活用している。
 消防隊は24時間公務で、1・2部で交代するが、事務室のスペースの効率化のため、1・2部は同じ机・パソコンを使用しており、個人に貸与した可動式の引き出しを使用することでスペースを活用している。
 食堂スペースは通常パーティションで小会議室と区切られているが、パーティションを撤去することで大会議室としても使用できる。
 出動の際、スムーズに出動できるよう、外来者とは別に警防隊専用の階段を設置している。さらに、車庫の手前に出動準備室を設置し、そこで身支度をしながら、隊長がその災害に応じた初動対応の意思疎通を図ることができるようにしている。出動準備室があることにより盗難防止が図られ、また整理整頓ができてよかったという声がある。
 生活環境面での配慮として、防火衣を乾かすための乾燥室を設けており、3時間程度で乾く。また、隊員の仮眠室は署としては初めて個室化し、空調も個室ごとに管理できるようにした。このことにより、各個人のプライバシーが保護され、貴重品の管理も容易になった。
 電気設備としては、太陽光発電設備を導入し、これにより年間使用量の5%を賄っている。
 機械設備としては、非常用自家発電装置を設置している。燃料を補充することで、1週間連続運転対応可能なものを採用している。また、雨水再利用設備として、雨水を集水・処理することで、一定期間トイレの水を確保することができる設備を設けている。
 庁舎関係としては、5.2トンのステンレス製受水槽を設置し、飲料水を常に貯水している。災害発生時には、緊急車両の水栓を2基つけて、水道水として生かせるようにしている。

2.実地調査について

 南消防署の出動準備室、仮眠室、旧平田出張所等を視察した。

「熊本市視察の様子」

「熊本市実地調査の様子」

《久留米市》 (7月14日)

【調査項目】
●災害時要援護者支援プランについて

『市の概要』
*市制施行:明治22年4月1日
*人口:305,549人(平成27年4月1日現在)
*面積:229.96キロ平方メートル

 

1.災害時要援護者支援プランについて

(1)プラン策定に至る経過と目的について
 平成18年3月に国から「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」が出され、平成20年12月に久留米市災害時要援護者支援プラン協議会を発足し、平成 22年8月に久留米市災害時要援護者支援プランを策定した。プラン策定後、市内46校区ごとに災害時要援護者名簿・台帳の整備を進めてきた。
 プラン策定の背景として、阪神・淡路大震災では犠牲者の半数以上が65歳以上で、多くの人が家族や近隣住民により救出されたこと、また、他の災害において、高齢者名簿が作成されていた地域では安否確認が非常にスムーズであったといったことがある。また、情報伝達体制が十分に整備されていない、要援護者情報の共有化が進んでいない、要援護者の具体的な支援者・支援方法が定められていないなどの課題があり、災害発生時における要援護者支援の円滑化のため、支援体制の整備を図ることを目的とした災害時要援護者支援プランを策定した。

(2)プランの策定体制について
 災害時要援護者支援プラン協議会は、市職員(副市長及び関係部長)、福祉関係者、住民自治関係者、地域消防関係者、市民活動関係者、学識経験者等で構成し、プラン策定・推進に関する事項の審議・調整を行った。その下部に庁内組織として、災害時要援護者支援プラン幹事会、さらにその下に、名簿整備推進部会を地域福祉課、支援マニュアル整備推進部会を防災対策課に置き、策定に当たった。

(3)災害時要援護者名簿・台帳の整備について
 名簿作成の趣旨としては、要援護者の安否確認や避難情報の伝達を速やかに行うことで、人的被害の軽減につなげることにある。名簿に登録する際には、行政や地域の支援者に情報提供することの同意を得た上で作成し、要援護者情報を共有している。
 名簿の対象者は、(1)ひとり暮らしの方を初め、65歳以上のみでお住まいの方、(2)要介護3以上の認定を受けている方、(3)身体障害者手帳1・2級の交付を受けている方、(4)療育手帳Aの交付を受けている方、(5)精神障害者保健福祉手帳1級の交付を受けている方、(6)(1)から(5)に準ずる方のいずれかに該当し、自力または家族の協力による避難が困難な方(施設入居者を除く)となっている。
 平成22年度から名簿の作成を開始し、市内全校区において地域説明会を実施する等を行い、平成25年11月から市内全校区にて、名簿の作成・共有を開始した。名簿の共有先は、市(地域福祉課、防災対策課、各総合支所の市民福祉課)、校区(まちづくり振興会、自治会、民生委員、消防団、自主防災組織)、広域消防本部となっている。
 現在の名簿登録者数は平成27年4月末時点で5,769人だが、民生委員の在宅高齢者の実態調査の際に周知してもらったところ、千数百名新たな申請が上がってきて、今現在は6千数百人になっている。対象者の10%を超えたあたりだが、65歳以上ということで対象者が多いため、率としてはそれほど上がってこない。
 名簿の作成方法は全市一律ではなく、名簿の作成主体が市か校区か、また、地域協力者(校区内で要援護者支援を行う者)の有無で分類し、3つの方式から校区ごとに選んでもらっていたが、現在は更新作業に手間がかかる等の理由で、全て市で作成している。
 要援護者情報は紛失、盗難等に注意を払う必要があり、初回の台帳提供時には、個人情報に関する協定を提供先である校区コミュニティ組織と市で締結した。それとあわせて、校区コミュニティ組織、地域協力者向けに、個人情報保護に関する取り扱いマニュアルを配付している。
 名簿の登録申込書には、申し込み内容を市や校区に情報提供することを承諾する旨の記載があり、名簿の整備についてはここがキーになると考えている。

(4)今後の課題と取り組みについて
 課題としては、要援護者ごとの個別支援の具体化が上げられる。これに対しては、平成27年2月に要支援者ごとの避難支援者・避難所の項目を追加し、全校区と共有した。避難支援者については個人ではなく、自主防災組織等のグループとした。これは、個人の責任の負担軽減と、指定した個人がいなかった場合でも対応できるようにするため。また、避難所は一旦校区のコミュニティセンターを当てはめた上で、校区で決めている避難場所を書き込んでもらうようにした。さらに、必要な支援を確認するため、(1)情報伝達のみで自力で避難可能、(2)介助があれば避難可能、(3)車いす、寝たきり等、自助・共助での避難は困難の3つのレベルで分けられないかといったことを検討している。
 具体化の手段として、名簿を活用した図上訓練を昨年から実施し、来年度までに全校区で実施する予定としている。訓練の内容としては、名簿と地域のマップを活用して、まちづくり振興会、自治会等の地域の支援者に集まってもらい、(1)地域の要援護者の把握、(2)要援護者ごとの支援体制の確認、(3)名簿未登録の要援護者の把握、(4)避難所の確認、(5)地域の危険箇所の確認、(6)避難ルートの確認等を行う中で個別支援計画の具体化を図る。
 また、地域の支援体制の構築といった課題もあり、各校区の自主防災組織の構築・充実の必要がある。自主防災組織未策定の校区に対しては、策定に向け地元説明を行うなどの働きかけをし、自主防災組織策定済みの校区に対しては、自主防災組織の活動の具体化に向けた働きかけを継続的に実施すること、防災リーダーに対する研修を実施すること等を行っている。
 さらに、要援護者名簿未登録者への登録促進も課題であり、登録促進に向けた働きかけとして、要援護者名簿登録対象者へ市から直接ダイレクトメール等で呼びかけたり、地域包括センターや障害者・高齢者関係事業所への協力依頼等を行っている。

 

「久留米市視察の様子」

《直方市》 (7月15日)

【調査項目】
●公契約条例について
●工事参加希望型簡易競争入札制度について

『市の概要』
*市制施行:昭和6年1月1日
*人口:57,794人(平成27年4月1日現在)
*面積:61.76キロ平方メートル

 

1.公契約条例について

(1)入札制度の概要について
 工事に関する入札・契約事務の担当課は財政課契約係だが、修繕及び委託に関する入札・契約事務については各担当課で行っており、契約係が一括管理していない。工事の入札については、工種別のランク別かつ地域限定の一般競争入札(直方市内の業者限定)。予定価格及び最低制限価格は事前公表で、予定価格が1億円以上の工事については総合評価方式をとっている。

(2)条例制定の背景と経過について
 平成12年ごろから1市4町による合併論議があったが、二度にわたって破綻し、また、住民の直接請求も平成16年12月にあったが否決され、市単独でのまちづくりを余儀なくされた中で、財政悪化に伴う行財政改革の推進により、民間委託が加速した。民間委託が進んだことにより財政的なメリットはあったが、民間業者の参入により低落札が続いた。
 地域経済が停滞する中で、平成19年から入札制度の改革を行い、地元企業の下支えを試みてきたが、発注量の確保もできず、あわせて民間投資も少なく、地元企業の疲弊が進んだ。また、雇用環境悪化の状況が続いていたこともあり、労働者のためというよりも雇用環境悪化の状況を何とかしたいというところから、条例を制定することとなった。

(3)条例制定の手順・手法について
 平成23年9月に条例制定に向けての検討方針を決定し、平成24年4月に条例制定を進めるための組織として財務制度改革担当(係長級)を配置した(公会計導入を見越して財務制度改革担当とした)。
 公契約に対する認識を調査する目的で、平成24年7月2日から31日までの入札業者登録の期間に合わせて、条例に関するアンケートを行った。市内に本店・支店を置く建設業者及び建設コンサルタント業者の191者と、300万以上の委託契約を締結している業者の中から15者を選定し、1者につき経営者側1名と労働者側2名の計3名からアンケートをとった。依頼数618通、回答191通で回答率は30.9%であり、結果については、一般的に認識度は低く、また、条例により労働環境を確保してもらえるのはありがたいが会社が潰れるほうが心配だといった声が多かったような状況であった。
 平成25年4月に公契約条例策定審議会設置要綱を制定し、座長には地域環境に詳しい服部弁護士を、委員には使用者代表として、社団法人福岡県建設業協会及び福岡県環境整備事業協同組合連合会に1名ずつ、労働者代表として、日本労働組合総連合会福岡県連合会及び福岡県労働組合総連合に1名ずつ推薦依頼した。
 その後、6月から9月にかけて審議会を4回開催し、9月17日から10月  16日までの間、パブリックコメントを募集した結果、142件の意見が出た。パブリックコメント終了後に審議会で条例案について取りまとめられ、12月定例会において全会一致で可決され、平成26年4月1日より条例施行となった。

(4)条例の特徴について
 第5条、適用範囲が、工事については1億円、業務委託については1,000万円であり、ハードルが低目に設定されていること、また第4条、受注者の責務において、第2項に「男女平等・男女共同参画を推進することにより、労働者の仕事と生活の調和の実現に努めなければならない。」及び同条第3項に「地域経済及び地域社会の活性化に寄与するため、直方市に事業所等を有する受注関係者を下請負者及び資材等の購入先として使用するよう努めなければならない。」とあるのが特徴である。第4条第2項については、審議会委員の意見によるもの。
 また、第8条、公契約等の規定事項の第1号にあえて労働関係の法律を列記している。

(5)条例の効果について
 条例施行後、対象となった工事が1件、業務委託関係が13件あったものの、地域経済が活性化したかどうかという尺度では効果ははかれなかった。ただ、就職情報のチラシに載っている時給単価が、以前は最低賃金ぎりぎりの730円程度であったのが、800円や労務報酬下限額に近い840円となっているところを見ると、効果があったのではないかと思われる。

(6)今後について
 平成27年5月に策定審議会から報告書をいただいたが、1つは適用範囲を1億円から5,000万円に下げてほしいという要望、もう一つは、第8条に「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」を追加してほしいという要望があった。この2つについては現在内部で協議中だが、第8条関係の条例改正については9月議会に提案し、適用範囲については平成28年度から実施する方向で検討している。

2.工事参加希望型簡易競争入札制度について

(1)制度制定に至る経過と目的について
 直方市では昭和56年ごろより、修繕工事については緊急性を要することから簡易工事と位置づけ、限度額を50万円とし、指名業者2者からの見積もり合わせにより受注業者を決定し、随意契約にて行ってきた。制度導入前は、市が発注する全ての修繕工事は発注内容、また入札経過、入札結果等について、業者並びに市民が確認することができなかった。そこで、市が行う契約手続の透明性、また受注機会の公平性、さらに各業者の競争性を確保することを目的として、平成22年4月から工事参加希望型簡易競争入札を導入した。
 この入札では、工事概要、予定価格、地域条件等を事前に公表して、市の土木業種で登録した業者がランクに関係なく、本店の所在地により4つの地域に分け、修繕工事の発注箇所の地域ごとに見積もり合わせ、入札を行う。
 入札事務の流れだが、簡易入札の発注予定がある場合は、毎週金曜日午前10時に、工事概要等の公告を市のホームページ並びに市庁舎3階の情報公開室にて公表する。この工事概要については、予定価格、地域要件等が記載されており、地域条件が適合する業者自身が見積もり合わせに参加・不参加を決定する。参加希望業者は翌週の火曜日午後0時15分までに見積書を3階財政課契約係の前に置いている見積もり箱に投函する。同日(火曜日)の午後1時から開札し、業者を決定する。ただし、見積額が同額等によって、落札者が2者以上ある場合は、くじにより決定している。この見積もり合わせによる受注件数は1業者につき年間10件までと規定している。開札結果については、公告時同様、市のホームページ並びに3階の情報公開室にて、即日公表している。また、落札業者は発注の主管課にて契約書等、必要書類を受領し、契約締結後、工事着手という流れになっている。

(2)制度実施による効果について
 制度導入後の落札率については、平成22年度56.9%、平成23年度54%、平成24年度66.6%、平成25年度79.5%、平成26年度77.6%という結果になっている。制度導入初期は低落札率であったが、現在は落ち着きを取り戻している。それでもなお、事業費の削減と同時に、地域住民からの要望対応件数への拡大へとつながっている。開札結果を積極的に市のホームページ等で公表することで、市民に対して市として説明責任が果たせるようになった。

(3)今後の課題について
 平成22年4月から制度を導入し5年が経過した。制度自体もすっかり定着し、契約事務等においても特に問題は起きていない。1業者の受注件数を1年度につき10件までとしているが、1日の受注限度件数を設定していないため、1業者が1日に相当数の修繕工事を受注し、労働者の確保ができない等の理由により、担当者が工期の延長の相談を受けることがあるが、そのあたりの整理が今後の課題である。

「直方市視察の様子」

お問い合わせ

宇治市議会     議会事務局
電話: 0774-20-8747  ファックス: 0774-20-8786
E-mail: gikaijimukyoku@city.uji.kyoto.jp

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